確定申告の流れ – 帳簿づけから所得税の納付まで

更新日: 2020/09/30 税理士監修
確定申告の流れ – 帳簿づけから所得税の納付まで

個人事業主は、その年の収入や支出を帳簿に記録し、帳簿をもとに確定申告書類を作成します。作成した書類は、所定の方法で期限内に税務署へ提出し、申告した内容に従って所得税を納付します。

INDEX

目次

    確定申告の大まかな流れ

    すべての個人事業主は、その年の1月1日~12月31日に発生した収支などを、帳簿に記録しなければなりません。その帳簿にもとづいて所得などを計算し、確定申告に必要な書類を作成します。これを翌年2月16日~3月15日(土日祝日なら翌平日)の期間に税務署に提出すれば、申告完了です。

    確定申告の流れ – 帳簿づけから帳簿保存まで

    確定申告の流れ - 帳簿づけから帳簿保存まで

    >> そもそも確定申告とは?

    そして、申告した所得税額を、3月15日(土日祝日なら翌平日)までに納付します。確定申告と納税が、期日に間に合わなかった場合、延滞税などのペナルティが発生する恐れがあります。必ず期間内に手続きを済ませるようにしましょう。

    なお、確定申告が終わっても、帳簿や関連書類はすぐに捨ててはいけません。税務署から提示の求めがあればいつでも応じられるよう、5~7年間は保管する義務があるからです。さしあたり、すべて7年間保管しておけば間違いはありません。

    ① 帳簿づけ – 1月1日~12月31日

    売上や必要経費が発生したら、その日付や金額を帳簿に記録しなければなりません。単に記録するだけでなく、その内容を客観的に証明できる書類(領収書など)と一緒に、5~7年にわたって保管する必要があります。

    最低限の必要事項を満たす帳簿【様式例】

    商品を売り上げた時の帳簿の例(単式簿記)

    ※単式簿記の場合

    記帳の際は、金額を計算するだけでなく、収入や支出を「科目」というカテゴリ(旅費交通費、通信費など)に分類する必要もあります。もちろん手作業で行っても構いませんが、個人事業用の会計ソフトを利用すれば、このような事務負担を大幅に軽減できます。

    単式簿記と複式簿記

    帳簿づけの方式は「単式簿記」と「複式簿記」の2種類に大別されます。一般的には、単式簿記のほうが初心者向けとされます。ただ、複式簿記のほうが、青色申告において節税できる金額(青色申告特別控除)が多いです。
    >> 単式簿記と複式簿記の違い – 簡易な簿記と正規の簿記

    単式簿記と複式簿記で受けられる控除の種類の違い【白色申告と青色申告】

    青色申告をするには、事前に税務署の承認を受ける必要があります。青色申告の承認申請期限は、開業日から2ヶ月以内です。なお、開業2年目以降、その年の3月15日までに申請すれば、白色から青色に切り替えることもできます。いずれも、毎年くりかえし申請する必要はありません。

    ② 確定申告書類の作成 – 翌年1月1日~

    確定申告で必要な書類は、主に以下の3つです。税務署で受け取れるほか、国税庁のウェブサイトからもダウンロードできます。1年間の取引がすべて終わったタイミングで、これらの書類を作成し始め、確定申告に備えます。

    個人事業主が確定申告で提出する書類

    個人事業用の会計ソフトは、帳簿の内容を自動集計し、その集計結果を確定申告書類に転記してくれます。帳簿を正しくつけていれば、確定申告書類の大半は自動作成できるということです。完成した書類をプリントアウトすれば、書面での提出用としてそのまま使うこともできます。

    決算書

    白色申告者は「収支内訳書」を、青色申告者は「青色申告決算書」を作成します。どちらも、その年に帳簿づけした内容を、ギュッと2~4ページ程度に集約する書類と考えてください。この決算書で、事業によって得た所得(事業所得)が明らかになります。

    確定申告書B

    確定申告書B」は、その年に得たすべての所得や、所得税の金額を明らかにするための書類です。確定申告書にはAとBの2種類ありますが、事業所得の申告ができるのは、この確定申告書Bだけです。個人事業主が「確定申告書A」を使うことはできません。

    添付書類台紙

    確定申告書Bに証明書などの書類を添付するときは、基本的に「添付書類台紙」に貼り付けて提出します。どこに何を貼り付けるかは、台紙に記載されています。

    ③ 確定申告 – 翌年2月16日~3月15日

    当年分の所得税は、翌年2月16日~3月15日に申告します(受付開始日および期限日が土日や祝日と重なる場合は、翌平日に繰り越し)。この期間内に、所轄の税務署に確定申告します。方法は、大きく以下の3通りあります。

    • 税務署に行って確定申告書類を直接提出する
    • 確定申告書類を郵送する
    • e-Taxで電子申告する

    >> 確定申告の方法まとめ

    確定申告書類を直接提出する

    税務署の開庁時間は、平日の8時30分~17時です。 例年、確定申告期間中のいずれかの日曜日にも、特別に提出日が設けられます。また、会場で申告書作成や相談をしたい場合、相談受付時間が開庁時間より短いこともあるので、事前に確認しておきましょう。

