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青色申告に開業届は必要?作成方法や提出期限を解説

更新日: 2024/10/09 PR
青色申告に開業届は必要?作成方法や提出期限を解説

青色申告ができるのは、個人事業主として開業している人だけです。これから青色申告を始める方は、開業届が未提出なら、速やかに提出しましょう。本記事では「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出方法などを、わかりやすく解説します。

INDEX

目次

    青色申告に開業届は必要?

    開業して1年目から青色申告をしたい場合は、以下2枚の書類をセットで税務署に提出します。開業した日から2ヶ月以内に提出すればOKです。2ヶ月を超えてしまうと、1年目は基本的に白色申告しかできません。

    開業届 青色申告承認申請書
    開業届 記入例(全体) 青色申告承認申請書の記入例(全体)
    開業日から1ヶ月以内に提出* 開業日から2ヶ月以内に提出

    * 開業届については、提出期限を過ぎても罰則などの不利益が生じることはない。

    開業日とは、ざっくりいうと、自分や第三者から見て「この日に開業したぞ」と考えられる日付です。必ずしも開業届の提出日とは一致しません。開業届が未提出でも、事業所得での確定申告を経験済みであれば、すでに開業しているとみなされます。

    ちなみに、開業日から2ヶ月を超えてから青色申告の申請をする場合は、原則として「今年は白色申告をして、来年から青色申告へ切り替える」という流れになります(>>青色申告承認申請書の提出期限)。

    書類の作成・提出方法【開業届・青色申告承認申請書】

    開業届と青色申告承認申請書を作成し、同時に提出する方法は、以下の3通りに大別できます。会計ソフトメーカー各社が提供している、無料のWEBサービスを活用するのが、もっとも手早く簡単な方法です。

    ① WEBサービスを利用 手間も費用もかからない。簡単にできる。
    ② 紙で作成&提出 原始的な方法。信頼性は高いが、やや面倒。
    ③ e-Taxソフトを利用 手順が複雑でわかりにくい。非推奨。

    本記事では、上記「① WEBサービス」と「② 紙で提出」のやり方を順番に解説していきます。「③ e-Taxソフト」をインストールして使用する方法は、何の利点もないうえ、手順が複雑なので今回は紹介しません。

    方法① 開業支援のWEBサービスを利用する

    以下の開業支援サービスを利用すれば、開業と青色申告スタートの手続きが簡単にできます。とくにfreee(フリー)かマネーフォワードなら、スマホ1つで、書類作成から提出までオンラインで一挙に完結させることも可能です。

    freee開業 マネーフォワード
    クラウド開業届
    弥生のかんたん開業届
    料金 無料 無料 無料
    操作画面 操作画面 - freee開業 操作画面 - マネーフォワードクラウド開業届 操作画面 - 弥生のかんたん開業届
    対応
    デバイス
    パソコン・スマホ パソコン・スマホ パソコン・スマホ
    サポート メールのみ チャット・メール メールのみ
    書類作成
    オンライン提出
    主な
    対応書類

    • 開業届
    • 青色申告承認申請書
    • 青色専従者給与に関する届出書
    • 給与支払事務所等の開設・移転・廃業等届出書
    • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

    画面の案内にしたがって、氏名や住所などの必要事項をフォームに入力していくだけなので、迷うことなく書類が作れます。オンライン提出をする場合も、ガイドに沿って操作すればOKです(送信時にスマホ等でマイナンバーカードの読み取りが必要)。

    なお、会計ソフトメーカーの開業支援サービスを利用したからといって、会計ソフトの利用契約まで行う必要はありません。いずれの開業支援サービスも完全無料で使えるので、すべての個人事業主におすすめできます。
    「freee 開業」と「マネーフォワード 開業届」の比較

    マイナンバーカードがなくてもOK!

