個人事業主とは?会社員や法人との違いから「個人事業主」を考える

更新日: 2020/09/16
個人事業主とは?会社員や法人との違いから「個人事業主」を考える

本記事では、個人事業主の働き方や法律上の義務について、会社員や法人との比較を通して説明します。自営業者やフリーランス、副業をするサラリーマンなども、会社を設立せずに事業を営んでいれば、個人事業主です。

INDEX

目次

    個人事業主とは

    個人事業主とは、株式会社などの法人を設立せず、個人の責任で事業を運営している人のことです。会社員やパートタイマーなどであっても、副業的に個人で事業を営んでいれば「個人事業主」だと言えます。

    こういう人も個人事業主!

    • 個人事業を営むだけでなく、アルバイトもしている
    • 平日は会社員、休日はフリーランスとして活躍
    • 従業員を雇って飲食店を個人経営

    また、必ずしも1人で活動しないといけないというわけではありません。従業員を雇っていても個人が運営している限り、税法上「個人事業主」です。

    事業規模もさまざまで、小規模な事業だけとは限りません。ただ、ある程度の規模になると、会社を設立(法人化)したほうが税金の面で有利な場合が多いです。そのため、個人事業主は、小規模な事業を営んでいるケースが一般的です。

    個人事業主が多い業種の例

    個人事業に多い業種例

    個人事業主と会社員の違い

    収入源によって、所得の種類と計算方法が異なります。基本的に、個人事業によって得た収入は「事業所得」、会社員として受け取った給料は「給与所得」です。

    事業所得と給与所得 - 個人事業主と会社員の所得の違い

    事業所得は、収入から必要経費などを差し引いて計算します。個人事業主は、帳簿づけをして事業所得の計算を行い、自分で確定申告するのが基本です。

    給与所得は、給料をもとに会社が計算します。大抵の場合、会社から「源泉徴収」や「年末調整」を受けることにより、給料から天引きされる形で納税が済んでいるので、自分で確定申告する必要はありません。

    社会保険の違い

    個人事業主が加入する社会保険は、基本的には国民年金・国民健康保険です。会社員が加入する厚生年金・健康保険に比べて、毎月の保険料が低い代わりに、給付や扶養の面で劣ります。

    個人事業主と会社員の違いを整理

    個人事業主 会社員
    所得の種類 事業所得 給与所得
    確定申告 基本、必要 基本、不要
    主な社会保険 国民年金
    国民健康保険
    厚生年金
    健康保険

    なお、事業所得と給与所得の両方を得ている場合は、これらを合算した上で、個人事業主として確定申告をしなければなりません。

    個人事業と法人の違い

    起業するにあたり、個人事業の開業と法人の設立、どちらかで迷っている方も多いのではないでしょうか。法人を設立する場合、代表取締役である事業主と法人とでは、法的にまったくの別人格として扱われることになります。

    法人とは
    民法などにおける権利・義務の主体になりえる資格を認められた組織等を「法人」と呼ぶ。たとえば、株式会社のような営利法人、労働組合のような中間法人、学校や医療機関のような公益法人などがある。

    個人事業の場合、事業で得た利益は「事業所得」として、そのまま事業主個人の所得になります。一方、株式会社などの法人を設立した場合、事業で得た利益は、法人の所得になります。事業主には法人から給与を支払う形になり、それが事業主の給与所得になります。

    個人と法人の税金の違い

    このイメージを一見すると、法人を設立すれば税金がかさむように見えますが、一概にそうではありません。全体的な所得の金額、あるいは所得をどう配分するかに応じて、個人事業と法人のどちらが税金面で得になるかは異なります。
    >> 個人事業と法人のメリット・デメリットを比較

    個人事業主の義務

    個人事業主は、1月1日から12月31日までに生じた収入や必要経費などを、帳簿をもとに集計し、原則として翌年2月16日~3月15日(期限日が土日祝日にあたる場合、翌平日が期限日)の確定申告期間に申告します。
    >> 確定申告について詳しく