    確定申告書類を郵送する

    確定申告期限が3月15日なら、3月15日の消印が押されていれば、期限内に申告したことになります(=当日消印有効)。なお、申告書は「郵便物」(第一種郵便物)や「信書便物」として送付する必要があります。「荷物」扱いの宅配便などで送ってはいけません。

    e-Taxで電子申告する

    e-Taxというシステムを通じて確定申告をすることを、とくに電子申告といいます。基本的に紙の書類は必要なく、フォームへのデータ入力などを行います。事前手続きとして、マイナンバーカードを取得するか、税務署の職員との対面による本人確認が必要です。
    >> 個人事業主が電子申告をする流れ【e-Taxによる申告までの手順】

    ④ 所得税の納付 – 翌年3月15日まで

    確定申告により納税額が確定したら、その金額を3月15日の納付期限日までに納付します。原則として所得税の納付期限日は、確定申告の期限日と同じということです。納付方法は、ざっくり分けると次の3通りです。

    • 納付書をつかう
    • 銀行などを利用して口座振替をする
    • インターネットで電子納税する

    納付書をつかう

    税務署や銀行などの金融機関の窓口で納付するには、各機関に備え付けられている納付書を使います。納付書に納税額などの必要事項を記入し、窓口で現金払いします。この方法では、クレジットカードによる支払いはできません。

    また、納税額が30万円以下であれば、コンビニでも納付できます。ただ、「バーコード付納付書」という特別な納付書が必要なので、確定申告の際、税務署に発行を依頼しましょう。コンビニで納付する場合であっても、クレジットカードは使用できません。

    口座振替をする(振替納税制度)

    銀行口座から自動で引き落としてもらうこともできます。この場合は、4月下旬が振替日になります。初めて口座振替で納付する人は、3月15日までに所定の依頼書を提出する必要があります。所轄の税務署か、口座振替を利用する金融機関に提出しましょう。

    インターネットで電子納税する

    電子納税の方法はいくつかありますが、いずれも基本的には、e-Taxで電子申告を済ませた人向けの方法と考えてください。ただ、書面で確定申告を行った人でも、「入力方式」もしくは「クレジットカード納付」であれば利用可能です。
    >> 税金の納付方法についてもっと詳しく

    帳簿・関連書類の保管

    確定申告後は、帳簿や関連書類を整頓し、紙の状態で保管しておきます。帳簿や書類の種類によって保管すべき期間が異なり、5年間のものと7年間のものとに分けられます。とはいえ、長く保管しておくに越したことはないので、一律で7年間保管しておくのがおすすめです。

    主な帳簿・書類の保存期間

    白色申告と青色申告 帳簿などの保管年数の違い
    >> 帳簿の保存期間について詳しく

    過去に申告した内容について、税務署の職員が帳簿などの調査に訪れることもあります(税務調査)。パソコンで帳簿を作成する場合でも、データによる保管は原則認められないので、主要な帳簿はプリントアウトしておきましょう。

    ちなみに「電子帳簿保存」という方法なら、帳簿などを電子データとして保存しても構いません。ただ、要件が非常にシビアで、普通に会計ソフトなどを使用しているだけでは、この要件を満たすことができません。これは基本的に、法人向けの方法と考えてよいです。
    >> 電子帳簿保存法の要件まとめ – 帳簿・書類を電子保存するには?

    まとめ ‐ 確定申告にいたるまでの注意点

    個人事業主の確定申告は、帳簿づけとセットで考えます。帳簿は、第三者が見てわかるように作成しなければなりません。「自分さえわかればいいや」ではダメということです。帳簿づけから確定申告・納税までは、以下の流れで行います。

    確定申告の流れ

    ① 帳簿づけ

    帳簿には「何月何日に・何が・いくら増減した」などを、取引ごとに記録します。記憶が鮮明なうちに、普段からこまめに記帳するとよいです。領収書なども、月ごとに封筒で整理するか、ノートに貼り付けるなどして整理しておくと後が楽になります。

    ② 確定申告書類の作成

    帳簿をもとに決算書や申告書を作成します。このとき、領収書などの書類がそろっているか、改めて確認しておきましょう。とくに必要経費については、あとで税務調査が入ることになったとき、証拠がないと経費として認められないなど、不利な扱いを受ける恐れがあります。

    ③ 確定申告

    翌年2月16日~3月15日(土日祝日なら翌平日)に確定申告を行います。期間を過ぎても申告自体は可能ですが、延滞税などが追加で課されることがあるので、期間内に申告をしましょう。また、少しでも期限を過ぎた場合、青色申告55万円・65万円控除は受けられません。

    ④ 所得税の納付

    どの納付方法でも、納付期限は翌年3月15日(土日祝日なら翌平日)です。ただ、口座振替に限り、振替日が4月下旬となります。しかし、振替日に残高が不足していると、3月15日の翌日から計算された延滞税が発生します。残高をよく確認しておきましょう。

    監修

    田中税務会計事務所
    公認会計士・税理士・行政書士
    田中 雅明
    約30年の経験の中で、公認会計士、税理士はもちろん、弁護士、銀行系シンクタンク、保険会社、保険代理店、大手不動産会社等の強力なネットワークも持ち、皆様をトータル的にサポートする態勢が整った当事務所をご活用ください。