大手クラウド会計ソフトメーカーの「freee(フリー)」と「マネーフォワード」が、スマホアプリからの電子申告に対応しました。本記事では「これを機にスマホで電子申告がしたい!」という個人事業主向けに、アプリの比較情報をまとめています。
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目次
freee・マネーフォワードならスマホ申告ができる!
これまで、個人事業主の電子申告はパソコンから行うものでした。しかし、クラウド会計ソフト「freee」と「マネーフォワード クラウド確定申告」のユーザーは、スマホアプリで電子申告ができます。
freee(フリー) | マネーフォワード | |
---|---|---|
アカウント料金 最安の月額プラン |
スターター 1,958円(税込)/月 |
パーソナルミニ 1,408円(税込)/月 |
アプリ料金 | ダウンロード無料 | |
スマホアプリ | ||
対応OS | iOS・Android | |
申告の種類 | 白色申告・青色申告 | |
必要なもの |
|
* マネーフォワードは無料トライアル期間中でも電子申告できる
freeeの場合、2つのスマホアプリを組み合わせて電子申告をします。といっても、アプリ間の移動はスムーズなので、煩わしさは感じません。マネーフォワードの場合は、1つのスマホアプリだけで電子申告できます。
なお、スマホアプリ版とWeb版のアカウントは共通です。したがって、すでに有料プランへ加入済みのアカウントを持っている人は、スマホアプリで新たに追加料金が発生することはありません。
会計ソフトのスマホアプリでできること
freeeとマネーフォワードのスマホアプリには、下記のような日常の会計業務で必要な機能が備わっています。両社で若干の違いはありますが、基本的な機能は同じです。
- 手入力による帳簿づけ
- 取引情報の自動取り込みによる帳簿づけ
- レシート撮影による帳簿づけ
- 分析レポートの自動作成
- 確定申告書類の作成
- 電子申告
ここからは、書類作成と電子申告の機能に絞って説明していきます。ほかの機能も詳しく比較したい人は、下記のページを参考にしてください。
>> 大手クラウド会計ソフトのスマホアプリを比較!
比較① 作成できる書類
確定申告で提出する書類は、スマホアプリからも手軽に作成できます。第三表や第四表を要する特殊な申告についても、Web版とほぼ同じように対応可能です。
作成できる申告書類
freee(フリー) | マネーフォワード | ||||
---|---|---|---|---|---|
Web版 | スマホアプリ | Web版 | スマホアプリ | ||
収支内訳書 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
青色申告決算書 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
申告書 | |||||
第一表 第二表 |
○ | ○ | ○ | ○ | |
第三表 | ○ | △* | ○ | ○ | |
第四表 | ○ | △* | ○ | ○ | |
第五表 | × | × | × | × |
* 直接編集したい場合は、Web版から操作する必要がある
書類はパソコンで作成してもOK
Web版とスマホアプリで常にデータが共有されるので、スマホ申告をする場合でも、書類作成まではPCを使っても構いません。つまり、「PCで作った書類をスマホから送信する」こともできます。
比較② 書類作成時の画面
申告書類の作成画面は、基本コンセプトからしてずいぶん異なる印象です。特に、freeeの操作画面は独特で、好みが分かれるところです。
freee(フリー) | マネーフォワード |
---|---|
タップすると入力欄が出てくる | チェックすると画面が切り替わる |
freeeは、上から順に質問に答えていくことで、抜け漏れなく書類作成できるような設計です。あまり画面が切り替わることもないので、サクサク進められます。ただ、人によっては、質問形式そのものがクドいと感じてしまうかもしれません。
マネーフォワードは一覧性が高く、申告する項目だけをサッと入力したい人に向いています。ただ、画面切り替えが頻繁にあるので、ちょっと迷子になりやすいです。
