屋号の決め方【2つのルールと5つのポイント】

更新日: 2020/09/16
屋号の決め方【2つのルールと5つのポイント】

個人事業の屋号をつけるときに守るべき2つのルールと、屋号の考案に使える5つのネーミングポイントをまとめました。具体的な企業名や商品名を例に挙げながら、効果的な屋号のつけ方を紹介していきます。

INDEX

目次

    屋号をつけるときに守るべき2つのルール

    屋号には、ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベットなど、好きな文字を使うことができます。会社名ほどルールに縛られることがなく、自由度が高いです。ただ、屋号をつける際に守らなければいけない最低限のルールがあります。

    法的に規制されている主なルール

    1. そもそも屋号として使用できないワードがある
    2. 商号登記や商標登録がされている名称は基本NG

    ① そもそも屋号に使用できないワードがある

    「●●会社」や「●●法人」といった名称は、会社だと誤解される恐れがあるため、法律によって禁止されています。英語の名称にする場合も同様で「●● inc.」「●● Ltd. 」「●● Co., Ltd.」などは使用できません。

    屋号に使用できる主なワード 屋号に使用できない主なワード
    • 事務所、オフィス
    • 企画、制作、スタジオ
    • カフェ、喫茶店、レストラン
    • 会社、株式会社、合同会社
    • 法人、一般社団法人、社会福祉法人
    • 銀行、労働金庫、信用金庫、保険

    たとえば、会社法には「会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。」と明記されています。これと同じように、銀行法や労働金庫法などによって、上記に該当するワードを名称に含めることが禁じられています。

    ② 商号登記や商標登録がされている名称は基本NG

    簡単にいうと、商号は法人名や会社名のことで、商標は商品名やサービス名(いわばブランド名)のことです。商号登記済みの名称を同一市町村で不正に用いると、権利侵害となる恐れがあります。商標登録済みの名称を日本国内で不正に用いた場合も同様です。

    商号 商標
    具体例
    • 株式会社ファーストリテイリング
    • 任天堂株式会社
    • UNIQLO
    • 任天堂\Nintendo
    • ピカチュウ
    保護範囲 同一市町村 日本全国
    管轄 法務省 法務局 経済産業省 特許庁

    屋号を決める際は、すでに同じ名称の商号や商標が存在していないか確認をしておきましょう。商号は「オンライン登記情報検索サービス」で、商標は特許庁が運営する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で、それぞれ調べることができます。

    屋号をつける際のポイント5つ

    ここからは、より良い屋号をつけるためのポイントを5つにわけて紹介していきます。

    1. 事業内容がわかりやすい名称にする
    2. 読み書きのしやすさを意識する
    3. 検索されやすいワードを入れる
    4. ドメインが取得できるか確認しておく
    5. 屋号に意味をもたせる

    業種によって重視すべきポイントは異なるので、5つのポイントをすべて考慮する必要はありません。ただ、これらを意識して屋号をつければ、顧客認知の向上や顧客接点の増加につながり、ビジネスをする上で有利に働くはずです。

    ポイント① 事業内容がわかりやすい名称にする

    多くの個人事業において重要なのは「屋号を見ただけで誰からでも事業内容を理解してもらえる」ということ。屋号はいわば、事業の“顔”です。適切な屋号をつければ、事業の認知度アップも期待できます。

    事業内容がわかりやすい屋号を付けよう

    たとえば、飲食店の名称が「レストラン●●」のようにシンプルな名称だと、どんな料理を提供しているのかは分かりません。ここに「イタリアン」を追加すれば、イタリア料理の店だとすぐに伝わります。

    飲食店の場合、料理名を入れることで主力商品がダイレクトに顧客へ伝わります。大企業でいうと「はなまるうどん」や「ドミノピザ」のネーミングがそれに当たります。

    フリーランスの場合、デザイナーなら「グラフィックデザイン」「Webデザイン」、エンジニアなら「IT」「システム」といった具体的なキーワードを入れることで、自分の得意分野を相手に伝えられます。名前とセットで覚えてもらいたいなら「オフィス北野」のように、苗字や名前を入れるのもアリです。

    社会的な信頼感をアップさせる方法

    「会社」や「法人」などの言葉は使えませんが、「事務所」や「オフィス」などを屋号に盛り込むことは可能です。これらのワードには、対外的な信頼をアップさせる効果があるので、信用を重視する場合におすすめです。

    ポイント② 読み書きのしやすさを意識する

    屋号は自己紹介の際など、口頭で伝える機会が頻繁にあるかもしれません。また、名刺や看板などに記載するので、取引先や顧客の目に触れる場面も多いです。よって、読み上げやすく、それでいて書きやすい、実用的な屋号であることが望ましいといえます。

    読み書きしやすい名前にする - 屋号の付け方

    「やたらと長い名称」や「聞き間違えが起こりやすい名称」も避けたいです。電話で応対する際に、相手に聞き取ってもらえず、無駄な時間を割くことになりかねません。屋号をつける際は、短くてわかりやすいキャッチーな名称を意識しましょう。

    また、日本人を相手に事業を営むなら、日本人が受け入れやすい語感の名称を心がけましょう。ドイツ語やフランス語など、あまりなじみのない言語を使った屋号にすると、オシャレな印象は与えられますが、認識してもらいにくいです。

    もちろん、外国語を用いた名称でも成功している例は多いです。たとえば、株式会社スタジオジブリの「ジブリ」は、イタリア語に由来します。このように外国語でも、カタカナなどに直してある短い名称なら、覚えてもらいやすいのです。

