2021年分(令和3年分)の確定申告(2022年2月16日~3月15日に行う確定申告)における、申告書類の変更点と書き方を解説します。個人事業主が提出する書類では、「確定申告書B」に新しい記入欄が追加されています。
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目次
個人事業主の提出書類【令和3年分の確定申告】
個人事業主の確定申告では、主に下記の3つを提出します。2021年分(令和3年分)の確定申告では、このうち「確定申告書B」の様式が変更されています。
確定申告の主な提出書類(個人事業主の場合)
- 決算書(収支内訳書 or 青色申告決算書)←様式変更なし
- 確定申告書B ←様式変更あり!
- 添付書類台紙 ←様式変更なし
決算書と添付書類台紙は、前回と同様に「令和2年以降用」の様式を使ってOKです。一方、確定申告書Bについては「令和3年以降用」の様式が公開されているので、そちらを使いましょう。(申告書類は国税庁の該当ページからダウンロードできます)
確定申告書Bの変更点
確定申告書Bの新様式では、第一表と第二表の両方で下記の5ヶ所が変更されています。(修正申告用の「第五表」にも若干の変更点がありますが、利用者は多くないので今回は説明を割愛します)
確定申告書Bの変更点【令和3年分以降用】
- 押印義務の廃止に伴って、ハンコの欄がなくなった(第一表)
- 事業収入と不動産収入の欄に「区分」が追加された(第一表)
- 雑収入の「その他」の欄に「区分」が追加された(第一表)
- 給与などの支払者の情報が「名称 + 法人番号」でもOKに(第二表)
- 住民税の「申告不要制度」に関する欄が追加された(第二表)
このうち、個人事業主にとって特に重要な変更点は、事業収入に「区分」欄が追加されたことです(上記の②)。これは、事業収入を得ている全員が記入する欄です。詳しい書き方は、以下で説明します。
事業収入の「区分」とは?
確定申告書Bの新様式(令和3年分以降用)では、事業収入の欄に新しく「区分」が追加されています。
「収入金額等」の記入欄 – 確定申告書B 第一表
令和2年分(2020年分)まで | 令和3年分(2021年分)から |
---|---|
この欄には、2021年分(令和3年分)の記帳状況に応じて「1~5」のいずれかの数字を記入します。下記のうち、該当する数字をひとつだけ記入しましょう。
事業収入の「区分」に記入する数字(確定申告書B 第一表)
- 税務署長の承認を受けて、帳簿を電子保存している場合
- 会計ソフト等を使って記帳している場合(上記の1に該当する場合を除く)
- 複式簿記で記帳している場合(上記の1・2に該当する場合を除く)
- 複式簿記以外の簡易な方法で記帳している場合(上記の2に該当する場合を除く)
- 上記のいずれにも該当しない場合(記帳の仕方が分からない場合を含む)
税務署長の承認をうけた上で電子帳簿保存をしていた個人事業主は少ないはずなので、「1」と書くことはあまりないでしょう。なお「4」には、単式簿記で記帳をしている個人事業主が該当します(主に白色申告者)。
事業収入の「区分」を書く意味は?
今のところ、この「区分」欄に書く数字が、何らかの税制の適用と直結しているわけではなさそうです。現状では、今後の電子化推進に向けたアンケート程度のものだと考えておきましょう。
令和3年分の確定申告について
確定申告書Bの新様式(令和3年分以降用)では、本記事で解説した事業収入の「区分」以外にも、いくつか細かい変更点があります。
確定申告書Bの変更点(令和3年分以降用)
確定申告書B 第一表 | 確定申告書B 第二表 |
---|---|
① 押印欄の廃止 ② 事業収入・不動産収入に「区分」が追加 ③ 雑収入の「その他」に「区分」が追加 |
④ 給与の支払者が「名称+法人番号」でOKに ⑤ 住民税の「申告不要制度」に係る欄が追加 |
2021年分(令和3年分)の確定申告では、申告書類の様式以外にも前回と異なる点があります。重要なポイントを再確認しておきましょう。
2021年分の確定申告【重要ポイント】
- 確定申告期間は「2022年2月16日(水)~3月15日(火)」
- 新型コロナによる一律の期限延長はない(個別の延長措置あり)
- 確定申告書Bの様式が新しくなる(「令和3年分以降用」になる)
- 決算書と添付書類台紙の様式は変わらない(「令和2年分以降用」でOK)
- 確定申告書等作成コーナーからICカードリーダーなしで電子申告が可能に
- ふるさと納税による寄附金控除の申告手続きが簡素化される
2021年分の確定申告でも、申告会場へ入るには「入場整理券」が必要です。書類の提出だけなら整理券は不要ですが、できるだけ外出を避けたいという個人事業主は自宅からの電子申告を検討しましょう。
特に今回の確定申告からは、ウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」からICカードリーダーなしで電子申告ができるようになります。対応機種のスマホさえ持っていれば、わざわざカードリーダーを購入しなくても電子申告ができるのでオススメです。