用語説明の丁寧さ・わかりやすさ
freee(フリー) | マネーフォワード |
---|---|
説明はやや乱雑だが、わかりやすい | 説明は丁寧だが、やや要領を得ない |
上記は、いずれも「扶養控除」において「所得」を説明した文章です。freeeには、このようなヘルプが各所に散りばめられています。一方、マネーフォワードは、freeeに比べるとヘルプの数自体が少なめです。
決算整理のしやすさ – 減価償却・棚卸し・家事按分
freee(フリー) | マネーフォワード |
---|---|
なし | |
申告書の作成画面からも決算整理ができる | 仕訳画面に戻らないと決算整理はできない |
決算整理とは、ざっくりいうと、その年の収入に含めるべきものがきちんと含まれているか、その年の経費に含めてはいけないものが含まれていないかを、年末時点で区切って整理することです。通常は、帳簿づけの段階で済ませます(決算整理仕訳ともいう)。
freeeなら申告書類を作成する段階においても、上記のように仕入れや家事按分など、決算整理に関する質問をしてくれます。なので手間は増えてしまいますが、やはり抜け漏れが生じにくいです。
マネーフォワードの場合は、アプリ版では仕訳画面からでないと決算整理ができません。
比較③ 電子申告の機能
どちらのスマホアプリでも、電子申告のおおまかな流れは同じです。freeeは電子申告専用の「電子申告アプリ」を使いますが、手間が大きく変わるわけではありません。
申告時に使用するスマホアプリ
freeeの場合 | マネーフォワードの場合 | |
---|---|---|
申告書作成 | ||
電子申告 (データ送信) |
freeeで電子申告 – スマホアプリ
freeeでは、2つのスマホアプリを連携させて申告データを送信します。スムーズに連携でき、操作に迷うことはありません。あえて面倒な点を挙げるなら、2つのアプリを組み合わせて使う都合で「利用者識別番号」を2回入力する必要があることくらいです。
マネーフォワードで電子申告 – スマホアプリ
マネーフォワードでは、1つのアプリだけを使います。実際に操作してみると、freeeよりもサクサク進められるよう感じました。
まとめ – freeeとマネーフォワードを比較
freeeもマネーフォワードも、無料お試し期間が設けられています。マネーフォワードなら、お試し期間中でも電子申告機能を使えます。freeeの場合、お試し期間中は電子申告機能を使えません。
【比較表】アカウント利用料金(税込)
freee | マネーフォワード |
---|---|
スターター 1,958円/月 12,936円/年 スタンダード プレミアム
|
パーソナルミニ 1,408円/月 11,880円/年 パーソナル
パーソナルプラス
|
両社ともに、確定申告月だけの契約も可能です。すぐに解約しても、アカウントを消さなければ、有料期間やお試し期間中に入力したデータは保持されます。
一方、「これを機に会計ソフトを本格的に使い始めるよ!」という人は、日々の帳簿づけ機能の使い勝手なども総合的に考えて、サービスやプランを選択する必要があるでしょう。このような観点からは、以下の記事で詳しく比較しています。
>> クラウド会計ソフトの主要3社を比較!弥生・マネーフォワード・freee
【比較表】freeeとマネーフォワードのスマホアプリ
freee(フリー) | マネーフォワード | |
---|---|---|
アプリ料金 | ダウンロード無料 | |
スマホアプリ | ||
申告の種類 | 白色申告・青色申告 | |
対応OS | iOS・Android | |
①作成できる書類 | ・収支内訳書 ・青色申告決算書 ・確定申告書 ・第三表 ・第四表 |
・収支内訳書 ・青色申告決算書 ・確定申告書 ・第三表 ・第四表 |
②書類作成の画面 | ・質問形式で抜け漏れ防止 ・ヘルプが多くわかりやすい ・決算整理もできる |
・必要項目を見つけやすい ・ヘルプは少ないが丁寧 ・決算整理は仕訳画面で行う |
③電子申告 | 2つのアプリを連携させる | 1つのアプリで完結 |
「スマホでの電子申告」で比較すれば、両社とも料金や機能面では大差ありません。ただ、インターフェイスが大きく異なります。お試しキャンペーンなどで実際に使ってみて、操作しやすい方を選ぶとよいでしょう。