電子申告を行うには複数の方法がありますが、オススメは税務署で「ID・パスワード方式」の手続きを行うパターンです。ただし、すでにマイナンバーカードを持っているのなら「マイナンバーカード方式」でも手間が少なく済みます。
2025年(令和7年)10月1日以降、e-TaxのID・パスワードは新規発行ができなくなる。これから新たにe-Taxを始める方は「マイナンバーカード方式」のみ利用可能。2025年9月30日以前にID・パスワードを発行済みの方は、当面は「ID・パスワード方式」での申告も引き続き利用できるが、将来的には利用できなくなる見込み。
目次
電子申告を始める方法
所得税の電子申告をするためには、まずe-Taxの利用開始手続きを行わなくてはなりません。e-Taxのシステムは、「利用開始届」を提出するか、あるいは「マイナンバーカード方式」の手順を踏むことで利用できるようになります。
※ 2025年10月以降、「ID・パスワード方式」におけるID・パスワードの新規発行は停止
これから電子申告を始めるなら、いずれかの方法でマイナンバーカードの登録が必要です。以前は税務署で個人認証用のID・パスワードを発行してもらうこともできましたが、2025年10月以降は新規発行が停止となっています。
2025年9月以前に税務署でID・パスワードを取得済みの人は、引き続き「ID・パスワード方式」での電子申告が可能です。とはいえ、これはあくまでマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な措置なので、まだカードを持っていない人は早めに用意しておきましょう。
おすすめのパターンは2つ
所得税の電子申告を行うなら、下図の①か②の流れが手っ取り早いです。ざっくり区別すると「すでにID・パスワードを持っている」という人には①、「これからe-Taxを活用していきたい」という人には②がおすすめです。
「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト」の機能について
① ID・パスワード方式の流れ – マイナンバーカードは不要
「ID・パスワード方式」は、国税庁が公開するウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」における本人確認の方式のひとつです。マイナンバーカードなしで電子申告ができる唯一の方式と言えます。
この「ID・パスワード方式」で電子申告をするには、2025年9月までに税務署でIDとパスワードを発行してもらう必要がありました。(2025年10月以降は新規発行不可)すでにID・パスワードを取得済みの人は、2025年10月以降もしばらくは「ID・パスワード方式」での電子申告が可能です。
「ID・パスワード方式」は、マイナンバーカードが普及するまでの一時的な方法です。すでにID・パスワードを取得済みであっても、今後いつ「ID・パスワード方式」が使えなくなるかわかりません。まだマイナンバーカードを持っていない人は、早めに用意しておくのが無難です。
② マイナンバーカード方式の流れ – マイナンバーカードが必要
「マイナンバーカード方式」とは、マイナンバーカードを使ったe-Taxの利用方法の名称です。マイナンバーカードに内蔵された「電子証明書」を用いて、ログイン時の利用者証明や、送信するデータの電子署名などを行います。
ID・パスワード方式と比べるとステップが増えますが、マイナンバーカードとICカードリーダーの用意が面倒なだけです。あとは「確定申告書等作成コーナー」へアクセスすれば、指示に従って操作するだけで電子申告を始められます。
マイナンバーカードの発行には1〜2ヶ月程度かかります。オンラインでの発行申請も可能ですが、受け取りの際は必ず役所などへ行かなくてはなりません。なお、カードリーダーはスマホで代用することもできます。
e-TaxでICカードリーダーが不要に【2022年1月~】
用意ができたら「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして、指示通りにセットアップを行いましょう。あとはカードを読み取って、簡単な情報を入力するだけでOKです。なお、e-Taxの「受付システム」にアクセスしても、同様の手続きが可能です。
使える機能の違い
e-Taxには電子申告の他にも様々な機能がありますが、その多くはマイナンバーカードに内蔵されている「電子証明書」による本人確認を済ませないと使えません。どこまで手続きを済ませているかによって、使える機能は以下のように異なります。
- 電子証明書とは、オンラインでの本人確認・改ざん防止に用いられる電子データ。マイナンバーカードには、電子申告に必要な電子証明書が内蔵されている。ID・パスワード方式なら電子証明書が無くても電子申告ができるが、これはあくまで特別な措置。
「確定申告書等作成コーナー」を使えば、基本的な電子申告は問題なく行えます。そのため、ID・パスワード方式を選んでいる利用者も多いのが実状です。
ただし、作成コーナーでは会計ソフトのデータを直接取り込んで送信することはできません。申告内容を改めて入力するのが面倒なら、マイナンバーカードを取得して、e-Taxソフトなどから電子申告をしましょう。
電子証明書がなくても使える機能(※) | 電子証明書があると使える機能 |
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※ID・パスワード方式の手続きを済ませている場合
マイナンバーカードをあとから取得したら【ID・パスワード方式からの移行】
これまで「ID・パスワード方式」だった人も、マイナンバーカードさえあれば、すぐに「マイナンバーカード方式」の電子申告に切り替えられます。その場合は、以下のいずれかの手順を踏むことで、e-Taxの全ての機能を使えるようになります。
ひとつは、e-Taxソフト(WEB版)にログインして「電子証明書の登録」を行う方法です。メニューの「利用者情報の登録・確認・変更」から、指示に従ってカードの読み取りなどを行えば、必要な作業が完了します。
もうひとつは、マイナンバーカードで「受付システム」にログインする方法です。ログインしようとすると、既存の利用者識別番号と電子証明書のひも付け作業が行えるので、指示に従って操作しましょう。
まとめ – これからはマイナンバーカード方式が主流に!
電子申告を始めるなら、従来は①か②の手順がおすすめでしたが、現在は②「マイナンバーカード方式」のみ有効です。①「ID・パスワード方式」は、もともとマイナンバーカードが普及するまでの“つなぎ”で用意された方式でした。2025年10月以降、ID・パスワードの新規取得はできません。
「マイナンバーカード方式」を利用するには、マイナンバーカードとカードの読み取り装置が必要です。といっても、最近は多くのスマホがマイナンバーカードの読み取りに対応しており、さほどハードルは高くありません。たとえば、iPhoneなら8以降が対応機種となっています。