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スマホでの確定申告が2020年から大幅アップデート

更新日: 2021/04/14 投稿日: 2020/01/24
スマホでの確定申告が2020年から大幅アップデート

2020年1月から、多くの給与所得者(会社員やパートタイマーなど)がスマホでカンタンに申告できるようになりました。ただし個人事業主や、副業として個人事業を営んでいる会社員にとってはあまり関係のないアップデート内容です。

INDEX

目次

    スマホで確定申告を行う方法

    「確定申告書等作成コーナー」のスマホ専用画面では、確定申告書類のデータ作成から送信までの動作をスマホで行うことができます。

    確定申告書等作成コーナーとは、国税庁が運営する書類作成用のウェブサイトのこと。入力したデータで、そのまま電子申告を行うことも可能。

    利用の際はアプリをダウンロードするのではなく、ブラウザ(SafariやGoogle Chromeなど)からアクセスします。

    スマホからe-Taxで電子申告ができるようになった

    確定申告書等作成コーナーの「スマホ専用画面(スマートフォン版)」とは、スマホ用にレイアウトが最適化された画面のことです。2019年1月に新設されました。

    スマートフォン用に最適化された確定申告書等作成コーナー

    スマホ専用画面は、スマホから確定申告をできるのがポイントですが、まだすべての確定申告に対応しているわけではありません。これに対して、パソコン用画面(パソコン版)は、すべての確定申告に対応しています。

    ちなみに「e-Taxアプリ」というAndroid端末専用のアプリもありますが、確定申告ができる機能は備わっていません。

    2020年からスマホ専用画面が大幅アップデート

    スマホ専用画面の提供が始まった2019年当初は、対象者や所得控除の種類がかなり限られていました。しかし、2020(令和2)年1月からその範囲が大幅に拡大されました。

    2019年12月まで 2020年1月から
    対象者
    • 一部の給与所得者
    • ほとんどの給与所得者
    • 雑所得(※)や一時所得がある人
    所得控除
    • 医療費控除
    • 寄附金控除
    • すべての所得控除
    利用方式
    • ID・パスワード方式
    • ID・パスワード方式
    • マイナンバーカード方式

    ※一部の雑所得は不可

    なお、上記の条件に当てはまっても、申告内容によってはスマホ専用画面で操作できないことがあります。スマホ専用画面で申告できない内容の場合は、パソコン版での利用を促す案内が表示されます。

    変更点① 対象者の範囲が拡大

    2020年1月6日から、ほとんどの給与所得者がスマホ専用画面で確定申告できるようになりました。給与所得者というのは、会社員やパートタイマーなど「会社から給与を受け取っている人」のことです。

    確定申告書等作成コーナーのスマホ専用画面の対象者の範囲が拡大【2020年から】

    今回から、勤務先で年末調整を受けられなかったケース(年の途中で退職した場合など)にも対応できるようになりました。また、1か所の会社で働いている人はもちろん、副業などによって2か所以上から給与を受け取っている人も、スマホ専用画面から確定申告できるようになります。

    さらに給与所得だけでなく、一部の雑所得(年金や副業での収入など)や一時所得(生命保険の一時金など)についても入力できるようになりました。ただし、まだ事業所得の入力には対応しないので、個人事業主はスマホ専用画面では確定申告できません。

    まだスマホ専用画面では入力できない主な所得

    概要
    事業所得 製造業、卸売業、小売業、サービス業など事業によって得た所得
    不動産所得 土地や建物といった不動産の貸付けで得られる所得など
    利子所得 銀行などに預貯金をして受け取った利息に係る所得など
    配当所得 株式の配当金や、投資信託の分配金に係る所得など

    変更点② すべての所得控除が申告可能に

    対象者だけでなく、申告可能な所得控除の幅も広がります。これまで医療費控除寄附金控除しか対応していませんでしたが、今回からすべての所得控除をスマホ専用画面から入力できるようになります。こちらも2020年1月6日から対応開始しています。

    すべての所得控除がスマホで申告可能【2020年から】

    たとえば「子どもの国民年金保険料を代わりに払っているので社会保険料控除を受けようと思っていたが、会社の年末調整で記入を忘れた」という場合でも、今回からはスマホ専用画面で申告できます。

    今回から「災害減免額」の入力も可能に

    スマホ専用画面で、災害減免法による申請も可能になりました。これは、災害によって損害を被った場合に所得税の軽減もしくは免除を受けられる制度です。自然災害等に見舞われたら、「災害減免法」と「雑損控除」のどちらか一方を選んで申請できます。
    >> 災害減免法と雑損控除の違い

    変更点③ マイナンバーカード方式も追加

    作成した確定申告の書類データは、国税庁に送信して提出完了となります。送信する際の方式は、今まで「ID・パスワード方式」しか選べなかったのですが、2019年1月31日からは「マイナンバーカード方式」も選択できるようになりました。

    スマホ専用画面からの申告に必要なもの

    ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式で必要なもの【電子申告】

    「ID・パスワード方式」とは

    マイナンバーカードを所持していなくてもデータを送信できるのが「ID・パスワード方式」です。この方式では、事前に税務署で発行した専用のIDとパスワードを用いて、データの送信を行います。ただ、この方式はマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応のため、2022年前後に見直される予定です。

    「マイナンバーカード方式」とは

    マイナンバーカードと、対応機種のスマホを持っていれば「マイナンバーカード方式」がおすすめです。必要なアプリをスマホにインストールすれば、その場でe-Taxを利用できます。利用の際は、スマホをマイナンバーカードにかざすことで情報を読み取ります。

    スマホでカードを読み取るマイナンバーカード方式

    基本的に「NFC」が搭載されているスマホが対応機種です。NFCとは、簡単にいうとスマホをピッとかざすだけで情報を読み取れる機能のこと。たとえば、iPhoneなら7以降が対象機種とされています。
    >> ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式

    まとめ – スマホ専用画面アップデートのスケジュール

    最後に、確定申告書等作成コーナーのスマホ専用画面アップデートについて、時系列でまとめておきます。申告可能な「所得」と「所得控除」の対象範囲拡大については、2020年1月6日(月)から、マイナンバーカード方式がスマホで利用できるのは2020年1月31日(金)からです。

    確定申告書等作成コーナーのスマホ専用画面更新スケジュール

    多くの場合、給与所得者が行う確定申告は、所得控除を追加で申告して納めすぎた税金の還付を受ける「還付申告」です。2019年分の還付申告は、2020年1月から受付を開始します。通常の確定申告期間は、2020年の場合2月17日~4月16日でした。

    2020年は1月5日までお正月休みです。そのため、受付開始は1月6日からになっています。スマホ専用画面のアップデートも1月6日から適用されます。

    また、スマホ専用画面から確定申告の書類データを送信できるのは、2019年分の申告データだけです。それ以前の申告については、パソコン版からでないとデータを送信できません。

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