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フリーランス保護新法はいつから施行?対象者や下請法との違いを解説

更新日: 2023/06/19 投稿日: 2023/06/02
フリーランス保護新法はいつから施行?対象者や下請法との違いを解説
  • フリーランスへの発注は、口頭ではなく文書での契約が必要になる
  • ほかにも色々とフリーランスを保護するためのルールができた
  • 2023年5月時点では未施行(施行日は遅くとも2024年秋ごろ)

INDEX

目次

    フリーランス保護新法とは?いつから施行?

    フリーランス新法とは、フリーランスが仕事を請けるときに不当な扱いをされないよう、取引先の企業などを規制する法律です。現時点では未施行ですが、2024年の秋ごろまでには施行される見込みです。

    フリーランス保護新法の内容

    なお、フリーランスが「一般消費者」から注文を受けたときや、ひとり社長などを含む「フリーランス」から発注された際には適用されません。フリーランス新法によって守られるのは、あくまで「従業員を雇っている事業者」から業務委託された場合だけです。

    保護対象者となるフリーランスの例

    • ITエンジニア、プログラマー、WEBデザイナー
    • ライター、イラストレーター、カメラマン
    • コンサルタント、マーケター
    • スポーツジムのインストラクター、トレーナー
    • フードデリバリーの配達員

    ※ 上記以外でも、従業員を雇っていない事業者は保護対象になりえます

    フリーランス新法は2023年5月に公布されましたが、未施行のため2023年6月時点ではまだ効力がありません。成立から1年半以内には施行される予定なので、遅くとも2024年秋までには適用開始となる見込みです。

    ちなみに、フリーランス新法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。既存の法律を改正するのではなく、新しい法律として作られたためいまのところは「フリーランス“新法”」や「フリーランス保護“新法”」と呼ばれています。

    【義務】発注側の企業がやるべきこと

    従業員を雇っている事業者がフリーランスに業務委託する際は、以下のような義務が生じます。この義務を果たさないと、公正取引委員会などから指導が入り、最高50万円の罰金となることがあります。

    フリーランスへ発注する企業に義務付けられること

    • 文書で契約内容を明記すること
    • 60日以内に報酬を支払うこと
    • 契約解除は30日前までに予告すること(継続的業務委託の場合)
    • 募集広告には、最新情報を正確に載せること
    • ハラスメントの相談窓口などを用意すること*
    • 育児や介護について配慮すること(努力義務)*

    * 違反に関する罰則規定なし

    仕事を依頼する際は、書面やメールで「委託する業務や成果物の内容、報酬金額、支払期日」などを明記しなくてはいけません(業務委託契約書)。電子契約サービスを活用すれば、送料や印紙税はかかりませんし、オンライン完結で手軽にやり取りできます。

    報酬の支払期日は原則「60日以内」ですが、この日数は“納品された日”からカウントします。したがって、支払日を「月末締めの翌々月末払い」のような形にしていると、意図せず60日を超えてしまうことがあるので注意しましょう。

    【禁止事項】発注側の企業がしてはいけないこと

    従業員を雇っている事業者がフリーランスに業務委託する際、一定の期間以上にわたる業務委託に関しては、以下の行為が禁止されています。違反すると公正取引委員会などから指導が入り、最高50万円の罰金となることがあります。

    なお、この「一定の期間」については、フリーランス新法の施行日までには具体的な期間が定められる予定です(2023年6月時点では未定)。

    フリーランスへ発注する企業に禁止されていること

    • 成果物などの受領拒否や返品*
    • 報酬の減額*
    • 相場を無視した買いたたき
    • 正当な理由なく、物やサービスを強制的に売りつけること
    • 発注者のために金銭、サービスなどを提供させること
    • 委託内容の変更・やり直し*

    * 受注側のフリーランスに責任がある場合を除く

    成果物やサービスに問題がないのに、受け取りを拒否したり、際限なく修正させたり、一方的に報酬を減らしたりはできません。また、業務とは何の関係もない商品などを、立場を利用して無理に売りつけてはいけません。

    いわゆる「サービス残業」のようなことをやらせるのもアウトです。たとえば、配送業のフリーランスに対し、倉庫の前まで運ぶだけの契約なのに「ついでに倉庫内の仕分け作業もやってよ」などと求めると、罰則の対象となる場合があります。

    被害を受けたフリーランス側はどうする?

