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新型コロナで影響を受けた個人事業主への主な救済措置まとめ

更新日: 2022/12/23 投稿日: 2020/03/11 PR
新型コロナで影響を受けた個人事業主への主な救済措置まとめ

新型コロナウイルスによる影響を受けた個人事業主(自営業者・フリーランス)への政府による主な救済措置の情報をこちらにまとめておきます。

INDEX

目次

    持続化給付金

    新型コロナの直接的・間接的な影響で、売上が大きく減少した個人事業主には、100万円を上限に現金が給付されます。このたび対象が拡大され、雑所得などで確定申告した事業者や、2020年に新規創業した事業者も申請可能となりました(6月29日から申請開始)。

    対象 事業収入が前年同月比で50%以上減少した月がある事業者
    給付額 ・法人:上限200万円
    ・個人事業主など:上限100万円
    申請方法 「持続化給付金ホームページ」にアクセスして申請
    ※対面による相談も申請サポート会場にて受付中
    給付時期 通常は申請から2週間程度(申請に不備がない場合)

    給付額の算出方法(青色申告者)

    前年の総売上(事業収入) − (前年同月比で50%以上減となった月の事業収入×12ヶ月) = 給付額

    給付額の算出方法(白色申告者)

    前年1〜12月の月平均売上(事業収入) − (前年の月平均比で50%以上減となった月の売上×12ヶ月) = 給付額

    事業収入を前年と今年とで比較し、その差額が給付されます。当然、今年の年間事業収入は未確定なので、前年の同月に比べて50%以上減った月が1ヶ月でもあれば、その月の収入が12ヶ月続いたと仮定して計算します。

    「事業収入」とは、事業による収入のことで、個人事業以外の収入は含めません。副業で会社勤めをして給与収入をもらっている場合、その給与収入は含めないということです。また「収入」ですので、経費を差し引く前の金額です。大抵の場合「収入」とは、「売上」のことだと思って差し支えありません。

    なお、必要書類として、2019年分の確定申告書類の控えが必須となっています。税務署の収受印(確定申告時に税務署で押してもらうハンコ)が押されたものを用意します。収受印がなければ、税務署で納税証明書を発行し、一緒に添付します。

    持続化給付金の計算例などについては、下記のページにまとめています。
    >> 「持続化給付金」の支給対象や計算例を分かりやすく!

    持続化給付金の対象範囲が拡大(6月29日以降)

    拡大前 拡大後 6/29(月)~申請開始
    • 事業収入のある人だけ
    • 前年以前に開業済みの人だけ
    • 雑所得者や給与所得者も対象に
    • 今年1~3月に開業した人も対象に

    雑所得などで確定申告していても「業務委託契約などで事業としての収入がある」「その収入が50%以上減少した月がある」などの要件を満たせば、給付対象となります。この場合、業務委託契約書や源泉徴収票、売上台帳などを添付して申請します。

    また、2020年1月~3月に新規創業した事業者も、4月以降に50%以上の減収月があれば給付対象となります。ただし、この「2020年新規創業者」に限っては、減収を証明する書類を作成し、必ず税理士に記名・押印してもらわなくてはなりません。

    家賃支援給付金

    5月の緊急事態宣言の延長などによって、売上が減少した事業者に対して「賃料の負担を軽減する給付金」が支給されます。5月~12月のうち、売上が前年比50%以上減少した月がある事業者などの、事業用の土地・建物の賃料が対象です。

    対象 5月以降、売上が前年比で50%以上減少した月がある事業者など
    ※雑所得などで確定申告をしたフリーランスを含む
    給付額 ・法人:上限600万円
    ・個人事業主など:上限300万円
    申請方法 WEB申請 or 申請サポート会場
    申請開始日 2020年7月14日(火)
    申請期限 2021年1月15日
    (特段の事情により間に合わない方の提出期限は、2021年2月15日)

    家賃支援給付金は、自宅兼事業所も対象になりますが、事業用の部分のみです。また、自己保有の土地・建物について、ローンの支払いは賃料でないため対象になりません。

    申請は「家賃支援給付金ホームページ(閉鎖)」にスマホやパソコンでアクセスし、WEB上で行います。WEB申請が困難な場合は「申請サポート会場」も利用できます。
    >> 家賃支援給付金の詳しい説明はこちら!

