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電子申告のメリット・デメリット【e-Tax】

更新日: 2020/10/05
電子申告のメリット・デメリット【e-Tax】

所得税の確定申告について、電子申告をする場合と、書面で提出する場合とを比較します。電子申告は、紙の書類を用意しなくてよいなどのメリットがあります。その反面、制度そのものがややこしく、メリットを活かしにくい部分もあります。

INDEX

目次

    電子申告のおさらい

    インターネットで各種税金の申告をすることを、一般的に「電子申告」と呼びます。所得税についても「e-Tax」というシステムを利用することで、電子申告ができます。電子申告をすれば、書面の提出にかかる手間を省くことができます。

    e-Tax(イータックス)は、国税庁が運営する「国税電子申告・納税システム」の呼称。e-Taxを利用すれば、国税に関する様々な手続きをオンラインで行える。所得税の電子申告にも、必ずe-Taxを利用する。

    個人事業主が所得税の電子申告を行う方法は、大きく2通りに分けられます。電子申告用のデータを「確定申告書等作成コーナー」で作る場合と、会計ソフトで作ったデータを利用する場合です。どちらも最終的にはe-Taxにデータを送信しますが、それまでのプロセスが異なります。

    e-Taxで電子申告する方法 - 確定申告書等作成コーナーと会計ソフト

    ちなみに「確定申告書等作成コーナー」は、国税庁が公開しているウェブサイトの名称です。本来は書類作成用のサービスですが、そのままe-Taxに接続して電子申告を行うこともできます。
    >> 個人事業主が電子申告をする流れ

    電子申告のメリット・デメリット

    所得税の確定申告を書面で行う場合と比べると、電子申告には以下のようなメリットとデメリットがあります。

    メリット デメリット
    • 自宅や事務所から申告できる
    • 添付書類の提出を省略できる
    • 還付をスピーディーに受けられる
    • 事前の本人確認が面倒
    • 利用環境が制限されている
    • 確定申告やパソコンに不慣れだと難しい

    電子申告の大きなメリットは、確定申告にかかる時間や労力を削減できるという点です。そもそも「確定申告書等作成コーナー」や市販の会計ソフトを利用すれば、書類作成の手間を大きく減らせますが、電子申告を行えば提出にかかる手間も省けます。

    一方、最大のデメリットは、事前準備から実際の操作まで含め、仕組みが分かりにくく使いづらいという点です。民間のウェブサービスほど上手く整備されていません。オンラインだからといって、必ずしも「確定申告がカンタンにできる!」というわけではないのです。

    【2020年分から】青色申告なら電子申告がおトク?

    2020年分の確定申告(2021年2月16日~3月15日に行う確定申告)からは、電子申告を行わないと「青色申告特別控除」の控除額を減らされてしまう場合があります。青色申告を行う事業主にとっては、電子申告を始める決め手となり得るポイントです。(詳しくは後述)

    メリット① 自宅や事務所から申告できる

    ネット環境とパソコンなどの必要なものがそろっていれば、電子申告はどこからでも可能です。書類を税務署まで持参したり、ポストへ投函したりする手間をまるごと省けます。さらに、期限日が迫っても、税務署の開庁時間や混雑具合を気にする必要はありません。

    e-Taxの利用に必要なもの

    ちなみに「確定申告書等作成コーナー」から「ID・パスワード方式」で電子申告をするなら、マイナンバーカードとICカードリーダーは不要です。ただし、その場合は税務署でID・パスワード方式の利用申請を済ませておく必要があります。(詳細は後述)

    確定申告のシーズンなら、e-Taxのシステムは土日祝日も含め24時間体制で稼働しています(メンテナンス時間を除く)。もちろんその間は「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト(WEB版)」も利用できるので、好きな時間に申告が可能です。
    >> e-Taxの利用開始時期と申告期間

    メリット② 添付書類の提出を省略できる

    電子申告では、ほとんどの添付書類の提出を省略できるという制度があります。たとえば「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合、以下のような書類を別途で提出する必要はありません。

    提出を省略できる添付書類の例

    • 医療費の領収書
    • 社会保険料控除の証明書
    • 小規模企業共済等掛金控除の証明書
    • 生命保険料控除の証明書
    • 地震保険料控除の証明書
    • 寄附金控除の証明書

    住宅ローン控除に関わる証明書など、一部の書類に限っては提出が必要です。しかし、それらの書類も、基本的には画像データでの提出が認められています。わざわざ別途で郵送する必要はありません。
    >> e-Taxで必要な添付書類

    メリット③ 還付をスピーディに受けられる

    還付金を受け取れるケース(還付申告)では、e-Taxを利用したほうが還付金の入金がスピーディです。電子申告なら、2~3週間後には還付金が入金されます。書面で還付申告をすると、入金には通常1ヶ月~1ヶ月半ほどかかります。

