青色申告とは?白色申告との違いを総ざらい!

更新日: 2020/07/31

確定申告の方式には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。青色申告は、節税につながる様々な特典を受けられる点で、白色申告よりも有利です。その代わり、帳簿や確定申告書類を作成するための事務作業が増えます。

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目次

    青色申告とは

    青色申告とは、国税庁が推奨する一定水準の帳簿を作成し、その上で正確な所得計算を行う確定申告方式です。青色申告者には、納税をする上で有利な特典が与えられます。ただし、事前に税務署への申請を行い、青色申告を行うための承認を受ける必要があります。

    白色申告と青色申告の比較

    白色申告 青色申告
    事前申請 不要 必要(青色申告承認申請書)
    作成する帳簿 少ない 多い
    提出する書類 少ない 多い
    納税上の特典 なし あり
    事務的な負担 軽い 重い

    青色申告を行うと、大きく2種類の特典を受けられます。一つは、節税につながる様々な特典です。もう一つは、推計課税(=税務署が一方的に税額を決めてしまうこと)などを受けないという特典です。白色申告者には、これらの特典は一切ありません。

    青色申告に切り替える流れ

    当年分の確定申告から青色に切り替えるときは、当年の3月15日までに申請を行います。もしその年に新規開業したのであれば、開業日から2ヶ月以内に申請すればOKです。

    青色申告に切り替える流れ

    当年中に一定の帳簿づけをしたら、翌年の確定申告期間内に、所定の書類を提出(もしくは電子申告)します。これで青色申告は完了です。申告後も、帳簿は7年ほど保管します。

    初めて青色申告をするとき – 事前申請

    青色申告を初めて行う人は「青色申告承認申請書」を税務署に提出します。当年の3月15日までに提出すれば、翌年2月16日~3月15日の期間に行う確定申告(=当年分の確定申告)を青色に切り替えられます。e-Taxで電子申告をする場合も同様です。

    ただし開業した年に限り、開業日から2ヶ月以内に申請書を提出すれば、初年度から青色申告を行えます。なお、一度青色申告の承認を受けたら、取消処分などの特別な事情がない限り、次回からは事前申請なしで自動的に青色申告となります。

    青色申告申請書の提出期限

    ちなみに、申請書には「簡易簿記」か「複式簿記」か、簿記方式を選択する欄があります。とはいえ、この段階ではあくまで参考までに方針を聞かれているにすぎません。もちろんある程度決めておく必要はありますが、あまり深く悩む必要はないということです。
    >> 単式簿記と複式簿記の違い – 簡易な簿記と正規の簿記

    青色申告における帳簿の種類

    青色申告で作成する帳簿の簿記方式は、以下の3種類です。

    現金式簡易簿記 簡易簿記 複式簿記
    記帳
    タイミング
    現金主義 発生主義
    難易度 白色より簡単 白色とほぼ同じ むずかしい
    青色申告
    特別控除
    10万円 55万円 or 65万円
    備考
    • 例外的な方法なので別途申請が必要
    • 小規模事業者のみ認められる
    • 記帳内容は白色と同じ
    • 作成する帳簿が少し白色より多い
    • 記帳内容が多い
    • 仕訳帳、総勘定元帳という帳簿が必須

    一年間の収支を記録するだけなら、簡易簿記(=単式簿記)で十分です。事務的な負担も白色申告と同程度で済みます。その代わり「青色申告特別控除」という特典を受ける際、複式簿記の場合よりも節税できる金額は少なくなってしまいます。

    一方、収支だけでなく、何年にもわたり積み上げた財産なども含めて記録するには、複式簿記が必要です。複式簿記は情報量が多いぶん面倒ですが、事業の実態をより正確に反映できます。当然、複式簿記のほうが節税額は大きいです。

    小規模事業者は「現金式簡易簿記」でもOK

    前々年の事業所得などが300万円以下であるような小規模事業者に限り、例外的に現金主義(=金銭の受け渡しがあったときだけ記帳する方式)による「現金式簡易簿記」も認められます。これ以外の帳簿方式では、発生主義(=取引が発生した時点で記帳する方式)が原則です。

    ただし、現金式簡易簿記による記帳をする場合は、青色申告の承認を受けるときに「所得税の青色申告承認申請書 現金主義の所得計算による旨の届出書」という特別な書類を提出する必要があります。なお、白色申告では現金主義による記帳は原則認められません。

    青色申告で税務署へ提出する書類

    白色申告と青色申告では、確定申告時の提出書類が一部異なります。青色申告のほうが作成する書類が多く、そのぶん労力がかかります。下図は、個人事業主が提出する確定申告書類を比較したものです。

    青色申告で提出する書類

    白色申告者の決算書は「収支内訳書」といいます。主に一年間の収入や必要経費を集約し、事業所得や不動産所得の金額を明らかにするのが目的です。全2ページ構成で、記入項目も青色申告より少ないです。青色申告者はこの用紙は使いません。

    青色事業についての決算書は「青色申告決算書」といいます。こちらも事業所得などを明らかにするのが目的ですが、より事業の実態が正しく把握できるように、記入項目が多くなっています。収支内訳書の詳細版と考えてください。

    青色申告決算書は全4ページ構成です。1~3ページ目に「損益計算書」とその内訳、4ページ目で「貸借対照表」を作成します。4ページ目の貸借対照表は、複式簿記の人のみ記入します。なお、現金式簡易簿記には、専用の決算書が別に存在します。

