個人事業と法人の税金を比較してみた【300万・500万・1,000万】

更新日: 2020/09/30
個人事業と法人の税金を比較してみた【300万・500万・1,000万】

個人事業と法人について、税金の金額の違いを「300万・500万・1,000万」ごとに詳しく計算してみました。税額だけでなく、事務作業の手間など含めた総合的な違いを概要的に把握したい方は、まずは「個人事業と会社の違いを徹底比較 」の記事をご覧ください。

INDEX

目次

    「300万・500万・1000万」の税額比較

    税額の計算結果は、所得以外の要素(事業形態や事業主の年齢など)によっても変動します。そのため、あらかじめ共通の設定を作り、その仮定のもとで計算をしました。ざっくり言うと、従業員を雇わず、フリーランス的に1人で事業を営む状況を想定しています。

    今回の比較方法について

    個人事業と法人にかかる税金の違い(本稿での比較方法)

    イメージ左側の「個人事業」をご覧ください。収入から費用を差し引いて残るのが、所得です。本記事では、この個人事業の所得をベースに比較します。例えば、個人事業の所得が300万円であれば、法人においても、収入からイメージ内の「費用」を差し引いた金額が、同規模の300万円という設定での比較です。

    本記事では、上記の考え方にもとづいて、個人事業の所得「300万円・500万円・1,000万円」の3つの場合に分け、個人事業と株式会社の税額を比べます。株式会社については、事業主が一個人として納付する税金と、会社が法人として納付する税金とのトータルで考えます。

    トータルの税額で比較【所得300万・500万・1,000万】

    個人事業と法人をトータルの税額で比較【所得別グラフ】

    あくまで今回の設定を前提とした計算結果ですが、税額は以上のようになりました。300万円の場合は、トータルで納める税金は法人のほうが若干多いという結果です。しかし、500万円の場合は、個人事業の納税額が多くなり、1,000万円の場合ではその差がさらに開くという結果です。

    試算のための基本設定

    個人事業 株式会社(法人)
    事業年(度) 令和元年分 令和元年1月1日に始まる事業年度分
    事業主の
    年齢
    35歳
    事業主の
    居住地
    東京都新宿区
    事業所 1箇所(東京都23区内)
    従業員 従業員・専従者なし 従業員・本人以外の役員なし
    備考
    • 青色申告特別控除65万円あり
    • 資本金1,000万円以下の普通法人
    • 役員報酬は所得※の8割と仮定

    ※便宜上「法人所得+役員報酬等」を所得と表記

    以上が基本設定です。当然ながら、別の状況では別の計算結果が出てしまうので、ご注意ください。ここからは、今回の試算における重要ポイントや細かい内訳について説明します。

    今回の税額比較をする際の重要ポイント

    本記事の基本設定を前提とした場合、個人事業と法人の税額を比較するにあたって、以下4つのポイントが重要となります。これらを踏まえておくことで、計算過程をより深く理解できます。

    今回の試算で重要となる4つのポイント

    1. 税金の種類
    2. 給与所得控除の有無
    3. 社会保険の種類
    4. 事業税の違い

    なお、上記4点が重要なのは、あくまで今回の試算に限った話です。たとえば、役員報酬ゼロなら給与所得控除が関係なくなってしまうなど、すべてのケースでこの4点が重要ということではありません。

    また、状況を限定しているおかげで4つ程度で済んでいますが、本来なら事業所の数・資本金の額・法人所得と役員報酬の比率など、税額を計算する上で重要となりうるポイントは、他にいくつもあります。不動産や自動車の有無もそうです。

    ちなみに、不動産や自動車などを所有していると、税率の違いや家事按分の有無などにより、大きな税額の差が生じることもあります。ただし、今回の試算では、ごく基礎的な税目についてのみ比較をしたいので、それらは所有していないことにします。

    ポイント① 税金の種類

    個人事業と株式会社とでは、所得に関わる税金の種類が下表のように異なります。個人事業は事業主にのみ、株式会社は事業主と会社の両方に税金がかかります。今回の設定上、会社の構成員は社長のみなので、会社にかかる税金も、実質的には社長が一人で負担することになります。

