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個人事業主の確定申告書類
個人事業主の確定申告では、「決算書」と「確定申告書」を作成するのが基本です。それ以外の主な添付書類(本人確認書類や所得控除の証明書など)は、「添付書類台紙」に貼り付けて提出しましょう。
個人事業主の確定申告書類
決算書は、白色申告なら「収支内訳書」、青色申告なら「青色申告決算書」を提出します。一方、確定申告書は白色申告でも青色申告でも同じものを使います。
ここからは、各書類ごとに書き方を説明していきます。「ひとまず何を書けばいいのか知りたい!」という方向けに、多くの個人事業主が記入する箇所の説明を赤く表示しています。ざっくり把握したいなら、ここさえ読んでおけばOKです。
- 「添付書類台紙」には、名前と住所くらいしか記入する項目がないため、本記事では説明を省略する。
収支内訳書(白色申告の場合)
「収支内訳書」は白色申告で提出する決算書です(全2ページ構成)。「一般用・農業所得用・不動産所得用」の3種類があり、たいていの個人事業主は「一般用」を用います。
収支内訳書(一般用) – 1ページ目
① | 所得の種類・年号・日付 個人事業主は「営業等」に◯をつけ、年号・日付を記入する |
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② | 事業主の情報 申告する本人の住所・氏名・業種・屋号などを記入する |
③ | 収入金額 1年間の売上や雑収入を記入し、収入金額の合計を求める |
④ | 売上原価 仕入れのある事業者は、1年間の仕入金額などを記入する |
⑤ | 経費 1年間の経費を科目ごとに記入し、合計額を求める |
⑥ | 所得 収入金額から経費や「専従者控除」を差し引き、所得を算出する |
⑦ | 給料賃金の内訳 従業員がいれば、その氏名・1年間に支払った給与の合計額を記入する |
⑧ | 税理士・弁護士等への報酬の内訳 業務を依頼した税理士・弁護士がいれば、その氏名・報酬額などを記入する |
⑨ | 事業専従者の氏名等 事業専従者がいれば、その氏名・続柄などを記入する |
収支内訳書(一般用) – 2ページ目
① | 売上金額の明細 主な取引先の名前や売上額などを記入する ※小売業など不特定多数を顧客とする業種の場合は「計」だけ記入すればよい |
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② | 仕入金額の明細 仕入れのある事業者は、主な仕入先の名前や仕入額などを記入する |
③ | 減価償却費の計算 事業の減価償却資産を記入して、それぞれ当年分の減価償却費を計算する ※もし減価償却する資産がない場合は記入不要 |
④ | 地代家賃の内訳 1年間に支払った店舗や事業所の賃借料について、支払先や金額を記入する 自宅家賃の一部を家事按分して経費計上している場合も記入する |
⑤ | 利子割引料の内訳 もし金融機関以外で事業用借入金があれば、1年間で支払った利子などを記入する |
⑥ | 特殊事情 特別な伝達事項がある場合に記入する |
青色申告決算書(青色申告の場合)
「青色申告決算書」は青色申告で提出する決算書です。「一般用・農業所得用・不動産所得用」の3種類があり、たいていの個人事業主は「一般用」を使います。
「一般用」は全部で4ページ構成です。ただ、4ページ目の「貸借対照表」を作るのは、55万円 or 65万円の青色申告特別控除をねらう場合だけでOKです。
青色申告決算書(一般用) – 1ページ目
① | 年号・日付 それぞれの欄に年号や日付を記入する |
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② | 事業主の情報 申告する本人の住所・氏名・業種・屋号などを記入する |
③ | 収入金額 1年間の収入の合計金額を記入する |
④ | 売上原価 仕入れがある事業者の場合、1年間の仕入金額などを記入する |
⑤ | 経費 1年間の経費を科目ごとに記入し、その合計を収入金額から差し引く |
⑥ | 各種引当金・準備金等 もし貸倒引当金や専従者給与がある場合は、その金額を記入する |
⑦ | 所得金額の計算 これまでの計算結果から青色申告特別控除を差し引いて、1年間の所得を求める |
青色申告決算書(一般用) – 2ページ目
① | 年号・氏名 会計期間の年号と、申告者本人の名前を記入する |
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② | 月別の売上・仕入 1ヶ月ごとの売上金額や仕入金額などを記入する ※仕入れがない事業者(デザイナーなど)は、仕入金額は空欄でOK |
③ | 貸倒引当金繰入額の計算 もし「貸倒引当金」として差し引く金額があれば記入する |
④ | 給料賃金の内訳 従業員がいれば、その氏名・1年間に支払った給与の合計額を記入する |
⑤ | 専従者給与の内訳 事業専従者がいれば、その氏名・1年間に支払った給与の合計額などを記入する |
⑥ | 青色申告特別控除の計算 自分が受けられる青色申告特別控除の額を計算する |
青色申告決算書(一般用) – 3ページ目
① | 減価償却費の計算 事業の減価償却資産を記入して、それぞれ当年分の減価償却費を計算する ※もし減価償却する資産がない場合は記入不要 |
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② | 利子割引料の内訳 もし金融機関以外で事業用借入金があれば、1年間で支払った利子などを記入する |
