【個人事業主向け】更生の請求とは?期限やデメリットをわかりやすく解説

更新日: 2025/10/28
【個人事業主向け】更生の請求とは?期限やデメリットをわかりやすく解説

個人事業主・フリーランス向けに「更正の請求」についてまとめました。修正申告との違いや注意点などをわかりやすく解説します。

目次

    更正の請求とは?

    • 更正の請求とは「払い過ぎた税金を返してもらうための手続き」
    • 確定申告期限を過ぎてから申告ミスに気付いた、という人が行う
    • 手続きの期限は、確定申告期限(原則3月15日)から5年間

    更正の請求とは、確定申告期限が過ぎてから「税金を払い過ぎていた」または「還付金を少なく申告していた」と気付いたときに行う手続きです。具体的には、下記のような場合に行います。

    更正の請求をおこなうケース

    • 確定申告したあとに、確定申告書の計算ミスや転記ミスに気付いた
    • 確定申告したあとに、未計上のレシートが大量に見つかった
    • 確定申告したあとに、売上を実際より多く算入していたことに気付いた
    • 医療費が10万円を超えていたのに医療費控除の申告を忘れていた
    • ふるさと納税をしたのに寄附金控除の申告を忘れていた
    • iDeCoに入ったのに小規模企業共済等掛金控除の申告を忘れていた
    • 年の途中で扶養親族が増えたのに扶養控除の申告を忘れていた

    更正の請求によって「税金の払いすぎ」や「還付金の不足」が認められた場合は、差額を還付してもらえます。手続きの期限は、確定申告期限(原則3月15日)から5年間で、申請後は早ければ1ヶ月ほどで還付を受けられます。

    確定申告のミスを正す手続きは3種類【整理しよう】

    確定申告のミスを正す手続きには、更正の請求のほかにも「訂正申告」や「修正申告」があります。混同しないように、いったん整理しておきます。

    訂正申告 確定申告期限前に、申告内容のミスを訂正する手続き
    修正申告 確定申告期限後に、不足していた税金を追加で納める手続き
    更正の請求 確定申告期限後に、払いすぎた税金を還付してもらう手続き

    ここからは、それぞれの違いを詳しく解説していきます。

    訂正申告と更正の請求の違い

    訂正申告 更正の請求
    確定申告期限の前
    申告ミスを訂正する手続き
    確定申告期限のあと
    税金を還付してもらう手続き

    確定申告をしたあと、確定申告期限(原則3月15日)より前に申告ミスに気づいたら、申告書類を再提出するだけで申告内容を訂正できます。この手続きを、一般的に「訂正申告」と呼びます。

    一方、確定申告期限を過ぎてしまうと、単純に申告書類を再提出するだけでは申告ミスを訂正できません。この場合は、申告ミスの内容に応じて「更正の請求」か「修正申告」をおこないます。

    修正申告と更正の請求の違い

    修正申告 更正の請求
    確定申告期限のあとに
    追加で税金を納める手続き
    確定申告期限のあとに
    税金を還付してもらう手続き

    確定申告をしたあと、確定申告期限を過ぎてから「納税額を少なく書いていた(還付額を多く書いていた)」と気付いた場合は、修正申告をします。修正申告は、確定申告書の第一表にある「修正申告」という欄を使っておこないます。

    一方、確定申告期限後に「納税額を多く書いていた(還付額を少なく書いていた)」と気付いた場合は、更正の請求をします。簡単に言うと「申告ミスで得しちゃってました」という場合は修正申告が必要で、逆に「申告ミスで損しちゃってました」という場合は更正の請求をおこなうわけです。

    更正の請求の期限はいつまで?

    更正の請求の期限は「確定申告期限日(原則3月15日)から5年以内」です。5年以内であれば、どのタイミングで更正の請求をおこなっても構いません。

    更正の請求の期限は確定申告期限日から5年以内

    たとえば、2024年分の確定申告について更正の請求をする場合、有効期限は「2030年3月17日まで」です。2024年分の確定申告は「2025年3月17日」が期限だったので、そこから5年を数えます。(2025年は3月15日が土曜日だったので、確定申告期限日が翌平日の17日になっている)

    更正の請求のやり方

    • 「更正の請求書」などの必要書類を税務署に提出するだけでOK
    • 書類は郵送でも提出できるほか、e-Taxでオンライン提出も可能
    • 請求が認められれば、1ヶ月ほどで還付を受けられる

    更正の請求の必要書類は「更正の請求書」と、請求理由を証明するための「添付書類」です。更正の請求書には、下記のような内容を記入します。

    更正の請求書には何を書く?

    申告内容を更正してもらう際の「更正の請求書」の記入例

    更正の請求書に「更正の請求をする理由」を記入したうえで、それを証明するための書類を添付する必要があります。証明に使える書類はケースバイケースですが、たとえば下記のような書類を添付します。

    更正の請求で提出する添付書類(具体例)

    • 金額を修正した決算書(収支内訳書 or 青色申告決算書
    • 計上し忘れていた必要経費のレシート
    • 計上し忘れていた売上の入金記録
    • 新たに適用する所得控除の証明書

    どういう書類を添付すべきかわからない場合は、あらかじめ税務署に「こういう理由で更正の請求をしたいのですが、何を添付したらいいですか?」と確認しておくと安心です。

    更正の請求はe-Taxでもできる!

