「持続化補助金」は、申請要件を満たし、審査に通過した人だけが受け取れるお金です。使いみちがあらかじめ限定されるものの、貸付ではないので返済義務はありません。なお、名称が「持続化給付金」と似ていますが、まったくの別物です。
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「コロナ特別対応型」- 即時支給の特例あり!
持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓などの“取り組み”を支援する制度です。取り組みにかかった経費の一部が補助されます。今回、新型コロナの影響を乗り越えるため、新たに「コロナ特別対応型」の申請枠(=特別枠)が設けられています。
この補助金は、元々は「商工会」か「商工会議所」のどちらかを必ず経由して、助言や指導を受けながら申請する決まりでした。しかし、第3回締切の申請以降は任意となり、これらを経由することなく、直接申請できるようになりました。
小規模事業者持続化補助金(特別枠)の概要
単独で申請する事業者の場合 | |
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取り組みの類型 | A:サプライチェーンの毀損への対応(製品開発など) B:非対面型ビジネスモデルへの転換(EC販売など) C:テレワーク環境の整備 |
補助上限額 | 100万円 |
補助率 | A:2/3(約67%) B:3/4(75%) C:3/4(75%) |
主な申請要件 | ・小規模事業者である(=商業なら従業員が5人*以下) ・補助対象経費の1/6以上が、類型A~Cのどれかに当てはまる ・経営計画に基づいた地道な販路開拓等の取り組みである ・商工会か商工会議所の支援を受けながら取り組みを行う |
応募締切日 | 第5回:2020年12月10日(木) ←最終受付 ※第1回~第4回は終了 |
支給時期 | 一連の取り組みが完了した後 ただし「概算払いによる即時支給」の特例あり |
*専従者やアルバイトなどは、この人数にカウントしない
コロナ特別枠の目玉は「概算払いによる即時支給」の特例です。通常であれば、補助金が支給されるのは、取り組みがすべて完了した後です。しかし、この特例が適用されると、直ちに「交付決定額の50%」が受け取れます。
ただし、即時支給を受けるには「売上が前年同月比などで20%以上減少している」という別の要件を満たす必要があります。といっても「持続化給付金」の要件が「売上が50%以上減少」であることを踏まえれば、比較的ゆるい要件と言えます。
第一回公募(特別枠)の採択率は81.6%!
中小企業庁によれば、第一回の応募締切日までに、全国で6,744の申請があり、うち5,503が採択されました。今回の採択率は約81.6%です。補助金の種類によっては、採択率が50%を下回ることもあるので、いまのところ採択率は高めと言ってよいでしょう。
(追記)コロナ特別枠の第二回公募については、24,380件の申請があり、19,833件が採択されました。採択率は約81.3%と、依然として高い数字を維持しています。
使いみちの制約など
持続化補助金は、何にでも自由に使ってよいお金というわけではありません。申請の際にきちんと「経営計画書」を提出し、審査に通った後は、その計画通りに支出をしなくてはなりません。そのため、以下のように様々な制約があるのです。
持続化補助金(特別枠)の主な制約
- 銀行振込で払った経費でないと、原則として補助を受けられない
- 取り組みの内容などを変更したいときは「変更承認申請」を行う
- 一連の取り組みが完了したら「実績報告書」などを期日までに提出する
- 実績報告書などをきちんと提出しないと、補助金が受け取れない
- 補助を受けて購入した財産については、承認なしに処分できない場合がある
- 帳簿や証拠書類を5年間は保存しておかなくてはならない
- 完了から1年後の状況について「事業効果等状況報告」 を行う義務がある
ちなみに通常枠の場合は、さらに厳しい制約があります。たとえば「交付決定通知」を受け取る以前の経費については、原則として補助が受けられません。
支給までの大まかな流れ
現在はルール変更により、地域の商工会か商工会議所の支援なしでも申請可能です(以前は、支援がないと書類がそろわなかった)。ただ、手続きが複雑なので、支援を受けたいという方も多いでしょう。ここでは、支援を受ける場合の流れを説明します。
申請までの流れ
申請書は以下のページからダウンロードできます。事前にざっと目を通しておくと、相談もスムーズです。また、即時支給の特例を利用する場合は、申請時に「市区町村が発行した売上減少証明書」が必要なので、役所での手続きも並行して進めておきましょう。
>> 申請書式ダウンロード – 日本商工会議所
申請から支給までの流れ
通常は「補助金確定通知」が届いて初めて補助金の請求ができます。一方、コロナ特別枠において、即時支給の特例が適用された場合は、交付決定額の50%がすぐに入金されます。もちろん残りの50%も、通常どおり後で請求できます。
審査のポイント
補助金は、要件を満たして申請しても、審査に受からないと支給されません。審査は「基礎審査」と「加点審査」の2段階に分かれています。基礎審査で要件に合わない事業者がふるいにかけられ、加点審査において総合評価の高い事業者から順に採択されます。
基礎審査のポイント(簡易版)
- 必要な提出資料がすべて提出されていること(電子媒体の漏れに注意)
- 申請要件を満たしていること
- 取り組みを実行する能力を持っていること
- 小規模事業者が主体的に活動し、その技術等を基にした取り組みであること
加点審査のポイント(簡易版)
- 新型コロナの影響を乗り越えるための取り組みとして適切か
- 類型A~Cの一つ以上に関する取り組みであるか
個人事業主だからといって、審査に通らないということはありません。全国商工会連合会などが公表している「採択者一覧」の資料を見ても、個人事業主の採択実績は少なくないようです。第一回の採択者数は5,503でしたが、うち法人番号の記載がない採択者(≒ 個人事業主)数は1,978でした。
まとめ
持続化補助金の申請は、自力で書類を作成して郵送する方法と、地域の商工会か商工会議所に相談する方法の2通りあります。相談する際は、事業者の所在地によって管轄が異なるので、確認しておきましょう。
商工会 | 商工会議所 |
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・主に町村を管轄 ・都道府県ごとに「連合会」がある ・連合会のページに一覧などがある |
・原則として市を管轄 ・市名などで検索すると早い ・支部や支所がある場合も |
商工会WEBサーチ | 商工会議所検索 |
※商工会が市の一部を管轄する場合も多い
この補助金を利用できるのは、小規模事業者に限られます。法律上、従業員数が以下の表に当てはまる法人・個人を、小規模事業者といいます。なお、事業専従者やアルバイトなどは、「常時使用する従業員の数」には含まれません。
常時使用する従業員の数 | |
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商業・サービス業 | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
持続化補助金の「事業再開枠」について
通常枠と特別枠の他に「事業再開枠」という申請枠もあります。これは、特別枠よりもさらに使いみちが限定され、感染防止対策費(消毒、清掃、飛沫対策のアクリル板など)しか補助されません。その代わり、補助率は100%で、特別枠との併用もできます。