弁護士・税理士・社会保険労務士・行政書士・司法書士など、士業を営んでおられる方の集客方法についてまとめました。新規顧客の開拓・売上増加のためのアイデアとしてご活用ください。
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目次
主な集客方法10選 – 士業向け
士業者の主な集客方法をオンライン集客とオフライン集客に分けると、下表のようになります。
オンライン集客 | オフライン集客 |
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フリーランス協会の調査*によると、仕事獲得経路の第1位は「人脈」でした。他士業の先生や同業者からの紹介、顧客間での口コミなどは、とりわけ重要と言えるでしょう。
* 出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2024」
後述しますが、人脈を広げるには「交流会」や「ご近所への挨拶回り」などが有効です。その際、名刺にホームページやSNSのURLも記載しておくとよいでしょう。
オンライン集客① ホームページ・ブログ
事務所のホームページ・ウェブサイトを開設する際は、同業他社の良い点を真似しましょう。検索で上位表示されるサイトには、概ね以下のような共通点があります。
良いホームページのポイント
- 業務の対応地域が目立つように書かれている
- 問い合わせ方法、営業時間がひと目でわかる
- 「初めての方」向けの情報が、一箇所にまとまっている
- サービス内容がわかりやすく整理されている
- 料金が発生するタイミングや金額が明記されている
- 得意分野、実績、新着情報が一覧できる
- 先生の顔写真、事務所内の写真が掲載されている
SEO(検索エンジン最適化)とは?
簡単に言うと、ホームページをGoogle検索などで上位表示させる工夫を「SEO」といいます。様々な方法がありますが、ご自分で編集ができる方は、まず以下の施策から手を付けるとよいでしょう。
- ページに適切なタイトルや見出しをつける
- 地域名など、検索されやすいキーワードをホームページに記載する
- 定期的にホームページの改善や更新を行う
オンライン集客② SNSの活用
士業者の顧客にとって、SNSは先生のお人柄を知る手がかりです。以下のように、それぞれ特性が異なります。
SNSごとの特性
年齢層 | 10代~40代 わりと若め |
30~50代 高め |
10~30代 若め |
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活動 | – | 実名 | – |
コミュニティ特性 |
現実の友人 知人 趣向の近い他人 |
現実の友人 知人 仕事関係の人 |
現実の友人 |
拡散性 | 高い | そこそこ高い | 高くない |
集客目的でどれか一つだけ選ぶとしたら、Facebookをおすすめします。上記の通り、他のSNSに比べて顧客との接点を持ちやすいためです。
オンライン集客③ 他社サイト露出
ポータルサイトやクラウドソーシングサイトには、すでに見込み顧客が集まっています。これらのサイトに士業者の情報が載ることで、ホームページへの集客効果やSEOへの好影響が期待できます。
ポータルサイト | クラウドソーシングサイト |
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上記のほか、ネット記事の監修やインタビューなどを通じて、潜在顧客へ訴求する手法もあります。ちなみに、当メディア「自営百科」でも、税理士の先生に監修していただいた記事を公開しています。
オンライン集客④ メールマガジン
すでに接点のある“潜在的な顧客”に対しては、メルマガによる情報配信も効果的です。たとえば、以下のような接点からメールアドレスを入手できます。
- 交流会などで名刺交換した方
- セミナーや相談会の参加者
- ホームページから問い合わせのあった方
- 過去に取引のあった方
継続して読んでもらい、依頼につなげる工夫が必要です。具体的な手法としては、何通かに分けて段階的に顧客を誘導していく「ステップメール」が有名です。
普通のメールソフトでは機能に限界があるので、「まぐまぐ」や「配配メール」などのメルマガスタンド(= メール配信システム)を活用するとよいです。
「LINE公式アカウント」の活用
メリット | デメリット |
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「LINE公式アカウント(旧:LINE@)」を利用すると、いわば「LINE版メルマガ」のような情報配信が可能です。余力があれば試してみましょう。
