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デジタル庁ってなんだ?これから何が変わる?

更新日: 2021/03/18 投稿日: 2020/11/02
デジタル庁ってなんだ?これから何が変わる?

いま話題の「デジタル庁」ですが、その全容はまだ明らかになっていません。来年中の発足を目指して、これから本格的な法整備が行われる予定です。本記事では、現時点で判明していることをざっくり紹介していきます。

INDEX

目次

    どんな構想なの?

    「デジタル庁」は、これから創設される官庁です。社会全体として、インターネットなどが十分に活用されていないので、これを改善するために新設されることになりました。生活スタイルがガラッと変わるような、多分野にわたる改革を目指しているようです。

    他分野にわたる改革が期待されるデジタル庁

    いまは「ハンコを廃止するぞ!」という動きが目立っていますが、もちろんそれだけではないでしょう。たとえば、現在は政府のオンライン申請サイトが林立していますが、これもデジタル庁の主導で「マイナポータル」サイトに統一されることが予想されます。

    デジタル庁に期待されること(主な例)

    • 官民における、紙ベースの慣行の見直し
    • マイナンバー関連の改正、普及
    • 医療や教育における、対面と非対面のハイブリッド化
    • ネットワークやセキュリティのガイドライン策定
    • 政府統計、行政データの有効活用
    • 個人情報保護に関するルールの一本化

    このデジタル庁が、既存の省庁のなかで一体どのように位置づけられ、どの程度の権限を持つことになるかは、まだはっきりとは決まっていません。ただ、上記のような改革を実行するには、それに見合った強力な権限が必要であることは確かです。

    創設までのプロセス

    デジタル庁は、2020年中に基本方針を定め、2021年中の発足を目指すとされています。その設置法案が通過するまでは、「デジタル庁」という名称すら仮称にすぎません。

    デジタル庁(仮称)の創設までのプロセス

    上図の設置法案などは、平井卓也デジタル改革・IT担当大臣(以下、デジタル相)が室長を務める「デジタル改革関連法案準備室(以下、法案準備室)」で作成されます。具体的な法整備に関しては、現時点では未定です。

    『デジタル・ニッポン2020』

    2020年6月、政策提言として『デジタル・ニッポン2020』が自民党から公開されました。ここで書かれていることがそのまま実行されるとは限りませんが、大体の方向性を知ることはできるでしょう。

    デジタル・ニッポン2020提言項目一覧

    デジタル・ニッポン2020 – 自民党

    上記の提言は「自民党デジタル社会推進特別委員会」によるもので、平井デジタル相が委員長を務めました。よって、少なくとも平井デジタル相が主導的な立場にあるうちは、この提言から大きく逸れることはないと見てよいでしょう。

    提言では、1つの目玉として「デジタル田園都市国家」が掲げられています。平たく言えば、社会機能を分散させ、地方でも大都市並みの豊かな暮らしができるようにしよう、というものです。これは、社会全体の「DX化」によって実現するとされています。

    DX(Digital Tranceformation)とは?

    DXとは「デジタルによる変革」のことです。ITの活用を前提として、日常生活やビジネス・行政上の慣習などを見直し、よりよい社会に変革させることをいいます。デジタル庁が果たすべき大きな役割の1つが、このDXの推進といえます。

    『デジタル改革アイデアボックス』

    デジタル庁の創設にあたって広く意見を募るために、以下のような「アイデアボックス」サイトが設置されています。これは法案準備室が直接運営するサイトで、ユーザー登録をすれば誰でも、アイデアの投稿やコメントができます。

    デジタル改革アイデアボックスの投稿閲覧画面

    たとえば、以下のような意見が投稿されています。

    • 住所変更の手続きが1ヶ所ですべて完結できるとよい
    • ネット投票を実現してほしい
    • 「e-Tax」と「eLTAX」を統合してはどうか
    • 行政文書は西暦ベースにしたほうがよい
    • 公務員試験の内容をITスキルを問うものにすべき

    もちろん、これはごく一部にすぎません。他にも「低スペックなパソコンではデジタル化が十分に促進されないので、パソコンに関しては10万円以上でも経費計上できるようにすべき」のような意見も載っています。
    >> 消耗品費と減価償却費の違い

    マイナンバーカードは今後どうなるのか?

    マイナンバーカードは、対面とオンラインのどちらでも本人確認が可能なカードです。通常の本人確認とは異なり、電子証明書を用いた「公的個人認証サービス(JPKI)」を利用できる点が強みで、従来の方法に比べて改ざん・なりすましが困難とされています。

    さらに今後は、2021年3月から病院の保険証として使えるようになるなど、便利な用途が増えていく予定です。マイナンバーカードの基本的な使い道については、以下の記事でわかりやすく解説しています。
    >> マイナンバーカードの現状と展望

    マイナンバー関連の施策については、まだまだ検討中・準備中のものも多いです。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

    • コンビニでのマイナンバーカード発行、更新
    • 公的個人認証の機能をスマホに搭載
    • 生体認証(暗証番号によらない方法)による公的個人認証
    • GIGAスクール(児童生徒に1人1台の端末を与えるなど)での認証
    • マイナンバーと銀行口座を紐付け(迅速な給付を実現)
    • 児童手当、生活保護等の情報連携
    • 国家資格証のデジタル化
    • 運転免許証など、各種免許との一体化
    • 民間情報(引っ越し、介護など)と電子申請等の連携

    運転免許証とマイナンバーカードの一体化に関しては、ほぼ確実に実現されると見てよいでしょう。ただ、その時期は不透明です。先日、政府から「早ければ2026年中にスタートできる見込み」との発表がありました。

    まとめ

    「デジタル庁」は、既存の省庁の枠に縛られない強力な「司令塔」として創設される予定です。主に、各省庁内でのデータ管理規格の統一や、行政手続きのオンライン化を進め、官民を問わず、様々な規制緩和を主導していくことが想定されます。

    デジタル庁の役割(想定)

    • 国、自治体のシステムを統一、標準化する
    • 各種給付の迅速化や行政手続きのオンライン化を行う
    • 民間や準公共部門のデジタル化を支援する
    • オンライン診療やデジタル教育などの規制緩和を行う

    >> デジタル改革関係閣僚会議(2020年9月23日) – 首相官邸

    現状では「ハンコ」と「マイナンバー」の印象しかないという方も多いでしょう。また、「省」ではないため、小さな組織に見えてしまう側面もあるかもしれません。しかし実際には、上記のような役割に見合うよう、非常に強力な組織になる可能性があります。

    2021年3月から、デジタル庁の創設に先駆けて、マイナンバーカードが病院の保険証として使えるようになりますが、これは政府が考える「デジタル化」の、ほんの一端に過ぎないということです。

    「e-Tax」はどうなるのか?

    いまのところ「e-Tax」関連のツールについては、大幅改修の予定などは公表されていません。ただ、これまでも年々少しずつ改良されてきたわけですから、デジタル庁が創設されることによって、この動きが加速することは十分ありうるでしょう。

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