    「freee開業」などで作成した書類は、プリントアウトして郵送などで提出することも可能です。この場合は、マイナンバーカードを持っていなくても問題ありません。詳しい郵送方法などは、以下に続く「② 用紙に記入・プリントアウト」の説明を参考にしていただけます。

    方法② 用紙に記入・プリントアウトする

    ボールペンなどで用紙に記入して、そのまま紙媒体で提出する方法を紹介します。用紙は国税庁HPでダウンロードできますし、税務署の窓口にも大抵置いてあります。

    作成〜提出の流れ【開業届・青色申告承認申請書】

    開業届・青色申告承認申請書の作成~提出の流れ

    ・開業届……個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)
    ・青色申告承認申請書……所得税の青色申告承認申請手続(国税庁)

    まずは、上記のリンクから国税庁の該当ページにアクセスし、2枚の用紙をダウンロードします。よくあるPDF形式のファイルなので、事前準備などは基本的に不要です。

    記入方法 – 手書き or デジタル入力

    手書きの場合 デジタル入力の場合
    STEP1 PDFをダウンロード PDFをダウンロード
    STEP2 プリントアウトする パソコンで編集する
    STEP3 提出用と控え用に記入 プリントアウトする

    ※ いずれの場合もハンコは不要です

    手書きの場合は、ダウンロードしたPDFを印刷して、そのままボールペンなどで記入すればOKです。提出用と控え用にそれぞれ記入する必要があるので、デジタル入力に比べて手間がかかります。書き損じた場合のリカバリも少し面倒です。

    デジタル入力の場合は、ダウンロードしたPDFをパソコンなどで直接編集します。必要事項を入力してプリントアウトしましょう。パソコンの扱いに慣れている人は、デジタル入力のほうがおすすめです。

    提出方法 – 窓口に持参or郵送

    窓口に持参 郵送
    用意するもの ・開業届とその控え
    ・青色申告承認申請書とその控え
    ・本人確認書類orそのコピー*
    ・開業届とその控え
    ・青色申告承認申請書とその控え
    ・本人確認書類のコピー*
    ・送付用の封筒、切手
    ・返信用封筒、切手
    費用 税務署までの交通費 切手代(220円〜)
    受付時間 平日 8:30〜17:00 郵便局によって異なる

    * 本人確認書類は、すでに開業届を提出済で青色申告承認申請書のみ提出する場合は不要

    窓口に書類を直接持って行く場合は、提出書類のほか、本人確認書類(マイナンバーカードなど)を忘れないように注意しましょう。受付時間を過ぎても、税務署の門の外に「時間外収受箱」という銀色のポストがあるので、そこに入れればOKです。

    郵送の場合は、開業届などの控えを返送してもらうために、返信用封筒(自宅住所などを記入し切手を貼ったもの)を同封しましょう。送付方法は普通郵便で問題ないですが、心配なら追跡サービスがある「特定記録郵便」などを利用してもよいです。
    青色申告承認申請書の提出方法をわかりやすく解説 

    マイナンバーカードがない場合は?【本人確認書類の種類】

    確定申告書類提出時の本人確認書類【マイナンバーカードの有無】

    マイナンバーカードがあれば、本人確認書類はこれ1枚で済みます。郵送などでコピーを添付する際は、表面と裏面の両面コピーを取りましょう。

    マイナンバーカードがない場合は、市役所などでマイナンバー記載の住民票を交付してもらいましょう(300円/通)。これに加えて、身元確認のために運転免許証などを用意すれば、本人確認が可能です。

    「開業届の控え」が必要な手続き

    開業届を提出すると「開業届の控え」がもらえます。この控えがないと、金融機関での手続きなどがスムーズにできない場合があります。まだ開業届を提出していない個人事業主や、提出を迷っている個人事業主は、以下の例を参考にしてみてください。

    「開業届の控え」が求められる手続き(主な例)

    • 法人用クレジットカード*の申し込み
    • 屋号での銀行口座の開設
    • オフィス契約や融資の申し込み

    * 法人用クレジットカードは、個人事業主でも利用できる場合が多い

    大前提として、青色申告をしない場合でも、個人事業主には開業届を提出する義務があります。提出しなくても罰則はありませんが、提出すれば上記の手続きがスムーズに行えるメリットもあるので、やはり開業届は提出しましょう。
    青色申告のメリット・デメリット【個人事業主】白色申告との違いは?