    国税の納付を1年猶予

    新型コロナウイルスの影響で一定の被害を受けた個人事業主は、簡単な申請を行うことで、税金の支払いが原則1年間猶予されます。これに併せて、延滞税の一部や財産の差し押さえも猶予されます。

    対象 国税を期限内に納付することによって事業継続が困難になるなど、一定の要件を満たす事業主
    猶予期間 原則、1年間猶予される(状況に応じて更に1年間の猶予も)
    申請書 2020年10月16日(金)までに所轄税務署に申請書を提出する
    担保 原則必要(無理な場合は不要)

    その他、細かな要件はこちらの国税庁のページで確認できます。

    この制度を利用する方は、まずは所轄の税務署に相談をしましょう。

    また、地方税(住民税個人事業税など)についても同様の制度が利用できます。こちらは税務署ではなく、お住まいの都道府県・市区町村に相談をしましょう。

    個人向け緊急小口資金等の特例

    新型コロナウイルスの影響で、緊急に資金が必要な個人事業主や、生活費用が不足している人は、以下の2種類の貸付を利用できます(3月25日 貸付開始)。いずれも、申込先は各市区町村の「社会福祉協議会」です。

    緊急小口資金(コロナで休業した人向け)

    対象 休業などにより収入が減少し、生計維持のため緊急で貸付が必要な世帯
    貸付上限額 個人事業主は20万円
    据置期間 1年以内
    償還期限 2年以内
    金利・保証人 無利子・不要

    据置期間は、お金を返済しなくてもよい期間
    償還期限とは、お金を返済する期限のこと

    総合支援資金(コロナで減収・失業した人向け)

    対象 収入の減少や失業により、日常生活の維持が困難となった世帯
    貸付上限額
    • 2人以上の世帯:20万円 × 3ヶ月
    • 単身世帯:15万円 × 3ヶ月
    据置期間 1年以内
    償還期限 10年以内
    金利・保証人 無利子・不要

    ※総合支援資金は、自立相談支援事業等による支援を受けることが要件

    借入申請には、収入減の状況がわかる書類などを持参しましょう。もし手元にない場合でも応相談とのことです。なお、償還期限が来ても生活に困っている場合(住民税非課税世帯など)は、償還を免除してもらえます。

    小学校休業等対応助成金

    臨時休校によって子どもの世話をするため、委託された仕事ができなくなっている個人事業主に対して、一定の要件を満たせば1日あたり一律4,100円が支給されることになりました(3月10日 厚生労働省発表)。

    対象 臨時休校による子どもの世話で仕事ができない個人事業主
    支給額 一日あたり一律4,100円
    支給対象期間 2020年2月27日から2020年6月30日まで
    申請期間 2020年3月18日から2020年9月30日まで

    これは、学校の休校に伴い休業を余儀なくされた保護者に限定された対応です。新型コロナウイルスの影響による売上減少などを全般的にカバーするものではないので、その点注意しましょう。そもそも子供がいないフリーランスには、関係のない助成ということです。

    休業手当などに関する助成金(雇用調整助成金)

    個人事業主が従業員を雇っている場合、新型コロナの影響で従業員に一時休業などをさせた際、休業手当などが助成金によって補填されます(雇用調整助成金の特例)。

    この特例について、緊急対応期間(4月1日~6月30日)が新たに設けられました。新型コロナに伴う特例措置が、上記の期間中はさらに拡大され、支給額の増加や支給要件の緩和が行われます(3月28日 厚生労働省発表)。

    対象 新型コロナの影響に由来する経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた全国の事業主
    支給額 対象労働者1人1日当たり 8,330円が上限
    ・中小事業主は、従業員に支払った金額の80%を受け取れる
    ・解雇等を行わない中小事業主は、90%を受け取れる
    対象期間 休業等の初日が、2020年4月1日から2020年6月30日まで
    支給限度日数 緊急対応期間の91日間 + 1年間で最大100日

    さらに緊急対応期間中、都道府県知事の要請に応じて休業などを行った場合には、一定の要件で助成率が100%となります。ただしこの場合でも、従業員1人につき8,330円の上限があるので、受け取れる金額が劇的に増えるわけではありません。