    2020年(令和2年)の確定申告期間

    ※新型コロナウイルスの影響により2020年の確定申告期限は2020年4月16日(木)に延期
    >> 2020年(令和2年)の確定申告期限が延長

    1月1日~12月31日の収入や必要経費を、会計ソフトなどで帳簿づけします。帳簿の作成と保管は、すべての個人事業主に義務づけられています。もちろん、副業の人も同様です。

    そして、帳簿づけした内容をもとに確定申告書類を作成して、税務署へ提出します。つづいて、作成した確定申告書類の内容にしたがい、税金を納付します。これら一連の会計業務は、事業主が全て自分で行うか、税理士に代行を依頼します。
    >> 個人事業での記帳方法について
    >> 確定申告の流れ – 帳簿づけから所得税の納付まで

    自営業者やフリーランスについて

    個人事業主というのは、もとを正せば税法上の用語で、法人を設立せずに事業を営む個人のことを指します。

    これに対して「自営業者」や「フリーランス」は、いずれも税法上の用語ではありません。個人事業・法人の区別にこだわらず、別のニュアンスを出したいときに使う言葉です。要するに俗称なので、これらを自称するための手続きなどはありません。

    自営業者とは

    自営業者とは、自分で事業を営む人のことで、法人を設立しているかどうかは関係ありません。事業を「自ら」運営していることを、とくに強調したいときに使う言葉です。

    自営業者・個人事業主・フリーランスの違い

    基本的には、上図のように分類ができます。事業規模によらず、家族や従業員と一緒に営んでいる場合にも、自営業者という言葉が使われます。

    フリーランスとは
    フリーランスという言葉は、「特定の組織での仕事には専念しない」「時間や場所に縛られずに仕事を請ける」という、働き方の自由さを強調したいときに使います。案件単位で契約を結び、自らの知識やスキルを提供する人が、フリーランスの典型です。

    フリーランスの人は、会社を設立しているケースもありますが、基本的には個人事業主であることが多いです。しかし個人事業主でも、飲食店や小売店などで店舗を構えていれば、場所に縛られている点でフリーランスとは言い難いです。

    まとめ – 個人事業主の重要ポイントを整理

    ここまで、様々な見方から個人事業主について説明をしてきました。もう一度、重要なポイントをざっと整理しておきます。

    個人事業主と会社員の違い

    個人事業主 会社員
    • 収入から「事業所得」を計算する
    • 基本的に確定申告が必要
    • 国民年金と国民健康保険に加入する
    • 給料から「給与所得」が計算される
    • 大抵は確定申告が不要
    • 厚生年金と健康保険に加入する

    これは、一般的な個人事業主と、いわゆる正社員として働く会社員とを比較した場合です。収入や給料の金額、働き方が特殊なケースでは、上表の通りにならないこともあります。

    個人事業主と法人の違い

    個人事業主 法人
    • 事業主自身が事業の主体
    • 事業収入は事業主のものになる
    • 事業の利益 = 事業主の所得
    • 法人と事業主をわけて考える
    • 事業収入は法人のものになる
    • 事業主は法人から給料を受け取る

    法人を設立する場合、事業主と法人とでは、法的にまったくの別人格として扱われることになるので、このような違いが生じます。個人事業の開業と法人の設立、どちらも一長一短あり、どちらがよいとは一概には言えません。

    個人事業主の義務

    • 帳簿をつける(その年の1月1日~12月31日)
    • 確定申告をする(原則、翌年の2月16日~3月15日)

    個人事業主は、下図の会計期間において帳簿をつけ、原則として翌年2月16日~3月15日(期限日が土日祝日にあたる場合、翌平日が期限日)の申告期間に確定申告をします。

    2020年(令和2年)の確定申告期間

    自営業者とは

    • 事業を「自ら」運営している人
    • 個人事業でも法人でも、自営業と呼んでよい

    フリーランスとは

    • 時間や場所、特定の組織に縛られない自由な働き方をする人
    • 個人事業でも法人でも、フリーランスと呼んでよい

    自営業者やフリーランスは、個人事業主か法人かという法的な区分にかかわらず、それぞれの働き方を表現するための俗称です。たとえばインターネット上で情報を集めるときなどに、このような区別を知っておくと、検索ワードとして便利に使えます。