会社員などの給与所得者は、確定申告書等作成コーナーの「スマホ専用画面」から、手軽に確定申告を行うことができます。この対象者や、申告できる内容について紹介していきます。
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目次
「確定申告書等作成コーナー」のスマホ専用画面とは
「確定申告書等作成コーナー」は、国税庁が運営する書類作成用のウェブサイトです。確定申告書類(申告データ)の作成と送信を、一連の流れで行えます。
確定申告書等作成コーナーには、スマホ用にレイアウトが最適化された「スマートフォン専用画面」が用意されています。本記事では、このスマートフォン専用画面を用いた確定申告のことを「スマホ申告」と呼んでいます。
スマホ申告の対象者は、今のところ会社員やパートタイマーなどの給与所得者が中心です。事業所得は未対応なので、個人事業主が確定申告書等作成コーナーで申告書を作成したい場合は、パソコン用の画面から行う必要があります。
申告できるのは2019年分以降のデータのみ
2020年現在、スマホ専用画面から送信できるのは、2019年分の申告データのみです。これより前の申告をしようとすると、スマホからアクセスしても途中でパソコン用の画面に飛ばされてしまいます。
還付申告などで2019年分よりも前の申告をしたい場合は、初めからパソコンで確定申告書等作成コーナーにアクセスしましょう。
多くの会社員がスマホ申告を利用できる
会社員などの給与所得者は、基本的にスマホ申告ができます。会社の年末調整を受け忘れた人や、2ヶ所以上から給与を受け取っている人にも対応しています。
ただし、申告可能な所得は「給与所得」「一時所得」「雑所得(一部対象外あり)」のみ。事業所得をはじめとした、その他の所得は申告できません。
スマホ申告できる所得・できない所得
申告できる | 申告できない |
---|---|
・給与所得 給与、賞与など ・一時所得 懸賞の賞金など ・雑所得 公的年金、原稿料、講演料 仮想通貨の利益など |
・事業所得 個人事業で稼いだお金 ・不動産所得 家賃収入など ・配当所得 株式の配当金、投資信託の利益など ・雑所得(左記以外) FXや先物取引の利益など など、左記以外の所得 |
ほとんどの雑所得はスマホ申告に対応しています。ただし一部には未対応のものもあり、たとえばFXによる利益はスマホ申告に対応していません。なお、同じ雑所得でも仮想通貨による利益についてはスマホ申告に対応しています。
スマホ申告が可能な控除
節税につながる「控除」を受ける際に、スマホ専用画面では一部申請できないものがあります。とはいえ、「医療費控除」や「寄附金控除」のような一般的な控除であれば、大抵のものはスマホ専用画面でも申請することができます。
申請できない控除のうち、代表的なものとして「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」の初年度の申告が挙げられます。これは、マイホームをローンで購入した人の税負担をおさえるための控除です。
>> 個人事業主の所得控除一覧
認証の方式は2種類から選択可能
申告データを提出する際には、ネット上で本人確認をする必要があります。この方式には「ID・パスワード方式」と「マイナンバーカード方式」の2種類があります。必要なものは、それぞれ以下の通りです。
>> どっちがいい?ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式
ID・パスワード方式
ID・パスワード方式を利用すれば、マイナンバーカードを持っていなくても申告データの送信が可能です。あらかじめ税務署の窓口で発行した「利用者識別番号(ID)」と「暗証番号(パスワード)」を用いて本人確認を行い、申告データの作成・送信を行います。
そもそもマイナンバーカードを持っていない場合は、ID・パスワード方式で行うしかありません。ただし、これはマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応として設置された方式です。今後見直される予定のものであることは留意しておきましょう。
マイナンバーカード方式
マイナンバーカード方式では、スマホをマイナンバーカードにかざしてカード情報を読み取ることで本人確認を行います。スマホでマイナンバーカードを読み取るには、対応機種のスマホを用意したうえで、専用アプリをインストールする必要があります。
※iPhoneの場合
ちなみにマイナンバーカードの読み取りに対応しているのは、Android端末なら「AQUOS」「arrows」「Galaxy」「Xperia」などの一部機種、iPhoneなら「iPhone7」以降の端末です。
スマホ申告ができない人は?
スマホ申告では、今のところ事業所得や不動産所得といった所得を申告することはできません。ここではスマホ申告ができない代表的なケースを紹介します。
スマホ申告ができないケース(一例)
個人事業を営んでいる | 事業所得は未対応 |
---|---|
家賃収入がある | 不動産所得は未対応 |
株式による利益がある | 配当所得は未対応 |
FXによる利益がある | 雑所得の一部(FXなど)は未対応 |
住宅ローン控除 | 住宅ローン控除の申告は未対応 |
2018年分以前の申告をする (還付申告などの場合) |
2020年に行う確定申告(※)以外は未対応 |
※2019年分の確定申告
FXによって得た利益は雑所得に分類されるものの、スマホ専用画面から申告することはできません。ただし、仮想通貨によって得た利益についてはスマホ申告が可能です。
まとめ
2020年の確定申告時期は2月17日(月)~4月16日(木)です。会社員であれば、所得は会社からの給料(給与所得)だけという人も多いはずです。その場合、確定申告書等作成コーナーの、スマホ専用画面から確定申告(スマホ申告)が可能です。
スマホ申告の対象範囲
対象範囲 | 備考 | |
---|---|---|
対象者 | 多くの給与所得者 (会社員・パートタイマーなど) |
個人事業主は対象外 |
所得 | 給与所得 一時所得 雑所得 |
雑所得は一部対象外のものも (FX・先物取引による利益など) |
控除 | すべての所得控除 | 住宅ローン控除(初年度の申告)などは対象外 |
提出方法 | ID・パスワード方式 または マイナンバーカード方式 |
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なお、e-Taxを利用して確定申告を行う場合、控除の証明書などの添付書類は、提出を省略することができます。ただし、添付書類は一定期間の保管が義務づけられているので、提出後はうっかり捨ててしまわないように気をつけましょう。