    税金の違い – 個人事業と株式会社

    個人事業 株式会社
    個人として納税する
    • 所得税
    • 住民税
    • 個人事業税
    • 所得税
    • 住民税
    会社として納税する
    • 法人税
    • 地方法人税
    • 法人事業税
    • 法人住民税

    株式会社のほうが税目は多いです。しかし、重要なのはトータルの税額です。いくら税目が多かろうが、合計税額が少なければ問題ないわけです。トータルの税額には、色々なサイトで比較されているように、所得税・法人税の税率の違いなども影響します。

    所得税と法人税の税率比較

    気になる方も多いと思いますので、ここでは通俗的な比較方法にならい、単純に所得税と法人税だけを比べてみます。ただ、少し先取りして言っておきますが、税率の違いよりも給与所得控除の影響のほうが遥かに大きいです。

    所得795万円が分岐点となり、所得税額が法人税額を上回り始める

    所得330万円で税「率」が逆転しますが、税「額」が逆転するのはもっと所得が高いときです。結論だけ言うと、このような単純比較をすれば、税額は所得795万円を境に逆転します。一見、個人事業のほうが圧倒的有利に感じられるかもしれません。

    実際、所得がある程度低い(今回の試算条件では、所得が約300万円以下の)ときには、個人事業のほうが有利には違いないです。が、住民税や事業税などの様々な税目を含めた「トータルの税額」で比較すれば、普通はここまで極端に有利にはなりません。

    たとえば会社役員の場合、受け取った役員報酬に応じて「給与所得控除」が適用されたりするわけです。記事後半の試算でも試みているように、収入から控除される金額や、社会保険料の金額なども考慮しなければ、なかなか実態に即した総合的な比較はできません。

    ポイント② 給与所得控除の有無

    所得税額の計算において、給与所得が多いほど所得税の金額も高くなります。社長(事業主)の給与所得は、基本的に以下の計算で求めます。

    役員報酬(額面) - 給与所得控除 = 給与所得

    一方、個人事業主の事業所得に対しては、給与所得控除は適用されません。給与所得控除は、所得によっても異なりますが、65万円~220万円(令和元年度の場合)もの金額が控除されるため、この差は非常に大きいです。

    税額への影響が実際にどのくらいあるのかについては、後半のシミュレーションでご確認ください。

    給与所得控除額の表をグラフ化

    加えて、法人税などの会社にかかる税金を計算する際にも、役員報酬は必要経費(損金)として考慮されます。つまり、所得税の計算では役員報酬に対して給与所得控除を適用できる上に、法人税などの計算でも役員報酬は経費として計上できるのです。

    給与所得控除が見直される可能性は?

    本来、給与所得控除は、必要経費を考慮されにくい一般会社員のための仕組みです。しかし、一人会社である場合には、法人税・所得税の二段階で「必要経費」と「必要経費的な控除」を二重に受けられるわけです。

    これは会社経営者にとってあまりに有利なので、構造的な欠陥ではないかと、かねてより問題視されているほどです。実際、これを制限するために「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」の制度が新設されたこともあります(2010年度に廃止)。

    この問題は未だに解決には至っていないので、いずれは別の形で制限がかけられる可能性も考えられますが、少なくとも現状では法人が有利な状態のままです。

    ポイント③ 所得控除となる社会保険料の違い

    個人事業と法人とでは、社会保険の種類が異なります。基本的に、個人事業主は国民健康保険と国民年金、法人を設立・運営する場合は厚生年金と健康保険に加入します。保険料の合計金額を所得ごとに単純比較すると、以下のようになります。

    個人事業主と会社役員の社会保険料を所得別で比較

    パッと見ると、法人のほうが社会保険料が高くて損をしている印象ですが、一概にそうとは言えません。受けられる給付の面では厚生年金や健康保険のほうが優れているのに、その点を無視して負担金額の面だけを取り出して比較はできないからです。

    さらに負担総額が多い分、税額面で差し引ける金額も多いです。法人の場合、社会保険料の半分は会社負担になり、残り半分を自己負担します。会社負担分は経費となるので、法人税などの節税に寄与します。自己負担額についても、事業主の合計所得から全額控除されるので、そのぶん所得税などが節税できます。