    対象 新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づく要請により、休業や営業短縮を求められた施設を運営する中小企業事業主
    支給額 対象労働者1人1日当たり 8,330円が上限
    ・中小事業主は、従業員に支払った金額の最大100%を受け取れる
    ※賃金の100%に相当する休業手当を支払うなどの要件を満たす場合
    対象期間 休業等の初日が、2020年4月8日から2020年6月30日まで

    なお、緊急対応期間に該当しない時期においても、すでに発表済みの特例措置は有効です。この特例措置については、以下の通りです。

    対象 新型コロナの影響に由来する経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた全国の事業主
    支給額 対象労働者1人1日当たり 8,330円が上限
    ・中小事業主は、従業員に支払った金額の2/3を受け取れる
    対象期間 休業等の初日が、2020年1月24日から2020年7月23日まで
    支給限度日数 1年間で最大100日

    この助成金は通常「雇用保険適用事業所の事業主」に支給されます。しかし緊急対応期間においては、雇用保険の被保険者でない労働者も助成金の対象に含まれるなど、要件が緩和されました。その他にもこまかな要件があります。
    >> 雇用調整助成金 – 厚生労働省

    働き方改革推進支援助成金(テレワークを実施した場合の特例)

    新型コロナ対策としてテレワーク用の通信機器を導入するなど、雇っている従業員について一定の取組を行う中小企業事業主は、以下の助成金を利用できる場合があります。この助成金により、テレワークの導入にかかった費用の一部が補填されます。

    対象 新型コロナ対策としてテレワークを新規で導入する(または試行的に導入している)中小企業事業主※
    補助額 1企業100万円が上限
    補助率 1/2
    対象期間 2020年2月17日から2020年5月31日まで

    ※労働者災害補償保険が適用されていること

    テレワークのための費用なら何でも助成対象になるというわけではなく、細かな要件があります。また、一定の取組として、テレワークを実施していること以外に、就業規則や労使協定等の作成、研修の実施などを併せて行っている必要があります。
    >> 働き方改革推進支援助成金 – 厚生労働省

    対象の事業者に有利な特別貸付

    新型コロナウイルスによる影響を受け、業況が悪化した事業者は、要件を満たせば実質無利子で日本政策金融公庫等による融資を受けることができます。下表の特別貸付に「特別利子補給制度」を併用することで、実質的な無利子を実現可能です。

    小規模な個人事業主への特別貸付

    対象 最近1ヶ月の売上高が、前年か前々年の同期と比較して5%以上減少した場合など
    融資限度額 6,000万円
    金利 当初3年間0.46% その後1.36%
    資金用途 運転資金、設備資金
    担保 無担保
    貸付期間 設備20年以内、運転15年以内 (うち据置5年以内)

    据置期間は、元本を返済する必要なし

    表の中では売上が5%以上減少した場合を例示していますが、対象範囲はこの場合に限りません。小規模な個人事業主については、売上の減少について明確な数字を示せなくても、相談に応じてくれるようです。

    上表は、経済産業省による「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の内容を簡略化したものです。より詳しい内容、その他の救済措置については、下記のページを参照してください。
    >> 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ – 経済産業省

    対象の中小企業者に特例リスケの実施

    新型コロナウイルス感染症の影響を受け、債務の支払いに悩む中小企業者は「中小企業再生支援協議会」に相談することができます。要件を満たせば、協議会が事業者に代わり、元金返済の猶予を債権者に対して要請してくれます(4月6日 中小企業庁発表)。

    対象 最近1ヶ月の売上高が、前年か前々年の同期※1と比較して5%以上減少した場合など
    内容
    • 既往債務※2の負担軽減支援(特例リスケジュール計画)
    • 資金繰りと事業面のサポート
    • 特例リスケ終了後の再生支援

    ※1 業歴3ヶ月~1年1ヶ月未満の場合は、当月を含む過去3ヶ月の
    平均売上高など
    ※2 すでに借りているお金のこと

    同時に、新しい返済プラン(1年間の資金繰り計画)の構築を支援してもらえます。このプランを特例リスケジュール計画と呼んでいます。また、計画期間中、各金融機関から新たに融資などを受けられるよう、協議会が事業者の代わりに調整を行ってくれます。

