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キャッシュレス決済の定義
「キャッシュレス」については、確たる定義がいまだ存在しません。過去に経済産業省が作成した資料では、以下のように記載されています。
…(前略)…現状「キャッシュレス」については、広汎に共通的に認識されている定義は存在しない。そのため、本ビジョンにおける「キャッシュレス」については、「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」を指すこととした。
経産省の暫定から「キャッシュレス決済」を簡潔に定義するならば、「物理的な現金なしで行える決済方法」ということになります。これは「キャッシュレス」の意味を広くとらえた場合の定義といってもよいでしょう。
狭義のキャッシュレス決済
先の定義に従えば、「キャッシュレス決済」には下記のように様々なものが該当します(広義のキャッシュレス決済)。
しかし昨今、一般的に「キャッシュレス決済」のテーマで念頭に置かれるのは、このうちの「電子マネー、QR・バーコード、クレジットカード」であることが多いようです(これらを「狭義のキャッシュレス決済」とします)。
雑誌などで「キャッシュレス決済」の特集が組まれるときも、大抵この3種類が対象になっています。
なかでもここ数年で利用者が急増しており、注目度の高い「電子マネー決済」と「QR・バーコード決済(スマホ決済)」について、順番に確認していきましょう。
電子マネー決済
一般的には「Suica」や「楽天Edy」を指して、電子マネーと呼んでいることが多いです。これらをひとくくりに表現すると「一定のサービスを対象に使用できる、データ化されたお金」と言えるでしょう。経産省が2019年にまとめた「キャッシュレス関係用語集」における定義は、以下の通りです。
電子マネー
様々な会社が独自に発行している支払いサービスで、主にカードの中に電気信号にしたお金の情報を持たせたもの。p.28 キャッシュレス関係用語集(2019年6月) – 経済産業省
電子マネーの特徴
- ICカードを媒体とする、カード型の電子マネーが主流
- 決済端末にピッとかざして会計を行う
- カードにお金をチャージしてから使用する「プリペイド式」が多い
- 支払い方はプリペイドカードと同じだが、使い捨てではない
- 発行元を基準に「交通系」と「流通系」に大別できる
電子マネーの具体例 – 交通系と流通系
交通系電子マネー | 流通系電子マネー |
---|---|
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鉄道会社が発行 | 小売・流通系企業などが発行 |
「iD」と「QUICPay」も電子マネーに含まれますが、この2つは「交通系」「流通系」いずれにも該当しません。iDとQUICPayは、チャージが必須ではなく、紐付けたカードによって「前払い・即時払い・後払い」のいずれかを選ぶことになります。
QR・バーコード決済(スマホ決済)
ここでいう「QR・バーコード」は、スマホアプリの決済で用いるQRコード・バーコードを指します。これを利用する決済方法を「スマホ決済」とも呼びます。「PayPay」や「楽天ペイ」などの決済サービスがこれに当たります。
QR・バーコード決済(スマホ決済)の特徴
- スマホにアプリをインストールして使用する
- アプリにお金をチャージしたり、アプリとクレカとひも付けて利用する
- 「店舗のコードを読み取り」or「自分のコードを提示」で決済する
「スマホ決済」には、広い意味ではQR・バーコード以外の決済方法も含まれ、その中にはいわゆる「おサイフケータイ」などのタッチ式決済もあります。
まとめ
「キャッシュレス決済」は、広い意味では「物理的な現金なしで行える決済方法」を指します。広義のキャッシュレス決済には、下図のようなものがすべて含まれます。
この中でも、最近とくに注目されているのが「電子マネー」と「QR・バーコード決済(スマホ決済)」です。これに「クレジットカード」を加え、身近な会計シーンで実用的なキャッシュレス決済として、特集が組まれる事が多いようです(狭義のキャッシュレス決済)。