    法人所得の算出方法

    法人所得の計算式における、社会保険料と役員報酬の位置づけ

    一方、個人事業主の場合は、自分の社会保険料を経費に計上することは一切できません。とはいえ、全額を所得控除とすることができるので、法人に比べて著しく不利というわけでもありません。

    ポイント④ 事業税の違い

    個人事業の場合は、事業所得から290万円を控除(=事業主控除)した金額に対して「個人事業税」がかかります。税率は業種によりますが、大抵は5%です。これは所得税や住民税と違って、租税公課として経費に計上できます。

    (事業所得 - 290万円) × 税率 = 個人事業税

    法人の場合は、法人所得に対して「法人事業税」がかかります。今回は、法人所得のうち800万円以下の金額に対して3.4%、400万円超~800万円以下の金額には5.1%の税率で計算しています。

    法人所得 × 税率 = 法人事業税

    また、令和元年9月30日までに開始する会計期間においては、法人事業税に地方法人特別税を加算する必要があります(令和元年10月1日以降は廃止)。今回の試算では、法人事業税の金額に対して43.2%が地方法人特別税となります。合計すると、これらは法人所得の約4.9%に相当します(法人所得800万円以下の場合)。

    個人事業税が必要経費になるのと同様に、法人事業税・地方法人特別税として納付した金額も損金に計上できます(法人税、地方法人税、法人住民税は損金算入できない)。

    ただ、今回の試算では計算のわかりやすさを重視し、個人事業税と法人事業税のいずれも前年(度)には発生しなかったものとして、必要経費や損金には含めずに計算しています。

    今回の試算設定では役員報酬の配分を多くとっている分、法人所得は全体的に低めになります。そのため税額計算の上では、事業税を経費に含めないという操作は、やや法人に対して有利に働きます。とはいえ、事業税を経費に含めたとしても大勢には影響しません。

    今回の試算のための基本設定

    繰り返しになりますが、以上4つの重要ポイントは、以下の基本設定を前提としたものでした。これから「300万・500万・1,000万」の各所得額ごとの税額について、より細かい内訳を説明します。もう一度、基本設定を確認したい方は、以下の表をご覧ください。

    個人事業 株式会社(法人)
    事業年(度) 令和元年分 令和元年1月1日に始まる事業年度分
    事業主の
    年齢
    35歳
    事業主の
    居住地
    東京都新宿区
    事業所 1箇所(東京都23区内)
    従業員 従業員・専従者なし 従業員・本人以外の役員なし
    備考
    • 青色申告特別控除65万円あり
    • 資本金1,000万円以下の普通法人
    • 役員報酬は所得※の8割と仮定

    ※便宜上「役員報酬+会社負担分の社会保険料+法人所得」を所得と表記

    大体のイメージとしては、一人で事業を営むフリーランス的な状況です。つまり、今回の試算で想定する法人は、いわゆる「一人会社」ということになります。一個人としての自然人と、法律上の人格である法人とが、実質的には一体となっているわけです。

    法人の税額試算における役員報酬の金額設定方法(本稿での設定方法を説明)

    今回、上のイメージのように所得の「8割」を役員報酬としましたが、この割合に大きな意味はありません。単に、300万円に対して役員報酬が5割や3割では、生活に支障をきたしかねないという理由で、今回は8割に設定しました。また、比較の条件を一定に保つために、500万・1000万の場合も同様に、役員報酬は8割で統一しました。

    なお、「会社負担分の社会保険料」の取り扱いについて関心がある方のために、以下の図に整理しておきます。ここは飛ばして読んでいただいても支障はありません。

    「会社負担分の社会保険料」は損金算入できる

    法人として得た収入の内訳と、一個人として得た役員報酬の内訳

    【300万円】個人事業の場合

    ここからは、実際に計算をしてゆきます。個人事業で得た所得を、仮に300万円と設定し、基本設定を踏まえて計算してみます。

    まず、受けられる控除の金額を整理します。社会保険料は、国民年金と国民健康保険の保険料の合計です。なお、国民健康保険料の算定基礎額についても、所得300万円に各種控除を適用することにより計算しました。

    所得税 住民税
    基礎控除 380,000円 330,000円
    青色申告特別控除 650,000円
    社会保険料控除 440,608円
    控除額の合計 1,470,608円 1,420,608円