    ポイント③ 検索されやすいワードを入れる

    検索にひっかかりやすいワードを屋号に組み込めば、それだけでインターネットからの集客につながる可能性があります。

    検索を意識したネーミング - 屋号の決め方

    「新宿●●法律事務所」のように地域名と事業名を含む屋号にすれば、「新宿 法律事務所」などで検索したとき、それだけで検索結果の1ページ目に表示される可能性があります。このネーミングは、活動の中心となる地域を認知してもらうことにもつながります。

    名前を入れた屋号にする場合、同業種のビッグネームと被ってしまうと検索時に埋もれてしまうので気をつけましょう。たとえば、家具屋を営む似鳥さんが「ニトリ家具」という屋号をつけても、株式会社ニトリの公式ホームページに検索で勝つことは難しいです。

    避けたいビッグネームの例

    • ホンダ(本田技研工業株式会社)
    • マツダ(マツダ株式会社)
    • 吉野(株式会社吉野家)
    • しまむら(ファッションセンターしまむら/しまむらグループ)
    • くまざわ(くまざわ書店/株式会社くまざわ)

    ポイント④ 独自ドメインが取得できるか確認しておく

    事業を始める上でホームページの開設を考えている場合は、屋号と同じドメインを取得できるか、あらかじめ調べておくとよいです。ドメインとは、簡単にいうとネット上の住所のようなものです。URLにおいては、以下の部分にあたります。

    屋号と同じドメインが取得できるか - 屋号の付け方

    ドメインは、英数字のものを取得するのが基本です。屋号が「サロン●●」など日本語の場合は「salon●●」と英数字に直して取得するのが一般的です。

    ドメインが取得されているかどうかは、ドメイン登録サービスの各サイトで確認できます。ほかの人が取得したドメインを使うことはできないので、ホームページを開設する前にチェックしておきましょう。

    ポイント⑤ 屋号に意味をもたせる

    事業を営んでいると、屋号の由来を尋ねられることがあります。こんなときに相手の興味を引けるエピソードを答えられれば、屋号を覚えてもらいやすいです。

    記憶に残るネーミング・由来を考える - 屋号の書き方

    有名なエピソードに、コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」があります。営業時間が午前7時から午後11時までだったことが店名の由来、というのはおなじみですね。このようなエピソードがあれば、屋号を印象づけることができます。

    オリジナルの造語をつくるのも、心をつかむネーミング手段のひとつです。日常でよく目にする企業名や商品名には、たとえば2つの言葉を組み合わせた造語が使われています。

    2つの言葉を組み合わせた名称の例

    • ぐるなび(グルメ+ナビゲーター)
    • アスクル(明日+来る)
    • カルビー(カルシウム+ビタミンB1)
    • Microsoft(マイクロコンピューター+ソフトウェア)
    • Instagram(インスタント+テレグラム)

    将来的に法人化を考えている場合 – 使用できる記号など

    個人事業から法人化する場合、屋号をそのまま商号登記しても問題ありません。ただ、商号登記のルール上、使用できる記号や文字、数字の種類に制限があります。法人化を目指すなら、個人事業の屋号を決める段階で以下のルールに則ったものにしておきましょう。

    商号の記号ルール

    使用できる記号 使用できない記号の例
    アンパサンド アットマーク
    アポストロフィー エクスクラメーションマーク
    , コンマ クエスチョンマーク
    ハイフン ハッシュマーク
    . ピリオド パーセント
    中点 白星
    空白(スペース) まる

    空白(スペース)は、アルファベットを区切る目的においてのみ使用できます

    上記7つの記号は、文字を区切る際の符号として使うことができますが、名称の先頭や末尾に用いることはできません。例外的に、ピリオドだけは省略の意味をもつので末尾に使用してもOKです。

    文字については、ひらがな、カタカナ、漢字に加え、アルファベットも使えます。なお、ギリシャ文字やキリル文字などは使用できません。ドイツ語のウムラウト記号やエスツェット(ä、ö、ü、ß)、フランス語のアクサン記号など(é、è、ê、ç)もダメです。

    また、数字はアラビア数字(1、2、3……)なら使えますが、ローマ数字(I、II、III……)はNGです。漢数字は「〇」に限り使用できません。

    屋号の決め方まとめ

    大前提として、屋号をつける際は「会社や法人などのワードは使用できない」「商号登記や商標登録されている名称は屋号にできない」というルールを必ず守らなければいけません。

    屋号に使用できる/できない主なワード

    屋号に使用できる主なワード 屋号に使用できない主なワード
    • 事務所、オフィス
    • 企画、制作、スタジオ
    • カフェ、喫茶店、レストラン
    • 会社、株式会社、合同会社
    • 法人、一般社団法人、社会福祉法人
    • 銀行、労働金庫、信用金庫、保険

    「●●会社」や「●●法人」といった名称にすると、法人と誤認される恐れがあるため、それらのワードを使用することは法的に禁止されています。また、商標登記されている名称を不正に使うことも禁じられています。

    また、屋号をつける際に意識するとよいポイントを5つ紹介してきました。「屋号をつけたいが、なかなか良い発想がでない」という方は、5つのポイントを参考に、その名称を発案してみてください。

    屋号のネーミング – 5つのポイント

    • 事業内容がわかりやすい名称にする
    • 読み書きのしやすさを意識する
    • 検索されやすいワードを入れる
    • ドメインが取得できるか確認しておく
    • 屋号に意味をもたせる

    屋号は、名刺・看板・請求書など、さまざまなところに記載できます。また、屋号が定着すれば、口コミなどでそれが広まり、集客に一役買ってくれるかもしれません。初めての取引(来店)を次につなげるためにも、1度見た・聞いただけで覚えてもらえるようなネーミングをおすすめします。