個人事業主向けに、マイナンバーカード読み取り用のICカードリーダーを使わずに、電子申告する方法を説明します。わざわざカードリーダーを買わなくても、電子申告は可能です。
-
本記事は2021年時点の情報についてまとめています。最新の情報については、下記のページをご覧ください。
【2022年】ICカードリーダーなしで電子申告する方法
INDEX
目次
ICカードリーダーの要否【方法別まとめ】
個人事業主の電子申告において、主な方法は下記の5つです。本記事では、それぞれの方法における「ICカードリーダーの要否」について説明します。
- 確定申告書等作成コーナーからマイナンバーカード方式で電子申告する
- 確定申告書等作成コーナーからID・パスワード方式で電子申告する
- 市販の会計ソフトから電子申告する
- 市販の会計ソフトで作ったデータを「e-Taxソフト(WEB版)」で送信する
- 市販の会計ソフトで作ったデータを「e-Taxソフト」で送信する
※「確定申告書等作成コーナー」は国税庁のウェブサイト
結論から言うと、どの方法でも「ICカードリーダーがぜったい必要!」ということはありません。
マイナンバーカード | ICカードリーダー | |
---|---|---|
①確定申告書等作成コーナー マイナンバーカード方式 |
必須 | 基本は必要* |
②確定申告書等作成コーナー ID・パスワード方式 |
いらない | いらない |
③市販の会計ソフト | 必須 | スマホで代用可能 |
④e-Taxソフト(WEB版) | 必須 | スマホで代用可能 |
⑤e-Taxソフト | 必須 | 基本は必要* |
* Windows + Androidならスマホで代用可能
- スマホでICカードリーダーを代用する場合は、スマホがマイナンバーカード読取に対応していることが前提。主な対応機種は、7以降のiPhoneや、2010年代後半以降に発売されたGalaxy・Xperia・AQUOSなど。
ここからは、上記5つの方法について、ICカードリーダーなしで電子申告ができる条件などを説明します。
① 確定申告書等作成コーナー(マイナンバーカード方式)
マイナンバーカード | ICカードリーダー |
---|---|
必須 | 基本は必要 (Windows + Androidなら不要) |
- 作成コーナーでは、申告データの作成から送信まで完結できる
- 「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の認証方式がある
- 「マイナンバーカード方式」だとカードは必須だがリーダーは代用可能
- 代用できるのは、WindowsとAndroidのペアを使う場合のみ
- Androidスマホはカード読み取りの対応機種であることが前提
WindowsパソコンとAndroidスマホのペアなら、スマホでマイナンバーカードを読み取れます。具体的には「JPKI利用者ソフト」という無料ソフトを使って、パソコンとスマホをBluetooth接続します。(Macパソコン・iPhoneは未対応)
ちなみに、確定申告書等作成コーナーはスマホからもアクセスできますが、スマホから電子申告までできるのは会社員(給与所得や雑所得しかない人)だけです。個人事業主が電子申告をする際は、パソコンからアクセスしましょう。
② 確定申告書等作成コーナー(ID・パスワード方式)
マイナンバーカード | ICカードリーダー |
---|---|
いらない | いらない |
- 作成コーナーでは、申告データの作成から送信まで完結できる
- 「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の認証方式がある
- 「ID・パスワード方式」ではカードを使わないためカードリーダーも不要
- 「ID・パスワード方式」は、税務署で事前手続きを済ませれば利用可能
「ID・パスワード方式」は、マイナンバーカードなしで電子申告ができる唯一の手段です。マイナンバーカードを使わないので、もちろんICカードリーダーも必要ありません。
「ID・パスワード方式」で電子申告をするには、税務署で事前手続きを行う必要があります。簡単な手続きなので、早ければ5分程度で済みます。(過去に税務署のパソコンで確定申告をしたことがある人は、すでに手続きが済んでいる場合もあります)
③ 市販の会計ソフト
マイナンバーカード | ICカードリーダー |
---|---|
必須 | スマホで代用可能 (方法はソフトによって異なる) |
- 大手の会計ソフトなら、申告データの作成から送信まで完結できる
- データ送信はパソコン or スマホアプリで行う(ソフトによって異なる)
- PCで送信する際、Bluetooth接続したスマホでカードを読み取れる場合も
- スマホから送信する場合は、スマホでそのままカードを読み取る
大手クラウド会計ソフトの対応状況は下記のとおりです。基本的に、対応機種のスマホを持っていれば、ICカードリーダーがなくてもなんとかなります。
大手ソフトの対応状況【ICカードリーダーの要否】
マイナンバーカード | ICカードリーダー | |
---|---|---|