    上記の控除を考慮すると、所得税の課税対象となる所得金額(=課税所得)は、「所得300万 - 控除147万818円」の式で求められます。この課税所得をもとに計算すると、以下のように税額が算出できます。

    課税所得 1,529,000円
    所得税 78,000円
    住民税 160,400円
    個人事業税 5,000円
    合計税額 243,400円

    以上のように、所得300万円に対して、合計税額は24万3,400円となります。また、実質的な税負担率を求めると、約8.1%であることがわかります。

    【300万円】法人の場合

    「所得300万円の個人事業と同規模の一人会社」という設定で試算をします。

    所得300万円の個人事業と同規模の法人(一人会社)を想定する

    株式会社を設立・運営している場合の合計税額については、代表取締役としての事業主にかかる税金と、会社に対してかかる税金とに分けて、まったく異なる計算を別々に行う必要があります。

    A 事業主にかかる税金

    まず、事業主にかかる税金から計算します。設定上、300万円の8割を役員報酬に設定するので、240万円です。ここから、自己負担分の社会保険料(厚生年金+健康保険)が算出できます。また、給与所得控除後の金額は、所得税法の「別表第五」に記載されています。

    所得税 住民税
    基礎控除 380,000円 330,000円
    給与所得控除 900,000円
    社会保険料控除 338,400円
    控除額の合計 1,618,400円 1,568,400円

    所得税の課税所得は「240万円 ー 161万8,400円」なので、78万1,000円です。これをもとに税額を計算すると、以下のようになります。

    課税所得 781,000円
    所得税 39,800円
    住民税 85,600円
    個人事業税 0円
    合計税額 125,400円

    B 会社にかかる税金

    次に、会社にかかる税金を計算します。税額計算の基準となる法人所得は、300万円から「役員報酬」と「会社負担分の社会保険料」を差し引いて求めます。その金額に税率をかけると、以下のようになります。

    法人所得 261,000円
    法人税 39,100円
    地方法人税 17,200円
    法人事業税 12,600円
    法人住民税 75,000円
    小計B 143,900円

    設定上、令和元年9月30日までに開始する事業年度に該当するので、法人事業税には地方法人特別税を含めています。また、法人住民税は、法人税の金額にかかる法人税割と、資本金の額などに応じてかかる均等割の合計金額です。

    合計の税金

    小計A 小計B 合計税額(A+B)
    125,400円 143,900円 269,300円

    ※「小計A」は事業主個人に対してかかる税金、「小計B」は会社に対してかかる税金

    以上のように、300万円に対して、合計税額は26万9,300円となります。実質的な税負担率は約9%で、所得300万円の個人事業主と比べて、約1%ほど負担率が高い計算になります。

    【500万円】個人事業の場合

    計算方法自体は、所得300万円のときと同様なので、ここからはサクサクと計算結果のみ紹介します。まず、控除額は次のとおりです。

    所得税 住民税
    基礎控除 380,000円 330,000円
    青色申告特別控除 650,000円
    社会保険料控除 630,408円
    控除額の合計 1,660,408円 1,610,408円

    300万円のときとほとんど変わりませんが、社会保険料控除が少し多くなっています。合計税額は、次のとおりです。

    課税所得 3,339,000円
    所得税 245,300円
    住民税 341,400円
    個人事業税 105,000円
    合計税額 691,700円

    所得500万円に対して、69万1,700円の税金がかかるので、実質的な税負担率は約13.8%です。

    【500万円】法人の場合

    結果だけを簡単に言ってしまうと、500万の時点で、会社のほうが個人事業よりも税額が少なくなります。これには、給与所得控除の金額が大きく寄与しています。

    A 事業主にかかる税金

    所得税 住民税
    基礎控除 380,000円 330,000円
    給与所得控除 1,340,000円
    社会保険料控除 570,528円
    控除額の合計 2,290,528円 2,240,528円

    個人事業主が受けられる、青色申告特別控除の上限が65万円であるのに対し、会社役員が受けられる給与所得控除は134万円と、倍以上です。その影響はもちろん税額にも現れます。

    課税所得 1,704,000円
    所得税 86,900円
    住民税 177,900円
    個人事業税 0円
    小計A 264,800円

    役員報酬で400万円(所得の8割)を受け取ったとき、事業主にかかる税金は26万4800円です。控除額が約230万円もあるので、課税所得が半分以下に引き下げられています。所得の8割で計算した結果とはいえ、所得500万円の個人事業主の税額が約70万円であることを踏まえると、かなり割安です。