    支援対象となるかどうかは、売上高を認識できる最小限度の資料で、迅速に判断してもらえるとのことです。計画期間中や終了後についても、一定のサポートを受けられます。
    >> 新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール実施要領 ‐ 中小企業庁

    生産性革命推進事業に係る補助金

    新型コロナウイルス感染症による影響を受けながらも、一定の生産性向上に取り組む事業者は、申請を出して審査に通れば下記のとおり補助金が支給されます。簡単にいうと「知恵を出してこの難を乗り切ろうと頑張る事業者を、補助金でサポートします」という取り組みです。

    ものづくり・商業・サービス補助

    概要 新サービス開発や生産プロセス改善を目的とした設備投資などを支援
    補助上限 原則1,000万円
    補助率 2/3
    活用例 部品の調達が困難となり、自社で部品の内製化を図るために設備投資を行う

    持続化補助

    概要 販路開拓などのための取り組みを支援
    補助額 【通常枠】50万円まで
    【特別枠】100万円まで
    補助率 2/3
    活用例 インバウンド減少による店舗販売の縮小を補うため、ネット販売を強化してビジネスモデルの転換を図る

    IT導入補助

    概要 事業継続性確保の観点から、ITツール導入による業務効率化等を支援
    補助額 30〜450万円
    補助率 【通常枠】1/2
    【特別枠】2/3
    活用例 在宅勤務制度を新たに導入するため、業務効率化ツールと共にテレワークツールを導入

    上記の3つは通年で公募され、締切日が複数回設けられています。応募をし、審査に通れば補助金を受けられます。
    >> 中小企業基盤整備機構

    固定資産税等の軽減

    中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)の事業収入が、前年比で30%以上減少するなどの要件を満たすと、固定資産税・都市計画税が猶予・軽減されます。2020年度分が猶予、2021年度分が減免の対象です。

    固定資産税・都市計画税の猶予・軽減

    2020年度 2021年度
    課税基準日 2020年1月1日 2021年1月1日
    救済内容 1年間猶予(無担保・延滞税なし) 全額 or 半額免除
    要件(判定期間) 2020年2月~納付期限の任意の1ヶ月以上の収入 2020年2月~10月の連続する3ヶ月の事業収入
    要件(減収) 約20%以上減少※ ・50%以上減少:全額免除
    ・30%~50%減少:半額免除
    対象 ・土地、家屋
    ・償却資産
    ・事業用家屋
    ・償却資産

    ※減収のほか、個別の事情による猶予もあり

    固定資産税と都市計画税は、どちらも市町村税です。上記の申請は、税務署ではなく市役所などで行います。なお、2021年度の減免については、2021年1月に申請します。申請書式の公開時期は自治体によって異なります。
    >> 固定資産税・都市計画税の減免 – 中小企業庁

    2017年~2023年3月31日までに新規取得した設備については、一定要件を満たした場合、投資後3年間は固定資産税がゼロ~半減となる特例もあります(軽減率は自治体により異なります)。こちらも、市区町村に対して申請します。
    >> 固定資産税の特例(固定ゼロ)の拡充・延長 – 中小企業庁

    国民1人あたり10万円の一律給付(特別定額給付金)

    新型コロナの対策として、特別定額給付金(国民1人あたり現金10万円)が、申請者へ一律給付されます。これは「事業者」への給付ではなく個人への給付ですが、重要度の高い給付金のため、本ページで合わせて紹介しています。

    対象 基準日(令和2年4月27日)時点で、住民基本台帳に記録されている人
    受給権者 給付対象者の属する世帯の世帯主
    給付額 国民1人あたり10万円
    申請方法 郵送 or オンライン(マイナポータル
    オンライン申請は、マイナンバーカードの所持が前提
    申請期限 郵送方式の申請受付開始日から3ヶ月以内
    申請受付開始開始日は、自治体によって異なる

    お住まいの市区町村から、受給権者へ申請書が郵送されます。この申請者に必要事項を記入し、必要書類(振込先口座の確認書類と本人確認書類の写し)を添付して、市区町村へ返送します。

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