    還付申告から入金までに要する期間

    e-Taxで還付申告をした場合 書面で還付申告をした場合
    2~3週間ほど 1ヶ月~1ヶ月半ほど

    ※入金までに要する期間は、還付申告を行う時期によっても異なる

    ちなみに、e-Taxで還付申告をした場合は、還付金の処理状況をオンラインで確認できます。e-Taxにログインするだけで、入金予定日などが確認できるので便利です。

    以上が、書面での確定申告と比べた、電子申告の主なメリットです。ここからは、電子申告を選択する際のデメリットについて説明します。

    デメリット① 本人確認をするまでが面倒

    e-Taxを利用する際は、マイナンバーカードで本人認証を行うのが基本です。そのため、マイナンバーカードやカードリーダーを手に入れたり、専用のソフトをインストールしたりと、準備に手間がかかります(マイナンバーカード方式)。

    マイナンバーカード方式とID・パスワード方式の違い

    マイナンバーカードの発行には1〜2ヶ月ほど時間がかかります。つまりギリギリに交付申請をしたのでは、申告期限に間に合わないということです。前もって、公式サイトなどから交付申請を済ませておきましょう。

    マイナンバーカードを用いない方法もありますが、その場合は事前に税務署で本人確認等の手続きを行う必要があります(ID・パスワード方式)。いずれにしても、準備段階で多少の手間がかかることは避けられません。

    なお、ID・パスワード方式で電子申告ができるのは「確定申告書等作成コーナー」を利用する場合のみです。「e-Taxソフト(WEB版)」や「e-Taxソフト」から電子申告をする際は、マイナンバーカード(電子証明書)による本人確認が必須になります。
    >> マイナンバーカード方式とID・パスワード方式について

    デメリット② 利用環境が制限されている

    OSやブラウザなど、パソコンの利用環境によっては、システムが正常に動作しない場合があります。推奨環境は「確定申告書等作成コーナー」「e-Taxソフト」「e-Taxソフト(WEB版・SP版)」でそれぞれ異なるので、以下のリンクを参考にしてください。
    >> 確定申告書等作成コーナーの推奨環境
    >> e-Taxソフトの推奨環境
    >> e-Taxソフト(WEB版)の推奨環境
    >> e-Taxソフト(SP版)の推奨環境

    たとえば「e-Taxソフト(WEB版)」のページを開くと、下図のように利用環境チェックが自動で行われます。推奨環境に適合していなくても利用できる場合もありますが、誤作動で「せっかく入力したデータが消えた…」なんてこともあり得るので気をつけましょう。

    e-Taxソフト(WEB版)では自動で利用環境チェックが行われる

    デメリット③ 確定申告やパソコンに不慣れだと難しい

    電子申告で厄介なのは、そもそもの「確定申告の難しさ」に「システムのややこしさ」も加わるという点です。慣れれば便利な部分も多いですが、始めのうちは苦労するかもしれません。

    たとえば、e-Tax公式サイトのトップページには以下のような案内がありますが、一般的には馴染みの薄い言葉ばかりです。確定申告やパソコン関連の用語に慣れていないと、電子申告の全体的な流れを理解するだけで一苦労でしょう。

    e-Tax利用の流れ - e-Tax公式サイト

    税務署へ行けば、税務署のパソコンから電子申告ができる場合もあります。「いつでも・どこでも」という電子申告のメリットは活かせませんが、分からないことがあってもすぐに質問できるので、慣れるまでは税務署を頼るのもアリです。

    【2020年分から】電子申告が青色申告特別控除の要件に

    2020年分の確定申告(2021年2月16日~3月15日に行う確定申告)から、青色申告特別控除額の改正に伴い、65万円控除の要件に「電子申告か電子帳簿保存をしていること」という項目が加わります。

    青色申告特別控除額の改正【2020年分から】

    青色申告特別控除の変更点をくわしく

    従来の要件を満たしていても、この新要件をクリアしないと控除額は55万円に下がってしまいます。そのため、複式簿記による青色申告を行う人は、書面で確定申告をするより、電子申告をしたほうが節税につながるのです。

    ちなみに「電子帳簿保存」とは、税務署長の承認を得た上で、必要書類をデータの状態で保存することです。ただ、この承認を得るためのハードルが非常に高いので、少なくとも現時点では、あまり現実的な方法ではありません。
    >> どっちがいい?電子申告と電子帳簿保存

    まとめ – 電子申告のメリットとデメリット

    所得税の電子申告を行う際には、主に以下のような方法があります。

    e-Taxで電子申告する方法 - 確定申告書等作成コーナーと会計ソフト

    書面で行う確定申告と比べて、電子申告には以下のようなメリット・デメリットがあります。ざっくりまとめると、電子申告は「慣れれば便利だが、最初のうちは難しい」と言えます。

    メリット デメリット
    • 自宅や事務所から申告できる
    • 添付書類の提出を省略できる
    • 還付をスピーディーに受けられる
    • 事前の本人確認が面倒
    • 利用環境が制限されている
    • 確定申告やパソコンに不慣れだと難しい

    なお、2020年分の確定申告からは、青色申告特別控除65万円の要件に「電子申告か電子帳簿保存をしていること」という項目が加わります。青色申告者にとっては、電子申告を選択する大きなメリットが1つ増えるのです。

    税務署のパソコンで電子申告ができる場合もあります。分からないことを気軽に質問できるので、ひとまず税務署で試してみるのもおすすめです。書面での申告と比較して、自分に合った申告方法を選択しましょう。

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