    B 会社にかかる税金

    法人にかかる税金は、以下の通りです。

    法人所得 424,000円
    法人税 63,600円
    地方法人税 27,900円
    法人事業税 20,600円
    法人住民税 78,200円
    小計B 190,300円

    合計の税金

    小計A 小計B 合計税額(A+B)
    264,800円 190,300円 455,100円

    ※「小計A」は事業主個人に対してかかる税金、「小計B」は会社に対してかかる税金

    合計税額は45万5,100円で、実質的な税負担率は約9.1%です。300万円のときとほぼ同じ税負担率です。所得500万円の個人事業主に対して、23万6,600円ほど税額が低くなる結果となりました。

    【1,000万円】個人事業の場合

    所得1,000万円では、個人事業と法人の差がさらに顕著になります。国民健康保険料は上限に達しているので、社会保険料控除もこれ以上は上がりません。

    所得税 住民税
    基礎控除 380,000円 330,000円
    青色申告特別控除 650,000円
    社会保険料控除 990,671円
    控除額の合計 2,020,671円 1,970,671円
    課税所得 7,973,000円
    所得税 1,222,800円
    住民税 804,800円
    個人事業税 355,000円
    合計税額 2,382,600円

    所得1,000万円に対して、238万2,600円の税金がかかるので、実質的な税負担率は約23.8%です。4分の1近くが税金で持っていかれる計算ということですね。

    【1,000万円】法人の場合

    厚生年金については保険料が上限に達していますが、健康保険はまだ上限ではありません。給与所得控除も、上限額は220万円(令和元年分の場合)なので、全体の控除額はまだ上がる余地があります。

    A 事業主にかかる税金

    所得税 住民税
    基礎控除 380,000円 330,000円
    給与所得控除 2,000,000円
    社会保険料控除 1,066,860円
    控除額の合計 3,446,860円 3,396,860円

    個人事業主が受けられる控除額の合計金額は、約230万円でした。社会保険料の自己負担金額が逆転していることも要因の一つではありますが、影響力としては微々たるものです。やはり給与所得控除200万円が大きいことがわかります。

    課税所得 4,553,000円
    所得税 493,200円
    住民税 462,800円
    個人事業税 0円
    小計A 956,000円

    役員報酬を800万円(所得の8割)受け取ったとき、事業主にかかる税金は92万3400円です。

    B 会社にかかる税金

    法人所得 933,000円
    法人税 139,900円
    地方法人税 61,500円
    法人事業税 45,300円
    法人住民税 88,000円
    小計B 334,700円

    合計の税金

    小計A 小計B 合計税額
    956,000円 334,700円 1,290,700円

    ※「小計A」は事業主個人に対してかかる税金、「小計B」は会社に対してかかる税金

    合計税額は129万700円で、実質的な税負担率は約12.9%です。一方、個人事業の場合は238万2,600円で、負担率は23.8%でした。倍とまでは言えませんが、かなりの違いが出ていることがわかります。

    まとめ – 計算結果の集計

    今回の比較をまとめると、以下のようになります。おまけとして、800万・2000万・3000万円の場合も、同じ状況設定のもとで計算してあります(法人の場合は、ここまで見てきた例と同様、該当金額の8割を事業主の役員報酬と設定した場合)。

    個人事業と法人の比較 - 税額と実質的な税負担率

    1000万円以降、税率の差がそれほど開いていないのは、給与所得控除の金額が頭打ちになっているからです。それでもジワジワと差は開いていっているので、税率の違いも法人に対して有利に働いていることがわかります。

    以上、一定の状況下では、税額面でこのように大きな違いが出ることが明らかになりました。事業を営む方法として、個人事業か法人かで迷っている場合は、やはり税額面も具体的に試算してみるなどして、きちんと考慮したほうがよいです。

    また、設定上、減価償却の計算や損金の繰越処理など、今回は面倒な計算があまり生じませんでしたが、法人所得を算出するまでのプロセスは、実際にはもっと複雑です。税額面だけでなく、このような手間なども総合的に加味した上で判断することが重要です。