    フリーランス新法が施行されたら、各地にフリーランスのための相談窓口が設置されるようです。相談の内容によっては、行政から企業に対して「勧告」や「命令」が行われ、命令に従わない企業には「50万円以下の罰金」が科されます。

    フリーランス新法 - 違反を受けた場合の流れ(相談~行政指導~行政処分)

    基本的には、上記のように段階を踏みます。フリーランスとしては「すぐに命令してほしい!」と思うかもしれませんが、うっかりミスの可能性もありますから、まずは「行政からのお願い」という形を取ることになっています。

    こんなときは相談窓口へ(一例)

    • 納期から60日を超えても報酬が支払われない
    • クライアント都合で報酬を減らされた
    • クライアント都合でリテイク・修正させられた
    • クライアント都合で受け取りを拒否された
    • 契約外の業務を追加でやらされた

    「窓口に通報したら、逆恨みで取引を切られたりするのでは?」という心配もあるでしょう。ですが、フリーランス保護新法では、こうした報復行為も勧告・罰金の対象です。勧告が無視された場合はその事実が公表されるため、一定の抑止効果は期待できます。

    「フリーランス保護新法」と「下請法」の違い

    フリーランスの立場から「フリーランス新法」と「下請法」を比較すると、フリーランス新法のほうが対象範囲は広くなっています。そのため、従来の下請法では保護されなかった事業者も、今後は保護されやすくなります。

    「フリーランス保護新法」と「下請法」の主な違い
    フリーランス新法 下請事業者
    保護の対象 業務委託を受けて
    一人で働くフリーランス
    下請事業者
    規制の対象 従業員を雇っている事業者 資本金が一定額以上の親事業者
    (少なくとも1,000万円超)
    主な義務 委託条件の明記、60日以内の支払い義務など
    主な禁止行為 不当なキャンセルや買いたたきの禁止など
    罰則 最高50万円の罰金

    「下請法」の規制対象は、資本金1,000万円超の事業者だけです。一方「フリーランス新法」ではこのような制限がなく、小規模な事業者とのトラブルにも対応できます。その他の大まかな内容は、だいたい共通しています。

    ちょっと細かな話をすると、フリーランス新法のほうが、より具体的に禁止事項などを記載しています。そのため、トラブルになったときに「ほら、この条文にダメって書いてますよね?」などと主張しやすくなっています。

    まとめ – フリーランス保護新法の要点

    フリーランス新法は、企業からフリーランスへの「無茶振り」を規制し、フリーランスが安定的に働けるようにする法律です。2023年(令和5年)5月に公布され、遅くとも2024年(令和6年)の秋ごろには施行される見通しです。

    フリーランス保護新法の内容

    保護される事業者 従業員を雇っていない個人事業主・法人
    (→ フリーランス)
    規制される事業者 従業員を雇っている個人事業主・法人
    主な規制内容
    (発注する側への規制)
    ・口頭での依頼はNG(文書で依頼する)
    ・60日以内に報酬を支払わないといけない
    ・不当な返品や受け取り拒否はダメ
    ・報酬を理由なく減額してはいけない
    ・極端な買いたたきもダメ
    違反時のペナルティ 50万円以下の罰金など
    施行日 遅くとも2024年秋ごろ

    ※ わかりやすくするため、表現を簡略化しています

    ここでいう「フリーランス」とは、従業員を雇っていない個人事業主・法人です。一般企業がフリーランスに業務委託する際は、下記の考え方を踏まえて行動しましょう。

    フリーランス保護法の考え方

    • フリーランスに仕事を頼むときは、きちんと文書で契約する
    • あらかじめ「業務内容・報酬金額・支払期日」などの条件を明記する
    • クライアントの立場を悪用した不当な要求をしてはいけない

    フリーランス保護法に違反した事業者には、公正取引委員会などから行政指導(助言・指導・勧告)が入ります。これに従わなかった場合は、その事実が一般に公表され、行政処分(命令・罰金)の対象となります。

    仕事を請ける立場のフリーランスも、こうしたルールを事前に知っておくことで、不当な扱いを受けたときに気づきやすくなります。もし実際に被害を受けた場合は、各地の相談窓口に通報できます。

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