③ | 地代家賃の内訳 1年間に支払った店舗や事業所の賃借料について、支払先や金額を記入する 自宅家賃の一部を家事按分して経費計上している場合も記入する |
④ | 税理士・弁護士等への報酬の内訳 業務を依頼した税理士・弁護士がいれば、その氏名・報酬額などを記入する |
⑤ | 特殊事情 特別な伝達事項がある場合に記入する |
青色申告決算書(一般用) – 4ページ目
① | 年号・日付 それぞれの欄に年号や日付を記入する |
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② | 貸借対照表 – 資産の部 事業における資産の状況を、期首と期末の時点に分けて記入する ※10万円の青色申告特別控除を狙う場合は記入不要 |
③ | 貸借対照表 – 負債・資本の部 事業における負債と資本の状況を、期首と期末の時点に分けて記入する ※10万円の青色申告特別控除を狙う場合は記入不要 |
④ | 製造原価の計算 – 原材料費 (製造系の個人事業主のみ対象) 製造にかかった原材料の仕入金額などを記入する ※製造原価の計算を行っていない場合は記入不要 |
⑤ | 製造原価の計算 – 製造経費 (製造系の個人事業主のみ対象) 製造にかかった各種の経費(外注工賃や水道光熱費など)を記入する ※製造原価の計算を行っていない場合は記入不要 |
⑥ | 製造原価の計算 – 製品製造原価 (製造系の個人事業主のみ対象) 原材料費や経費の計算結果をもとに、製品製造原価を計算する ※製造原価の計算を行っていない場合は記入不要 |
確定申告書
個人事業主が「確定申告書 第一表・第二表」を提出します。白色申告でも青色申告でも同じものを使います。決算書から事業収入や事業所得の金額を転記するので、決算書を完成させたあとに取り掛かりましょう。
確定申告書 – 第一表
① | 年号・日付 提出先の税務署名や日付を記入する |
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② | 事業主の情報 申告する本人の住所・氏名・業種・屋号などを記入する |
③ | 収入金額等 所得の区分ごとに、1年間の収入金額を記入する |
④ | 所得金額等 所得の区分ごとに1年間の金額を記入し、合計金額を求める |
⑤ | 所得から差し引かれる金額 自分が受ける所得控除(基礎控除や社会保険料控除など)の金額を記入する |
⑦ | 修正申告 通常の確定申告では何も記入しない(修正申告の際に記入) |
⑥ | 税金の計算 所得金額から各種の控除などを差し引いて、所得税の納付額を計算する |
⑧ | その他 所得税の計算に関わる補足的な事項(青色申告特別控除の金額など)を記入する |
⑨ | 延納の届出 所得税の納付期限を猶予してもらいたい時に、猶予してほしい金額を記入する |
⑩ | 還付される税金の受取場所 還付金の振込先として、希望する口座を記入する ※確定申告の結果、税金を納めることになる場合は記入不要 |
確定申告書 – 第二表
① | 年号・氏名 申告する年分の年号と、個人事業主の住所・氏名を記入する |
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② | 所得の内訳 源泉徴収された収入があれば、徴収された税額を記入する |
③ | 総合課税の譲渡所得・一時所得に関する事項 譲渡所得と一時所得のうち、総合課税の対象となる金額について記入する |
④ | 特例適用条文等 税法上の特例(住宅ローン控除など)を受けるときに必要事項を記入する |
⑤ | 社会保険料控除等に関する事項 1年間で支払った国民年金や国民健康保険料について記入する |
⑥ | 本人に関する事項 寡婦・ひとり親・勤労学生・障害者に該当する場合は○をつける |
⑦ | 雑損控除に関する事項 雑損控除の対象となる資産の損害がある場合は記入する |
⑧ | 寄附金控除に関する事項 所定の寄附をした場合は、寄付先と寄付額を記入する(ふるさと納税も含む) |
⑨ | 配偶者や親族に関する事項 申告者に配偶者や扶養親族がいる場合、その氏名・生年月日などを記入する |
⑩ | 事業専従者に関する事項 事業専従者がいれば、その氏名・生年月日などを記入する |
⑪ | 住民税に関する事項 住民税の計算に関して該当する項目がある場合は、金額などを記入する |
⑫ | 個人事業税に関する事項 個人事業税の計算に関して該当する項目がある場合は、金額などを記入する |
確定申告書類の作成方法
個人事業主の場合、確定申告書類の作成方法は下記の3パターンに大別できます。基本的には、どの方法で作成しても問題ありません。
確定申告書類の作り方【個人事業主】
- 個人事業主向けの会計ソフトを利用する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する
- 紙の申告書類を用意して手書きで作成する
もっとも簡単なのは、個人事業主向けの会計ソフトで確定申告書類を作る方法です。記帳した内容が自動集計され、書類作成がスムーズになります。分かりやすいガイドも付いているので、各項目の内容をカンペキに理解していなくても確定申告書類を作れます。
国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用するのも一手ですが、帳簿と申告データを結びつける知識が必要になります。また、このなかでは手書きによる書類作成が最も難しく、確定申告の初心者にはおすすめできません。