オンライン集客⑤ WEB広告
個人開業した士業者でも、インターネット上に広告を出すことはできます。たとえば、Google検索をすると、以下のような広告が表示されることがあります。これを「リスティング広告」といいます。
他にも「ディスプレイ広告」や「動画広告」など、様々なWEB広告があります。とはいえ、いずれも相応の費用がかかります。基本的には法人企業との競合になるので、個人事業の規模ではあまり活用されていないのが実情です。
オフライン集客① 紹介・口コミ
紹介・口コミからの問い合わせは、「優良顧客」や「お得意様」の獲得に転じる可能性が高いです。質の高いサービスを提供するのは大前提として、ほかに以下のような対策が効果的とされています。
紹介・口コミ対策の例
- 他士業の先生、同業者に得意分野をアピールしておく
- 既存顧客にも、紹介歓迎の旨を伝えておく
- 顧客へのアフターサービスを徹底する
- 季節の挨拶状などをまめに送る
- 評判のよい同業者を参考にする
士業同士のつながりは、紹介・口コミ対策の上でも非常に重要です。事務所を開設したら、ご近所の他士業の先生・同業者への挨拶回りはぜひ行いましょう。異業種交流会・士業交流会に参加するのもおすすめです。
オフライン集客② 販促物の制作
古典的な手法ではありますが、チラシ・看板などの販促物も、工夫次第でまだまだ有効です。一例として、以下のような販促物が挙げられます。
- チラシ
- DMはがき
- パンフレット
- リーフレット
- 看板
- ポップ
チラシやDMはがきは、こまめに作り直したほうがよいです。「デザイン料がもったいないから、大量発注して長く使いまわそう」などと考えると、どうしても紙面が情報過多に陥りがちです。そのようなチラシは、結局読まずに捨てられてしまう可能性が高いです。
オフライン集客③ 個別の経営相談
士業者の場合、いわゆる「無料相談」などを通じて、実力を直接アピールする機会を設けることができます。ちょっとした「お試しサービス」を、無料or安価で提供するようなイメージです(フロントエンド商品)。
顧問契約に繋げるお試しサービス(一例)
税理士 | 無料税務相談、単発での決算申告・確定申告 |
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弁護士 | 無料法律相談、紛争予防コンサルティング |
行政書士 | 補助金診断、就労ビザ申請 |
社会保険労務士 | 助成金診断、就業規則の作成 |
中小企業診断士 | 事業計画書の作成代行、会社設立のサポート |
無料相談を行う場合には、あらかじめ時間などを決めておきましょう。30分間程度に設定する士業者が多いようです。あくまで「お試し」なので、サービスのしすぎには注意しましょう。
オフライン集客④ 相談会・セミナー主催
士業相談会や士業セミナーへの「参加・登壇・主催」により、見込み顧客との接点を作ります。売上には直結しづらいですが、以下のような利点があります。
- 見込み顧客のリストが手に入る
- 自分の専門性をアピールできる
- 潜在顧客のリアルな悩みを聞ける
- 流れによっては、その場で依頼を受注できる
- 他士業の先生と共催すれば、人脈が広がる
とはいえ、いきなり自ら会場を借りて参加者を募るのは、少し抵抗があるかもしれません。その場合は、ひとまずオンラインセミナーやステップメールで反応を探るのもよいでしょう。
オフライン集客⑤ 書籍発行
ある程度の実績ができたら、書籍の出版も視野に入ります。メルマガやセミナーの内容をふだんからきちんと整理しておくと、原稿を書く際に大変役立ちます。
商業出版 |
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自費出版 (紙の本) |
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自費出版 (Kindle) |
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「商業出版」を狙う場合は、出版社へメール等で直接打診するのがオーソドックスな方法です。もし知り合いに出版経験のある人がいれば、その伝手を頼ることも考えられます。
紙の本を「自費出版」する場合、やはり費用面がネックです。知り合いの士業者との共著で出版する道もあるので、検討してみましょう。紙の本にこだわらなければ、Kindleでも一定の効果は期待できます。