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会社員の還付申告 – 対象者・申告期限・提出書類など

更新日: 2023/12/14
会社員の還付申告 – 対象者・申告期限・提出書類など

会社員やパートタイマーなどの「給与所得者」は、基本的に確定申告をする必要がありません。ただ「還付申告」をすると、納めていた税金の一部が還付金として手元に戻ってくることがあります。
個人事業主の還付申告についてはコチラ

INDEX

目次

    還付申告とは

    還付申告とは、所得税を納めすぎている人が、その還付を目的として行う確定申告のことです。還付金と聞くと、ちょっとオトクなイメージがあるかもしれませんが、納める必要のなかったお金がかえってくるだけのことです。

    還付申告をすることで還付金を受け取れる

    会社員の多くは勤め先が年末調整をしてくれているので、自分で税金の申告や納付を行う必要がありません。ただ、年末調整を受け忘れていたり、医療費を多く支払っていたりすると、還付申告によって還付金を受け取れることがあります。

    還付申告を行う義務はないので、仮に行わなかったとしても罰則などはありません。ただし、当たり前ですが還付金は受け取れません。つまり、納めすぎている分の税金がかえってこないだけです。

    ちなみに、一部には確定申告の義務がある会社員もいます。とはいえ、ほとんどの会社員は確定申告をする必要はありません。本記事では、確定申告の義務がない人に向けて、還付申告について説明していきます。

    還付申告の対象者

    おおまかに分類すると、以下の2ケースのどちらかに該当する給与所得者(会社員のように給与を受け取っている人)は、還付金を受け取れる可能性があります。

    1. 年末調整を受けていない
    2. 年末調整では申請できない控除を受けたい

    【おさらい】年末調整とは

    会社は、従業員に給与を支払う際に「源泉徴収」をしています。従業員が受け取る給料は、あらかじめ所得税などが差し引かれているのです。

    ただ、源泉徴収された所得税の合計額は、本来納めるべき所得税の金額とは必ずしも一致しません。これを一致させるための精算手続きが「年末調整」です。

    源泉徴収と年末調整のしくみ

    このことから、年末調整を受けていないと、税金を多めに差し引かれたままの状態になってしまうケースが多いのです。

    ケース① 年末調整を受けていない

    以下に該当する場合、年末調整されない給与があるので、還付申告をして自分で精算します。このようなケースでは、源泉徴収によって税金を納めすぎたままの状態になってしまうことが多いです。

    • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
    • 2箇所以上から給与を受け取っている

    年の途中で退職し、年末調整を受けていない

    中途退職したまま再就職しないと、当然ですがその年は年末調整を受けられません。よって、所得税は納めすぎたままになってしまいます。再就職した場合は、新たな勤務先で年末調整を行うのが基本です。

    2箇所以上から給与を受け取っている

    年末調整は1社でしか受けられません。2箇所以上から給与を受け取っている場合は、自分自身で申告することで還付を受けられます。会社に勤めながら時々アルバイトをしているような人は、還付金を受け取れるかもしれません。

    ちなみに、本業以外で所得などの合計金額が20万円を超えると、確定申告の義務が発生するので要注意です。
    会社員の確定申告義務について詳しく

    ケース② 年末調整で申請できない控除を受けたい

    年末調整では、生命保険料控除扶養控除などの所得控除を受けられます。ただ、「医療費控除」や「寄附金控除」などいくつかの控除は、年末調整では受けられません。これらの控除を受けたい場合は、還付申告を行います。

    年末調整で申請できない主な控除

    控除名 申請できるケースの一例
    医療費控除 入院や通院などにより、10万円以上の医療費を支払った
    寄附金控除 ふるさと納税をした
    雑損控除 災害や盗難による損害を受けた
    住宅ローン控除 マイホームの取得をして、住宅ローンがある

    ちなみに「年末調整で控除の記入を忘れた」「控除証明書が年末調整に間に合わなかった」といった場合でも、還付申告で控除の申請をするとよいです。以下のような控除を申請し忘れていないか、確認しておきましょう。

    年末調整で受けられる主な控除

    控除名 申請できるケースの一例
    社会保険料控除 国民年金や国民健康保険などの公的な保険料を支払った
    生命保険料控除 医療保険やがん保険、終身保険など民間企業が運営する生命保険に加入している
    配偶者(特別)控除 控除の対象となる配偶者(夫か妻)がいる
    扶養控除 16歳以上の扶養親族がいる

    毎月の給料から源泉徴収されている厚生年金保険料や健康保険料は「社会保険料控除」の対象ではありません。ただ、たとえば失業中に国民年金保険料や国民健康保険料を支払っていたという場合は、その金額について「社会保険料控除」の申請が可能です。

    期限は対象年の翌年から5年間

    還付申告の受付期間は、対象となる年の翌年1月1日から5年間です。一方、確定申告の申告期間は2月16日~3月15日です。還付申告なら、確定申告の期間とは関係なく申告できます。

    2023年分の還付申告期限は2028年末まで

    まだ申告していない分については過去5年に遡って還付申告をすることも可能です。申請し忘れた控除がないか、一度振り返ってみるといいでしょう。

    ちなみに、数年前の還付申告について、内容に誤りがあっても還付申告をやり直すことはできません。もし、このようなケースで追加の還付を受けたい場合は「更正の請求」という別の手続きが必要です。

    還付申告で提出する書類や申告方法について

    会社員が還付申告を行うときは「確定申告書」と「添付書類」を税務署に提出します。提出の際は「窓口に直接提出する」「郵送する」「ネットで電子申告する」このいずれかの方法で行います。
    確定申告書の提出方法まとめ

    会社員が確定申告で提出する書類

    2022年分(令和4年分)からは「確定申告書A」が廃止され、ひとつの様式に統合されます。従来の確定申告書A・Bは、2021年分以前の申告をする場合にだけ使います。 確定申告書Aの廃止・統合について【2022年分〜】

    書類を作成する際におすすめなのが、国税庁が運営する「確定申告書等作成コーナー」です。書類を簡単に作成できるだけでなく、そのまま電子申告をすることも可能です。

    「確定申告書等作成コーナー」は、パソコン・スマホなどからアクセスできます。特にスマホでの操作については、還付申告をする会社員が使いやすいように最適化されています。

    e-Taxで申告すると還付金が早く受け取れる!

    2月中旬~3月中旬は税務署の繁忙期です。この時期に還付申告をすると、還付金が振り込まれるまでおよそ1ヶ月~1ヶ月半かかってしまいます。これは書面で提出をした場合で、電子申告なら繁忙期でも提出日から2~3週間程度で振り込まれます。

    還付金が振り込まれるまでの日数

    まとめ – 会社員の還付申告

    最後に、どのような人が還付申告をすることによって還付金を受け取れるのか、具体例を簡単にまとめておきます。

    還付申告ができる給与所得者の具体例

    • 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
    • 2箇所以上から給与を受け取っている
    • 年末調整で申請できない控除を受けたい
    • 年末調整で控除の申請を忘れた

    年末調整で申請できない控除は「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」などです。多額の医療費を支払った人やふるさと納税をした人は、還付金を受け取れる可能性があります。

    また、還付申告は申告できる期間が長いという特徴があります。そのため、5年以内であれば、確定申告の最終期限日を過ぎてから書類を提出しても大丈夫です。2023(令和5)年分は、2028(令和10)年12月31日まで提出できます。

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