    開業届を提出する際の注意点

    家族の扶養に入っている人や、会社をやめて失業手当を受け取っている人は、開業によりこれらの資格を失う場合があります。これから開業する方で、時期をある程度コントロールできる場合は、これらの事情も考慮したほうがよいです。

    • 家族の扶養から外れる場合がある(社会保険)
    • 失業手当がもらえない

    家族の扶養から外れる場合がある

    「扶養から外れる」とは?健康保険の被扶養者から国保の加入者になる場合

    たとえば、夫が勤務先の健康保険に入っているとします。あなたが無収入の専業主婦であれば、基本的には被扶養者として夫の保険に無料で入れます(上図 左)。

    しかし、あなたが開業したら、原則として扶養から外れます。その場合は、国保に加入することになるため、保険料を負担しなくてはいけません(上図 右)。

    厳密に言うと、開業しても年収130万円未満であれば、扶養から外れずに済むことも多いです。ただ、扶養に入るための条件は年々厳しくなっています。開業したら扶養から外れるものと考えておきましょう。

    失業手当がもらえない

    失業手当(雇用保険の基本手当)は、ハローワークに通って就職活動をしている期間にのみ給付されます。そのため、開業して事業に専念している期間は、失業手当が給付されません。

    なお、就職活動をしながら失業手当をもらいつつ、開業準備を進めるのは問題ありません。急いで開業しなくてはいけない状況でなければ、落ち着いてじっくり準備するのも選択肢の一つです。

    Q&A – よくある質問・疑問点

    副業でも開業届は必要ですか?
    確定申告書を「事業所得」の区分で提出する予定であれば、副業であっても開業届の提出が必要です。国税庁の説明によると、きちんと帳簿を付けていれば、概ね「事業所得」に該当します。

    ただし、本業の収入に対して、副業収入が10%未満の場合などは、帳簿を付けていても「事業所得」として認められない恐れがあります。その場合は「雑所得(業務)」の区分で確定申告を行うため、開業届の提出は不要です。

    会社員の副業収入は事業所得?雑所得?

    副業でも青色申告はできますか?
    はい。副業であっても「事業所得」に該当するなら、青色申告は可能です。上記アンサーでも解説していますが、きちんと帳簿を付けていれば、概ね「事業所得」に該当します。
    青色申告承認申請書は、手書きで作成したほうが税務署の承認を受けやすいですか?
    いいえ。どのような作成方法でも、必要事項さえきちんと記載されていれば、平等に承認手続きを受けられます。同様に、押印の有無なども承認の成否には影響しません。
    青色申告の申請をしても、承認されないことがあるのですか?
    基本的には申請すれば承認を受けられます。ただし、過去1年以内に青色申告の取り消し処分を受けている場合などは、承認されない場合もあります。
    すでに開業して数年経ちますが、開業届を出していません。青色申告の申請をするにあたって、いまさらですが開業届も出したほうがよいですか?
    はい。開業届はすべての個人事業主に提出義務があるため、開業から1ヶ月を過ぎていても提出しましょう。期日を過ぎても罰則はないので、青色申告承認申請書を提出する際、開業届も一緒に提出すれば何ら問題ありません。

    まとめ

    開業してすぐに青色申告を始めるときは、以下のポイントを押さえて手続きしましょう。なお、開業届を提出する際、本人確認のためにマイナンバーカードや住民票などが必要です。もし手元になければ、あらかじめ用意しておきましょう。

    • 「開業届」と「青色申告承認申請書」を作成する
    • 開業日から2ヶ月以内に提出する
    • 「freee開業」などのサービスを使うのが一番ラク
    開業届 青色申告承認申請書
    開業届 記入例(全体) 青色申告承認申請書の記入例(全体)

    おすすめの作成・提出方法は、以下のどちらかです。パソコンでの入力に抵抗がなければ「① WEBサービスを活用する」のが一番ラクです。

    1. WEBサービスを活用する←オススメ!!
    2. 紙媒体で作成&提出する

    以下の3つは、クラウド会計ソフトの大手3社が提供するサービスなので、安心して利用できます。とくにfreeeとマネーフォワードは、オンライン提出にも対応していて非常に便利です。

    freee開業 マネーフォワード
    クラウド開業届
    弥生のかんたん開業届
    料金 無料 無料 無料
    操作画面 操作画面 - freee開業 操作画面 - マネーフォワードクラウド開業届 操作画面 - 弥生のかんたん開業届
    対応
    デバイス
    パソコン・スマホ パソコン・スマホ パソコン・スマホ
    サポート メールのみ チャット・メール メールのみ
    書類作成
    オンライン提出
    主な
    対応書類

    • 開業届
    • 青色申告承認申請書
    • 青色専従者給与に関する届出書
    • 給与支払事務所等の開設・移転・廃業等届出書
    • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

    上記サービスで作成した書類は、マイナンバーカードを対応スマホなどで読み取って本人確認できれば、オンラインでそのまま送信できます。マイナンバーカードがなくても、プリントアウトして、住民票と免許証のコピーを添えて郵送すればOKです。

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