弥生 | 必須 | 基本は必要 (Windows + Androidなら不要) |
freee | 必須 | スマホアプリから申告すれば不要 |
マネーフォワード | 必須 | スマホアプリから申告すれば不要 |
弥生
現状「やよいの白色申告 オンライン」と「やよいの青色申告 オンライン」は、パソコンからの電子申告にのみ対応しています。Windowsユーザーなら、前述した「作成コーナー」の場合と同様に、Androidスマホでマイナンバーカードを読み取れます。
freee
「freee会計」では、パソコンとスマホアプリの両方から電子申告ができます。スマホアプリから申告する際は、スマホでマイナンバーカードを読み取るので、ICカードリーダーは不要です。なお、パソコンから電子申告をする場合はICカードリーダーが必要です。
マネーフォワード
現状「マネーフォワード クラウド確定申告」は、スマホアプリからの電子申告にのみ対応しています。マイナンバーカードはスマホで読み取るので、ICカードリーダーは必要ありません。
④ e-taxソフト(WEB版)
マイナンバーカード | ICカードリーダー |
---|---|
必須 | スマホで代用可能 (バーコード認証 or Bluetooth接続) |
- 「e-Taxソフト(WEB版)」は国税庁のウェブサービス
- 会計ソフトで作った申告データを取り込んで、国税庁に送信できる
- 会計ソフト内で電子申告を完結できる場合は使う必要がない
- 送信時にマイナンバーカードが必須だが、リーダーはスマホで代用可能
e-Taxソフト(WEB版)の場合、スマホでICカードリーダーの代用をする方法は2つあります。これから利用するなら「2次元バーコード認証」のほうが手軽です。
2次元バーコード認証 による代用 |
QRコードでペアリングしたスマホでカードを読み取る MacやiPhoneも含め、幅広いデバイスで利用可能 |
---|---|
Bluetooth接続 による代用 |
Bluetooth接続をしたスマホでカードを読み取る Windowsパソコン + Androidスマホのペアのみ利用可能 |
※どちらも対応機種のスマホを使うことが前提
2次元バーコード認証
e-Taxソフト(WEB版)では、パソコン画面に表示したQRコードをスマホで読み取ることで、パソコンとスマホをペアリングできます。ペアリングしたスマホでマイナンバーカードを読み取れば、e-Taxソフト(WEB版)から電子申告ができる仕組みです。
【2022年1月~】確定申告書等作成コーナーも2次元バーコード認証に対応
Bluetooth接続
前述した「確定申告書等作成コーナー」と同様に、パソコンとBluetooth接続したスマホでマイナンバーカードを読み取ることもできます。ただ、MacやiPhoneでは利用できないうえ、2次元バーコード認証と比べると準備が少し面倒です。
スマホがICカードリーダーの代わりになる?【マイナンバーカード方式】
⑤ e-Taxソフト
マイナンバーカード | ICカードリーダー |
---|---|
必須 | 基本は必要 (Windows + Androidなら不要) |
- 「e-Taxソフト」は、Windowsパソコン専用のインストール型ソフト
- 使い勝手が悪く、わざわざ使用するメリットはほとんどない
- 会計ソフト等で作った申告データを取り込んで、国税庁に送信できる
- 一応、e-Taxソフト内で申告データを作って送信することもできる
e-Taxソフトから電子申告をする際には、前述した「確定申告書等作成コーナー」と同様に、Bluetooth接続をしたスマホでマイナンバーカードを読み取れます。ただ、こちらも利用できるのはAndroidスマホに限られます。
スマホがICカードリーダーの代わりになる?【マイナンバーカード方式】
まとめ
「ID・パスワード方式」の場合を除けば、個人事業主の電子申告にはマイナンバーカードが必須です。一方、ICカードリーダーは、条件がそろえばスマホで代用できます。(対応機種のスマホを使うことが前提)
マイナンバーカード | ICカードリーダー | |
---|---|---|
①確定申告書等作成コーナー マイナンバーカード方式 |
必須 | 基本は必要* |
②確定申告書等作成コーナー ID・パスワード方式 |
いらない | いらない |
③市販の会計ソフト | 必須 | スマホで代用可能 |
④e-Taxソフト(WEB版) | 必須 | スマホで代用可能 |
⑤e-Taxソフト | 必須 | 基本は必要* |
* Windows + Androidならスマホで代用可能
この中で少し特殊なのは、作成コーナーを「ID・パスワード方式」で利用する方法です。この場合は、そもそもマイナンバーカードが不要なので、ICカードリーダーも必要ありません。ID・パスワード方式は、税務署で手続きを済ませると利用可能になります。
ちなみに、ICカードリーダーは家電量販店やAmazonなどで普通に購入できます。価格も2,000~3,000円程度のものからあり、決して高いわけではありません。本記事で説明した方法が面倒そうなら、買ってしまうのもアリです。