確定申告書AとBの違い – 個人事業主が使う確定申告書

更新日: 2020/09/30
確定申告書AとBの違い – 個人事業主が使う確定申告書

確定申告で必ず提出する書類の1つが「確定申告書」です。確定申告書には、AとBの2種類があり、おおまかに区別すると「会社員はA」「個人事業主はB」をそれぞれ提出します。なお、第三表・第四表・第五表は、それぞれ特定のケースでのみ提出が必要になる書類です。

INDEX

目次

    確定申告書の種類

    確定申告書には「確定申告書A」と「確定申告書B」があります。簡単に言うと、Bが「全般的な確定申告書」で、Aはその「簡易版」です。会社員はAでも確定申告ができますが、個人事業主はBを使わないと確定申告ができません。副業で個人事業を営む会社員もBを使います。

    確定申告書A・Bは、どちらも「第一表」と「第二表」の2ページ構成です。なお、AとBを同時に提出することはありません。

    確定申告書AとBの対象者の違い

    基本的には第一表と第二表だけ作成すればOKですが、確定申告書Bには「第三表」や「第四表」を加えて提出する場合もあります。また「第五表」は、過去の申告内容について修正申告をする際に提出します。なお、第三表~第五表にA・Bの区別はありません。

    提出すべき確定申告書の種類

    確定申告を行う主なケース 提出する確定申告書
    会社員の確定申告 確定申告書A
    個人事業主の確定申告 確定申告書B
    分離課税の対象となる所得を申告する場合 確定申告書B + 第三表
    事業の赤字を繰り越す場合 確定申告書B + 第四表
    納税額を少なく申告してしまい、期限後に修正する場合 確定申告書B + 第五表
    (申告書Aで申告した人も)

    実際の確定申告では、上記の確定申告書以外にもいくつかの書類を提出します(詳しくは後述)。確定申告に関わる書類は、税務署で入手できるほか、国税庁ウェブサイトの該当ページからダウンロードすることもできます。
    >> 個人事業主が確定申告で提出する書類
    >> 会社員が確定申告で提出する書類

    確定申告書A – 会社員はコチラ

    確定申告書Aは「確定申告書Bの簡易版」のような書類です。記載できる項目が少ないので、個人事業主の確定申告には使えません。「2つ以上の会社から給与を受け取っている会社員」や「医療費控除や住宅ローン控除を受けたい会社員」などが確定申告をする際に提出します。

    確定申告書A 第一表 確定申告書A 第二表
    令和元年分以降用 確定申告書A 第一表 令和元年分以降用 確定申告書A 第二表

    確定申告書Aでは、記載できる所得の種類が「給与所得」や「雑所得」などに限られています。個人事業の儲けが含まれる「事業所得」を申告できないため、個人事業主は確定申告書Aが使えないのです。

    確定申告書Aで申告できる所得

    所得の種類 該当する所得の例
    給与所得 勤務先の会社から受け取る給料や賞与の所得
    公的年金等の雑所得 国民年金や厚生年金で受け取る給付金の所得
    その他の雑所得 本業以外で得た印税、原稿料、講演料の所得
    配当所得 株式の配当金や、投資信託の分配金の所得
    一時所得 生命保険の一時金や、競馬・競輪の払戻金の所得

    ※分離課税の対象となる場合を除く

    上記の所得しか得ていない人は、確定申告書Aで確定申告ができます。とはいえ、特に給与所得や雑所得に関しては、受け取る前に税金が引かれていることがほとんどです。上記のような所得があるからといって、必ずしも確定申告が必要になるわけではありません。

    ちなみに、確定申告書Aと確定申告書Bを同時に提出することはありません。第三表・第四表についても、確定申告書Aを使う人には無関係です。

    確定申告書B – 個人事業主はコチラ

    個人事業主や、副業で個人事業を営む会社員は、必ず確定申告書Bを使いましょう。「白色申告」と「青色申告」のどちらの方式で申告を行う場合でも、個人事業による所得があれば、この確定申告書Bを提出します。

    確定申告書B 第一表 確定申告書B 第二表
    令和元年分以降用 確定申告書B 第一表 令和元年分以降用 確定申告書B 第二表

    確定申告書Bは、あらゆる所得の申告に対応しています。もちろん、確定申告書Aで申告できる所得もこれに含まれています。そのため、事業所得と給与所得の両方を得ている兼業会社員でも、A・Bを同時に提出する必要はありません。Bだけで事足ります。

    ちなみに「分離課税」の対象となる特殊な所得を得ていたら、第三表も一緒に提出しなくてはなりません。また、青色申告で赤字を繰り越す際は、第四表も合わせて提出します。(詳しくは後述)