    確定申告書Bの主な目的は、申告者が一年間に得たすべての所得を明らかにし、これをもとに所得税額を計算することです。決算書で明らかにした所得を転記し、その他の所得(給与所得など)がある場合や各種控除を適用する場合は、それも併せて記入します。
    >> その他の添付書類など、提出書類について

    青色申告の主な特典

    青色申告制度の主旨は、一定水準の帳簿づけや正確な所得計算を行う手間と引き換えに、納税する上で有利に働く様々な優遇措置が受けられる(≒ 節税できる)というものです。ここでは、そのなかでも主要な特典を中心に、ごく簡単に説明します。

    青色申告の主な特典

    • 青色申告特別控除(10万円 or 55万円 or 65万円)が適用される
    • 少額減価償却資産の特例を利用できる
    • 最長3年にわたり赤字を繰り越せる
    • 専従者に対する給与を経費にできる
    • 推計課税(=税務署が一方的に税額を推計する)が適用されない

    青色申告特別控除について

    青色申告特別控除を適用すると、つけている帳簿の種類などに応じて、最大65万円が所得から差し引かれます。正規の簿記に基づいて申告する人は55万円控除を受けられ、さらに電子申告をするなどの追加要件を満たせば65万円控除が受けられます。

    簡易な簿記に基づいて青色申告をする場合、控除額は10万円です。なお、白色申告には特別控除はありません。

    現金式簡易簿記 簡易簿記 複式簿記
    青色申告特別控除 10万円 55万円 or 65万円
    その他の特典 共通

    青色申告特別控除で65万円が差し引かれるというのは、税金がまるまる65万円減るというわけではありません。税金を計算するためのベースになる所得から、65万円が差し引かれるということです。

    その他の特典について

    少額減価償却資産の特例を利用すると、通常は数年で分割して経費計上すべき固定資産も、30万円未満なら単年で一括して経費計上できます。ほかにも、赤字を3年にわたって繰り越せたり、一定の要件を満たす親族(専従者)への給与を経費にできたりします。

    また、青色申告者は推計課税を受けません。税務署側の立場から見たときに、たとえ申告内容や帳簿に不審な点があっても、税務署は帳簿もしくは帳簿以上に直接的な証拠(領収書など)にもとづかない限り、税額を一方的に訂正することはできないということです。
    >> 青色申告のメリット・デメリットについて

    青色申告の注意点

    青色申告で特典が与えられるのは、ひらたく言えば「模範的な帳簿をつけている申告者だから」です。したがって、帳簿を作成していないときや、税務署が帳簿の提示を求めても応じないときは、場合によっては青色申告の承認が取り消されることになります。

    とはいえ、少々の記入漏れがあったり、正当な理由があって帳簿をすぐに提示できなかったりするぐらいでは、取り消されることは通常ありません。取消しを受けるとしたら、よほどずさんな帳簿づけであるなど、悪質なケースに限られます。

    承認を取り消された年については、白色申告の扱いとなります。その年に適用されていた青色申告の特典もすべてなかったことになり、特典なしで計算し直された税額を改めて納付します。そればかりか、取消しが通知された日から一年間は青色申告の再申請もできません。

    青色申告の取り消しから再申請までの流れ

    さらに、青色申告の取消しは、過去数年にまでさかのぼる可能性があります。もしそうなったら、単純に過去数年間分の納税額が増えるだけでなく、これに数年分の延滞税、無申告加算税などのペナルティが上乗せされることになります。

    このような取消処分を受けないためにも、帳簿はきちんとつけましょう。帳簿づけの際、もし調べても解消できないような疑問などがあれば、税務署か税理士に問い合わせるのがベストです。税務署なら、窓口や電話を通じて無料で相談することができます。

    まとめ – 青色申告のポイント

    青色申告をすると、白色申告にはない節税面での様々な特典が与えられます。そのぶん、作成しなければならない帳簿や確定申告書類が多いので、事務的な負担はやや重いです。また、初めて青色申告を行う人は事前申請が必要です。

    白色申告 青色申告
    事前申請 不要 必要(青色申告承認申請書)
    記帳方法 簡易簿記
    (収入と必要経費について)
    簡易簿記 or 複式簿記
    提出する書類
    • 収支内訳書(2ページ)
    • 確定申告書B
    • 添付書類
    • 青色申告決算書(4ページ)
    • 確定申告書B
    • 添付書類
    税法上の特典
    (主要なもの)
    なし
    • 青色申告特別控除
    • 少額減価償却資産の特例
    • 赤字の繰り越し
    • 専従者給与
    • 推計課税を受けない
    事務的な負担 軽い 重い

    ※4ページの青色申告決算書が必要なのは55万円 or 65万円控除の場合

    青色申告の特典のなかでも、とくに「青色申告特別控除」と「少額減価償却資産の特例」は、多くの事業主がメリットを感じられる特典です。その他の特典は、役立つ状況が限られるので、うまく使い分けるのが重要です。

    ただしこれらの特典は、帳簿づけをきっちり行うことが大前提なので、これをおろそかにすると思わぬペナルティが課されることもあります。確定申告書類の提出期限をきちんと守らなかった場合も同様です。申告書の提出は早めに済ませましょう。