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電子申告のメリット・デメリット【e-Tax】

更新日: 2022/03/15
電子申告のメリット・デメリット【e-Tax】

所得税の確定申告は、e-Taxを利用してインターネット上でも行えます(電子申告)。書面での申告と何が違うのか、電子申告のメリット・デメリットを個人事業主向けにまとめました。

INDEX

目次

    電子申告のメリット・デメリット

    個人事業主やフリーランスが確定申告をする方法は、大きく「書面での申告」と「電子申告(e-Tax)」に分けられます。電子申告を選ぶと、以下のようなメリット・デメリットがあります。

    電子申告の主なメリット・デメリット

    メリット デメリット
    • 自宅等から24時間利用できる
    • 添付書類の提出を省略できる
    • 還付をスピーディーに受けられる
    • 青色65万円控除を狙える
    • 会計ソフトとの相性がよい
    • 事前手続きが必要*
    • 利用環境の確認が必要
    • パソコンに不慣れだと難しい

    * 事前手続きは、マイナンバーカードを持っていれば不要

    電子申告の主なメリットは「業務の効率化」です。税務署や郵便局に行かなくてよいですし、ほとんどの添付書類は提出を省略できます。また、65万円の青色申告特別控除を狙えるので、青色申告の場合は節税メリットもあります。

    一方、大きなデメリットは「ややこしさ」です。これまで書面で提出していた事業主は、慣れるまでちょっと大変かもしれません。といっても、最近はe-Taxに対応した会計ソフトも増えており、以前より格段に利用しやすくなっています。
    5分でわかる電子申告のやり方【初心者向け】

    メリット① 自宅から24時間いつでも申告できる

    ネット環境などがあれば、時間や場所を問わず、サクッと確定申告が終わります。税務署の開庁時間や混雑具合を気にする必要はありません。基本的には、24時間いつでも利用できます。

    e-Taxの利用可能時間 – 確定申告時期と通常期

    e-Taxの利用時間 - 確定申告時期は24時間受付

    確定申告のシーズンなら、いつでも好きなタイミングで申告できます。ちなみに、個人事業主の確定申告期間は「原則2月16日~3月15日」ですが、2月15日以前に申告しても構いません。
    e-Taxの利用開始時期と申告期間

    メリット② 添付書類の提出を省略できる

    電子申告では、ほとんどの添付書類の提出を省略できるという制度があります。たとえば「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合、以下のような書類を別途で提出する必要はありません。

    提出を省略できる添付書類の例

    • 社会保険料控除の証明書
    • 小規模企業共済等掛金控除の証明書
    • 生命保険料控除の証明書
    • 地震保険料控除の証明書
    • 寄附金控除の証明書

    住宅ローン控除に関わる証明書など、一部の書類に限っては提出が必要です。しかし、それらの書類も、基本的には画像データでの提出が認められています。わざわざ別途で郵送する必要はありません。
    e-Taxで必要な添付書類

    メリット③ 還付をスピーディに受けられる

    還付金を受け取れるケース(還付申告)では、e-Taxを利用したほうが還付金の入金がスピーディです。電子申告なら、2~3週間後には還付金が入金されます。書面で還付申告をすると、入金には通常1ヶ月~1ヶ月半ほどかかります。

    還付申告から入金までに要する期間

    e-Taxで還付申告をした場合 書面で還付申告をした場合
    2~3週間ほど 1ヶ月~1ヶ月半ほど

    ※入金までに要する期間は、還付申告を行う時期によっても異なる

    ちなみに、e-Taxで還付申告をした場合は、還付金の処理状況をオンラインで確認できます。e-Taxにログインするだけで、入金予定日などが確認できるので便利です。

    メリット④ 65万円の青色申告特別控除を狙える

    65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記などの要件に加えて、「電子申告」か「電子帳簿保存」のどちらかを行う必要があります。「電子申告」のほうがカンタンなので、こだわりがなければ電子申告を選びましょう。

    青色申告特別控除の主な要件

    青色申告特別控除の要件(55万円・65万円)

    青色申告特別控除の要件を詳しく

    ちなみに「電子帳簿保存」とは、税務署に届出を行った上で帳簿を「優良な電子帳簿」の形式でデータ保存することです。大変めんどくさいので、電子帳簿保存はおすすめしません。
    どっちがいい?電子申告と電子帳簿保存