    第三表 – 特殊な所得がある場合

    第三表は「分離課税」の申告が必要なときに、確定申告書Bと一緒に提出します。確定申告書Aとは併用できません。なお「個人事業の利益(事業所得)」や「会社からの給料(給与所得)」など、勤労による一般的な所得しか得ていなければ使う機会はありません。

    令和元年分以降用 確定申告書B 第三表

    分離課税の対象となる所得は、税額計算において他の所得と合算しません。税額の計算方法が特殊だということです。そのため、他の所得とは区別して申告する必要があります。ちなみに、第三表を使う所得には、主に以下のようなものがあります。

    • 土地や建物の譲渡による所得
    • 株式の譲渡による所得
    • 山林の譲渡による所得
    • 退職金による所得

    上記の所得でも、源泉徴収を受けていれば申告する必要はありません。株取引などを行っていなければ、第三表を使うのは限られたケースのみです。

    第四表 – 損失を繰り越す場合

    第四表は、主に「赤字を出した青色申告者」が、その赤字を複数年にわたって繰り越す際に使います(損失申告)。第四表を使うときも、必ず確定申告書Bと併用します。

    青色申告者であれば、その年の赤字を翌年以降(最長3年まで)の黒字から差し引けます。特に開業初年度は、設備投資などで赤字になることもあるので、そのような場合は第四表を利用しましょう。

    第四表 1ページ 第四表 2ページ
    令和元年分以降用 確定申告書B 第四表 1ページ目 令和元年分以降用 確定申告書B 第四表 2ページ目

    白色申告者でも、たとえば災害や盗難で事業用の資産に大きな被害を受けた場合は、第四表を使って損失を繰り越すことができます。とはいえ、青色申告と比べると繰り越せる損失の範囲は限定されるので、白色申告で第四表を使うのはレアなケースといえます。

    また、副業で個人事業を営んでいる会社員が第四表を使うケースもそうありません。個人事業の損失は、第一表の計算において、まず「その年の給与所得」から差し引かれるためです。給与とのトータル(損益通算)で黒字になれば、第四表は不要です。

    第五表 – 申告内容を期限後に修正する場合

    第五表は、確定申告の内容を、確定申告期限が過ぎてから修正する際に使います(修正申告)。確定申告書Bの第一表とセットで提出しましょう。確定申告書Aで申告した内容でも、修正申告の際には確定申告書Bに記入しなおす必要があります。

    令和元年分以降用 確定申告書B 第五表

    ちなみに、確定申告の期限前に修正するなら、通常の申告書類を改めて提出すればOKです(訂正申告)。第五表を提出する必要はありません。また、たとえ期限後の修正でも、税額を実際より多く申告していた場合は、第五表を提出せずに「更正の請求」という手続きを行います。

    申告の修正に関する簡易チャート

    申告内容を期限後に修正する方法の見分け方

    つまり第五表は、誤って「自分に有利な内容」で確定申告をしてしまった人が、申告期限が過ぎてから修正をする時に提出するものなのです。その際、追加で納める税金には、経過した日数に応じて「延滞税」が加算されてしまうので気をつけましょう。
    >> 確定申告・還付申告・修正申告・訂正申告・更正の請求の違い

    【まとめ】個人事業主が確定申告で提出する書類

    個人事業主や、副業で個人事業を営む会社員は「確定申告書B」を使いましょう。「確定申告書A」では、事業所得の申告ができません。なお、確定申告書A・Bとは別で第三表~第五表もありますが、これらを使うのは限られたケースだけです。

    主なケース 提出する確定申告書
    会社員の確定申告 確定申告書A
    個人事業主の確定申告 確定申告書B
    分離課税の対象となる所得を申告する場合 確定申告書B + 第三表
    事業の赤字を繰り越す場合 確定申告書B + 第四表
    納税額を少なく申告してしまい、期限後に修正する場合 確定申告書B + 第五表
    (申告書Aで申告した人も)

    なお、個人事業主の確定申告では、ここまで紹介してきた「確定申告書」以外にも提出すべき書類があります。基本のセットは「決算書」「確定申告書B」「添付書類台紙」の3つです。ただし、決算書の様式は白色申告と青色申告で異なります。

    個人事業主が確定申告で提出する書類

    >> 個人事業主の提出書類について

    確定申告書類は、毎年2月16日~3月15日(土日祝なら翌平日)の確定申告期間中に提出します。2019年分の確定申告書類は、2020年2月17日~4月16日に提出しましょう。税務署への持参・郵送、ネット上での電子申告など、任意の提出方法を選べます。