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【2024年11月〜】フリーランス新法の対象者や下請法との違いをわかりやすく解説!
フリーランス保護新法は、「報酬がきちんと支払われなかった」「いきなり契約を切られた」「エンドレス修正をくらった」など、フリーランスにありがちなトラブルを防ぐための法律です。2022年中の臨時国会で法案が提出される予定です。
INDEX
目次
フリーランス保護新法とは?
フリーランスに対して無茶な要求をする企業を減らすため、新しい法律が検討されています(フリーランス新法)。既存の「独占禁止法」や「下請法」では適用範囲が狭く、保護対象にならないフリーランスも多いためです。
新たに保護対象となるフリーランスの例
- ITエンジニア、プログラマー、WEBデザイナー
- ライター、イラストレーター、カメラマン
- コンサルタント、マーケター
- スポーツジムのインストラクター、トレーナー
- フードデリバリーの配達員
ここでいう「フリーランス」とは、業務委託をうけて一人で働く事業者を指すようです。ただ、現時点では法案が未提出なので、細かな要件や具体的な開始時期などは不明です(2022年11月時点)。
「フリーランス新法」では、業務委託の条件面を契約書などに明記することが義務付けられます(詳細は後述)。電子契約サービスを活用すれば、法律に詳しくない人でも簡単に契約書を作成できます。
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どのように保護されるのか?
「フリーランス新法」によれば、発注側は以下のようなルールを守る必要があります。違反した場合は、発注側に対して是正命令などが行われ、これに従わない事業者には50万円以下の罰金も科されるようです。
発注する企業側の義務(やるべきこと)
義務① 募集内容の説明 |
---|
・正確かつ最新の内容を記載し、誤解が生じないようにすること ・募集内容と違う仕事を頼むときは、事前に説明をすること |
義務② 取引開始や終了の手続き |
・契約書等に「業務内容、報酬額、契約期間」などを明記すること ・中途解約や不更新については、その30日前までに予告すること ・契約の終了理由を聞かれたらきちんと答えること |
義務③ 報酬の支払い |
・成果物などを受領したら、その60日以内に報酬を支払うこと |
※ 厚労省の資料をもとに表現を変更・一部省略しています
上記の通り、口約束での受発注は基本的に違法となります。かといって、いちいち紙の契約書を交わすのは不便でしょうから、freeeサインやGMOサインなどの電子契約サービスを使う事業者が今後増えそうです。
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発注する企業側の禁止行為(やってはいけないこと)
禁止① 不当な注文変更 |
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・勝手にキャンセルや返品をしてはいけない ・業務内容の変更、やり直しを一方的に要求してはいけない |
禁止② 不当な報酬 |
・通常の相場よりも低すぎる報酬額で買いたたいてはいけない ・正当な理由なく報酬を減額してはいけない |
禁止③ 不当な便宜 |
・仕事で使う道具やサービスを不当に指定し、強制してはいけない ・自社商品などを購入するよう強要してはいけない ・金銭やサービスなどを不当に要求してはいけない |
※ 厚労省の資料をもとに表現を変更・一部省略しています
「こんな被害を受けて困ってます……」と申告するための相談窓口も設けられます。相談したせいで取引を打ち切られるなどの報復を受けないよう、発注側に対する指導なども行われるようです。
発注控えはどうなる? インボイス制度との関係
2023年10月から、消費税のインボイス制度がスタートします。その影響で「免税事業者に対する発注控えや報酬の引き下げが頻発するのでは?」と懸念されています。
こうしたインボイス関連のトラブルについても、ある程度は「下請法」や「フリーランス新法」の規制対象になりえます。現状、フリーランス新法の詳細は明らかになっていませんが、参考までに下請法違反となる事例を確認しておきましょう。
インボイス制度に関して、下請法違反となる事例
免税事業者であることを理由にして、消費税相当額を支払わない行為 |
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免税事業者とは知らずに発注し、請求時にそれが発覚した場合であっても、報酬に含まれる消費税相当額の支払いは拒否できない。 |
課税事業者になったにもかかわらず、一方的に単価を据え置く行為 |
免税事業者から継続的に仕入れを行っており、その仕入先が新たに課税事業者となった場合、消費税分の値上げ交渉には適宜応じる必要がある。 |
課税事業者にならなければ取引を打ち切るなどと一方的に通告する行為 |
継続的に取引がある免税事業者に対して「インボイスを発行できないなら、今後は取引を継続しない」などと一方的に通告してはいけない。 |
インボイス制度への対応に関するQ&A(下請法等の運用基準)- 公正取引委員会
ただし、免税事業者に対して価格交渉などを持ちかけることは違法ではありません。たとえば「消費税相当額10%のうち、2%分だけ報酬を減額したい」と打診して、お互いがそれで納得できれば、下請法上なんら問題ないわけです。
まとめ – フリーランス保護新法と下請法の比較
「フリーランス新法」は、立場の弱いフリーランスを、顧客の無茶振りから守る法律です。既存の「下請法」と似ていますが、保護対象の範囲がかなり広くなります。
「フリーランス新法」と「下請法」の違い
フリーランス新法 | 下請法 | |
---|---|---|
保護対象 | 業務委託を受けて 一人で働くフリーランス |
下請事業者 ※ただし、発注側の資本金が 1,000万円以下の場合は対象外 |
主な義務 | 条件面の明記、60日以内の支払い義務など | |
主な禁止行為 | 不当なキャンセルや買いたたきの禁止など | |
罰則 | 最高50万円の罰金 |
「下請法」で取り締まれるのは、資本金1,000万円超の比較的大きな事業者だけです。一方、「フリーランス新法」ではこのような制限がないので、小規模事業者とのトラブルにも対応できるようになります。
2023年10月スタートの「インボイス制度」に関しても、万一のトラブルに備えて「下請法」や「フリーランス新法」をよく確認しておきましょう。取引先から違法行為を受けた場合、行政に相談すれば是正命令なども出してくれるようです。