国税庁はスマホでの電子申告を推奨していますが、国税庁のサービスを使ってスマホ申告できるのは「給与所得や雑所得しか得ていない人」だけです。個人事業主の場合、特定の会計ソフトを有料で利用しない限り、スマホからは電子申告ができません。
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目次
個人事業主がスマホで申告する方法
もともと個人事業主の電子申告は、パソコンから行うものでした。しかし昨今、市販ソフトのアップデートにより、対応アプリを使えばスマホからでも電子申告できるようになりました。
個人事業主向け 電子申告の対応状況【2021年現在】
確定申告書等作成コーナー | 市販の会計ソフト | |
---|---|---|
パソコン | ○ | ○ |
スマホ | ☓ | freee・マネーフォワードの ユーザーは可能に! |
スマホから国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」にアクセスすると、「収支内訳書」や「青色申告決算書」の作成・送信ができません。つまり個人事業主は、まだこの方法で電子申告ができないのです。
そんな中「freee(フリー)」と「マネーフォワード」のスマホアプリに、2021年から電子申告の機能が搭載されました。これを使えば、確定申告書類の作成から送信まで、個人事業主でもスマホで完結できるようになっています(無料プランを除く)。
今年から青色申告特別控除の要件が変更!
2021年に行う確定申告から、65万円の青色申告特別控除の要件に「電子申告」か「電子帳簿保存」のどちらかを行うことが追加されました。freee・マネーフォワードのスマホアプリから電子申告をしても、この要件は問題なくクリアできます。
【スマホ申告できる】会計ソフトのスマホアプリ
クラウド会計ソフト「freee」と「マネーフォワード クラウド確定申告」のスマホアプリが、いち早く電子申告に対応しました。スマホから申告データを送信するには、下記の3点を用意する必要があります。
必要なもの
- 会計ソフト(freee or マネーフォワード)のアカウント
- マイナンバーカードを読み取れるスマホ*
- マイナンバーカード
freee・マネーフォワードのスマホアプリでは、「マイナンバーカード方式」で申告データを送信するので、マイナンバーカードが必要です。税務署で事前にID・パスワードを発行してもらう「ID・パスワード方式」には対応していません。
マイナンバーカードは、申請してから届くまで約1~2ヶ月かかります。期日まで余裕のない人は、パソコンから「ID・パスワード方式」で「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。
>> 個人事業主が最短で電子申告する方法
【スマホ申告できない】確定申告書等作成コーナー
スマホから国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスした場合は、決算書(収支内訳書・青色申告決算書)の作成・送信ができません。将来的には作成・送信できるようになるはずですが、今のところは対応していません。
「確定申告書等作成コーナー」の画面(スマホ)
上図のとおり、スマホから開いたときのホーム画面で、収支内訳書や青色申告決算書を作成する方はパソコンを利用するよう注意書きが表示されます。
「確定申告書等作成コーナー」の画面(パソコン)
パソコンからのアクセスであれば、収支内訳書や青色申告決算書が作成できます。その他「消費税の確定申告書」や「贈与税の申告書」のデータも作成可能です。
パソコンからの申告でスマホを使うケース
パソコンから「マイナンバーカード方式」で電子申告する場合、マイナンバーカードを読み取る方法は2通りあります。「ICカードリーダーを使う方法」と「マイナンバーカードを読み取れるスマホを使う方法」です。
後者の場合、パソコンとスマホをBluetooth接続することになります(USBケーブルなどの接続は不可)。しかし、現状は下表の通りで「Windowsパソコン&Androidスマホ」の組み合わせでしか、この方法が使えません。
パソコンとスマホの通信可否 – マイナンバーカードの読み取り
スマホ | |||
---|---|---|---|
Android | iOS | ||
パソコン | Windows | ○ | ☓ |
Mac | ☓ | ☓ |
タブレットからも申告できる?
2021年から、タブレットでも「確定申告書等作成コーナー」を使って申告できるようになりました。ただ、この方法ではスマホ同様、決算書の作成・送信ができないので、個人事業主にはあまり関係のないアップデートといえます。
まとめ – 個人事業主が電子申告する方法
最後に、個人事業主が電子申告する方法を改めて整理しておきます。なお、細かくいえばほかにも方法が枝分かれしますが、本記事では申告しやすい方法をピックアップしています。
- スマホから、会計ソフトのアプリで電子申告
- パソコンから、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で電子申告
- パソコンから、会計ソフトで電子申告
① スマホから、会計ソフトのアプリで電子申告
デバイス | スマホ(マイナンバーカードを読み取れる機種) |
---|---|
対象者 | クラウド会計ソフトユーザー (freee or マネーフォワード クラウド確定申告) |
申告データの作成 | 会計ソフトで行う |
認証方法 | マイナンバーカード方式のみ |
現状、freeeとマネーフォワードのユーザーであれば、スマホから申告できます。スマホアプリは、どちらもiOS・Androidに対応しています。ただ「マイナンバーカード方式」でデータ送信するので、マイナンバーカードを読み取れる機種である必要があります。
freeeもマネーフォワードも、1ヶ月間は無料でお試しできるので、気になった会計ソフトがあれば実際に使ってみるといいでしょう。マネーフォワードならお試し期間中から電子申告の機能が使えます(freeeは不可)。
② パソコンから、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で電子申告
デバイス | パソコン(Windows or Mac) |
---|---|
対象者 | すべての人 |
申告データの作成 | 確定申告書等作成コーナーで行う |
認証方法 |
|
国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」で、書類作成からデータ送信まで行う方法です。パソコンの推奨環境は民間サービスよりもうんと厳しいので、この点には注意しましょう。
③ パソコンから、会計ソフトで電子申告
デバイス | パソコン(Windows or Mac) |
---|---|
対象者 | 会計ソフトユーザー |
申告データの作成 | 会計ソフトで行う |
認証方法 | マイナンバーカード方式のみ |
この方法では、提出する申告書類を会計ソフトで作成し、会計ソフトの申告ツールを使ってデータ送信します(e-Taxソフトを経由する方法もありますが、手間が増えるのでおすすめできません)。