    メリット⑤ 会計ソフトとの相性がよい

    個人事業主向けのクラウド会計ソフトは、確定申告書類の大部分を自動で作成してくれます。さらに、会計ソフトの操作画面等から、そのまま電子申告することも可能です。

    e-Taxで確定申告する方法 - 会計ソフトからそのまま提出できる

    会計ソフトを使って電子申告をすれば、かなりの時間や労力を節約できます。また、「freee」と「マネーフォワード」はスマホ用のアプリを提供しており、これを使えば個人事業主でもスマホから電子申告も可能です。
    個人事業主がスマホで電子申告する方法

    なお、会計ソフトを利用していない場合も、国税庁が運営する「確定申告書等作成コーナー」というサイトを利用すれば、申告データの作成&提出は可能です(スマホ申告は不可)。

    デメリット① 事前手続きが必要

    所得税の電子申告は「マイナンバーカード方式」か「ID・パスワード方式」で行います。どちらを選んでも、初回はちょっとした準備が必要です。

    マイナンバーカード方式とID・パスワード方式の違い

    e-Taxを利用する際は、マイナンバーカードで本人確認を行うのが基本です(マイナンバーカード方式)。カードの発行には、1~2ヶ月ほどかかります。前もって、公式サイトなどで交付申請を済ませておきましょう。

    マイナンバーカードを用いない方法もありますが、その場合は事前に税務署で本人確認等の手続きを行う必要があります(ID・パスワード方式)。なお、この方式は「確定申告書等作成コーナー」でしか通用しないので注意しましょう。
    マイナンバーカード方式とID・パスワード方式の違いをわかりやすく

    デメリット② 利用環境の確認が必要

    一般的なパソコンであれば、大抵は問題なくe-Taxを使用できます。ですが、念のためOS・ブラウザなどの利用環境を確認しておきましょう。

    推奨環境の確認ページ(公式リンク)
    確定申告書等作成コーナー
    e-Taxソフト
    e-Taxソフト(WEB版)
    e-Taxソフト(SP版)

    また、「マイナンバーカード方式」で電子申告をする場合は、マイナンバーカードの読み取りに関しても、利用環境を整える必要があります。「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ」か「ICカードリーダー」を用意しましょう。

    デメリット③ パソコンに不慣れだと難しい

    e-Taxの公式サイトは情報がきれいにまとまっていないので、理解するのに一苦労です。たとえば、以下のような案内ページもありますが、一般的には馴染みの薄い言葉ばかりです。

    【e-Tax公式サイト】説明がわかりづらい

    e-Tax利用の流れ - 公式サイトは説明が複雑

    一方、民間のクラウド会計ソフトから電子申告する場合は、申告データの作成~提出までの手順が一本道でつながっています。わかりやすいガイドもついているため、e-Taxでの確定申告がスムーズに完了します。

    【会計ソフト】スムーズにe-Taxで電子申告できる

    電子申告用ソフトの起動(やよいの青色申告オンライン)

    画面は「やよいの青色申告オンライン」のもの

    「手軽に電子申告したい!」という個人事業主は、ぜひクラウド会計ソフトを導入してみましょう。
    e-Taxの対応状況で比較!おすすめのクラウド会計ソフト

    まとめ

    書面で行う確定申告と比べると、電子申告には以下のようなメリット・デメリットがあります。ざっくりまとめると、電子申告は「慣れれば便利だが、最初のうちは難しい」と言えます。

    電子申告のメリット・デメリット – 個人事業主・フリーランス

    メリット デメリット
    • 自宅等から24時間利用できる
    • 添付書類の提出を省略できる
    • 還付をスピーディーに受けられる
    • 青色65万円控除を狙える
    • 会計ソフトとの相性がよい
    • 事前手続きが必要*
    • 利用環境の確認が必要
    • パソコンに不慣れだと難しい

    * 事前手続きは、マイナンバーカードを持っていれば不要

    青色申告なら65万円の特別控除を狙えるため、金銭的にも電子申告をしたほうがおトクです。書面提出に強いこだわりがなければ、電子申告に慣れてしまうのが賢明でしょう。

    青色申告特別控除の主な要件

    青色申告特別控除の要件(55万円・65万円)

    なお、55万円or65万円控除を狙うには、複式簿記での帳簿付けなども必要です。青色申告用のクラウド会計ソフトを活用すれば、簿記の知識がなくてもこれらの要件を簡単にクリアできます。

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