マイナンバーカードを持っている人は、生命保険料控除や寄附金控除を受けるのに必要な証明書を、ウェブ上の「マイナポータル」で取得できます。さらに「マイナポータル連携」の機能を使えば、その書類を確定申告書の作成に活用することも可能です。
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目次
マイナポータル連携とは?
「マイナポータル連携」とは、簡単に言うと「マイナポータル」と別のサービスを連携して、情報をやりとりする機能です。本記事では「確定申告書等作成コーナー」でこの機能を使う場合について説明します。
- 保険会社が発行する控除証明書などを「マイナポータル」で受け取れる
- マイナポータルで受け取った書類を「確定申告書等作成コーナー」に取り込める
- 取り込んだ書類の内容は、申告書類の該当欄に自動で転記される (控除額など)
確定申告書等作成コーナーで「マイナポータル連携」の機能を使うと、所得控除に関する記入欄などの一部が自動で記入される、というわけです。これにより、書類の内容を手入力したり、控除額を自分で計算したりする手間が省けます。
ただし、現状「マイナポータル連携」で自動転記できる書類は限られています。また、連携機能を使うための準備も少し面倒です。よって、確定申告書等作成コーナーを利用する場合でも、無理に「マイナポータル連携」を使う必要はありません。
マイナポータル連携のメリット
マイナポータル連携最大のメリットは、本記事で紹介する「確定申告書へ記入する手間を減らせる点」と言えるでしょう。下記のような複数のサービスを、マイナポータルを介して連携させることで、申告書類への自動転記が可能になります。
マイナポータル連携でできること
データの 受け取り |
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サイトへの ログイン |
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「サイトへのログイン」は、マイナポータルにログインするだけで、それぞれのサイトへのログインも完了する機能のことです。これによって、サイトごとにID・パスワードをいちいち入力する手間が省けます。
自動転記できる書類
確定申告書等作成コーナーで、申告書類への自動転記が行える書類は以下のとおりです。
マイナポータル連携に対応する書類(確定申告書等作成コーナー)
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
- 医療費通知
- 寄附金受領証明書
- 寄附金控除に関する証明書
- 年末残高等証明書 (住宅ローン控除)
- 住宅借入金等特別控除証明書 (住宅ローン控除)
- 特定口座年間取引報告書
- 公的年金等の源泉徴収票
当然ですが、そもそもマイナポータル上で受け取っていない書類は自動転記ができません。まずは、書類の発行元とマイナポータルを連携して、書類をマイナポータル上で受け取れるようにしておく必要があります(手順は後述)。
- 大手の保険会社やふるさと納税サイトは、基本的にマイナポータル連携に対応している。
>> マイナポータル連携可能な発行主体一覧 – 国税庁
ちなみに「医療費通知」の情報は、マイナンバーカードを保険証代わりに使っている場合のみマイナポータル連携が可能です。
マイナンバーカードが保険証として使えるように!
マイナポータル連携を利用した書類作成【大まかな手順】
「マイナポータル連携」の利用に必要なもの
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー (もしくは、マイナンバーカードの読取りに対応したスマホ)
>> マイナンバーカードに対応したスマホ一覧 – 公的個人認証サービス
確定申告書等作成コーナーで「マイナポータル連携」を利用するには、下記のような事前準備が必要です。あらかじめ「書類の発行元(保険会社など)」と「e-Tax」を、それぞれマイナポータルと連携させておくわけです。
マイナポータル連携で確定申告書を作るには
① | マイナポータルに登録、ログインする |
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② | 書類の発行元や「e-Tax」を、それぞれマイナポータルと連携させる (連携の順番は、どちらが先でもOK) |
③ | |
④ | 確定申告書等作成コーナーから申告書を作成する |
マイナポータルと外部サービスを連携させる際は、マイナポータルの「もっとつながる」という機能を使います。ちなみに、書類の発行元とは「e-私書箱」や「MyPost」などのサービス(民間送達サービス)を介して連携します。
上記の連携作業が済んだら、確定申告書等作成コーナーにアクセスしましょう。以下のように進めていけば、確定申告書等作成コーナーに書類を取り込めます。
マイナポータル連携のQ&A – 気になるポイントまとめ
- マイナポータル連携の利用には、毎年同じ準備が必要?
- マイナポータルと外部サービス (保険会社やe-Taxなど) の連携作業は、最初の1回だけでOKです。翌年以降は、マイナポータルで受け取った書類を、すぐに確定申告書等作成コーナーへ取り込めるようになっています。
- 今後、マイナポータル連携で自動転記できる書類は増える?
- 以下の書類が2025年度までに対応予定です。
・小規模企業共済等掛金控除証明書(iDeCoなど)
・寄附金控除証明書(ふるさと納税以外)
・上場株式配当等の支払通知書
・給与所得の源泉徴収票 - マイナポータル連携で電子申告した場合、控除証明書等の保存は必要?
- マイナポータル連携で電子申告をすれば、控除証明書などのデータも一緒に送信できます(確定申告書等作成コーナーを利用する場合)。したがって、こうした控除証明書などの送信済データは確定申告後に削除しても構いません。紙に印刷して保管する必要もありません。
- 会計ソフトにも「マイナポータル連携」のような機能はある?
- クラウド会計ソフトの「freee会計」には、マイナポータルから控除証明書などを取り込む機能があります。ただ、控除証明書などを国税庁へデータ送信する機能は未実装です。そのため、freeeから電子申告をする場合は、控除証明書などを5年間保存します。保存媒体は、データと紙のどちらでもOKです。