    更正の請求は、e-Taxからオンラインで行うこともできます。この場合、添付書類は画像データで提出します。

    e-Taxで更正の請求をする流れ

    1. 国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
    2. 「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を選択
    3. 更正の請求書を作成し、添付書類の画像をアップロードする
    4. マイナンバーカードを読み取って、書類を送信する

    e-Taxで更正の請求をするには「マイナンバーカード」と「マイナンバーカードを読み取れるスマホ(もしくはICカードリーダー)」が必要です。これらを持っていない場合は、作成した書類を印刷して、紙で提出しましょう。

    2025年9月以前に「ID・パスワード方式」の手続きをしている場合、当面はマイナンバーカードがなくてもオンラインで更正の請求が可能。(2025年10月以降、ID・パスワード方式の新規登録はできなくなっている)
    >> ID・パスワード方式の新規利用停止について

    更正の請求の注意点・デメリット

    1. 青色申告特別控除の新規適用はできない
    2. 住宅ローン控除の新規適用はできない
    3. 必ず還付を受けられるとは限らない
    4. 税務調査のきっかけになる可能性がある

    ここからは、上記のデメリットについて詳しく解説していきます。

    ① 青色申告特別控除の新規適用はできない

    更正の請求で、新たに55万円・65万円の青色申告特別控除を適用することはできません。当初の申告が期限内に行われていたとしても、あとから55万円・65万円の特別控除を適用することはできないので注意しましょう。
    【おさらい】青色申告特別控除ってなんだっけ?

    更正の請求で、新たに65万円の青色申告特別控除を適用する 不可
    更正の請求で、新たに55万円の青色申告特別控除を適用する 不可
    更正の請求で、新たに10万円の青色申告特別控除を適用する できる
    確定申告で10万円控除を適用していたが、
    更正の請求で55万円控除に増額する
    不可
    確定申告で55万円控除を適用していたが、
    更正の請求で65万円控除に増額する
    不可

    当初の確定申告で「そもそも青色申告特別控除をまったく計算に入れていなかった」などという場合は、更正の請求で10万円控除を適用することはできます。ただし、55万円・65万円の控除を新たに適用することは一切できません。(国税局に確認済み)

    ② 住宅ローン控除の新規適用はできない

    更正の請求で、新たに住宅ローン控除を適用することはできません。「確定申告はしたけど住宅ローン控除の申告を忘れてた!」という場合、基本的にその年分の控除は諦めるしかないということです。

    ちなみに、住宅ローン控除の”新規適用”はできませんが、いちど適用した住宅ローン控除の金額を”修正”することは可能です。たとえば、「きちんと期限内に確定申告したけど、控除額の計算を間違えてた!」という場合は、更正の請求で控除額を修正できます。

    会社員の場合、住宅ローン控除を受けるために確定申告をするのは「控除を受け始める最初の年」だけ。2年目以降は、会社の年末調整で住宅ローン控除を適用してもらえるので、住宅ローン控除のために確定申告をする必要はない。

    ③ 必ず還付を受けられるとは限らない

    更正の請求をしても、必ず税金を還付してもらえるとは限りません。たとえば下記のような場合は、請求の正当性が認められず、還付を受けられない可能性があります。

    更正の請求が認められないケース(具体例)

    • 必要経費を新たに計上したいが、支払いの事実を証明できない
    • 売上を新たに計上したいが、入金記録が残っていない
    • 所得控除を新たに適用したいが、証明書類をなくしてしまった
    • 所得控除を新たに適用したいが、そもそも赤字なので税額が変わらない

    ちなみに、更正の請求が認められなかったとしても、とくにペナルティを課されることはありません。ただ、後述するように、税務調査の引き金になる可能性があるので注意しましょう。

    ④ 税務調査のきっかけになる可能性がある

    更正の請求をすると、税務署側は「さてさて、ほんとに税金を返す必要があるのかな?」と審査を始めます。当初の申告内容も詳しくチェックされる可能性が高いので、なにか怪しいところが見つかると、税務調査に発展するおそれがあります。

    もちろん、税務調査が入ったとしても、日頃の帳簿付けを完璧にやっていれば心配することはありません。ただ、もし「ちょっとテキトーにやっちゃってるなぁ…」という自覚があるなら、むやみに更正の請求をしないほうがいいかもしれません。

    更正の請求に関する疑問まとめ【Q&A】

    更正の請求と訂正申告の違いは?
    確定申告期限前に申告ミスに気付いた場合は、正しい内容の申告書類を再提出するだけ訂正できます(この手続きを「訂正申告」と呼ぶ)。一方「更正の請求」は、確定申告期限が過ぎてから申告ミスに気付いた場合におこなう手続きです。
    更正の請求と修正申告の違いは?
    更正の請求は、納税額を多く申告していたとき(還付金を少なく申告していたとき)に、差額を還付してもらうための手続きです。一方、修正申告は、納税額を少なく申告していたとき(還付金を多く申告していたとき)に、差額を追加で納めるためにおこないます。
    修正申告について詳しく!
    更正の請求の期限はいつまで?
    更正の請求の期限は「確定申告期限から5年間」です。たとえば、2024年分の確定申告期限は「2025年3月17日」だったので、このときの申告内容について更正の請求ができるのは「2030年3月17日」までです。
    更正の請求による還付金はいつ振り込まれる?
    更正の請求による還付金は、一般的に1~2ヶ月程度で振り込まれます。更正の請求をした後、税務署による審査を経て指定口座に入金されます。ただし、添付書類に不備があったりすると、税務署の調査に時間がかかり、還付が遅れることもあるようです。
    更正の請求はe-taxでもできる?
    更正の請求はe-taxでもできます。国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスして、「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」という項目を選べばOKです。ただし、書類をオンラインで提出するには、基本的にマイナンバーカードが必要です。

    まとめ

    更正の請求は、申告ミスによって納めすぎていた税金を還付してもらうために行います。簡単に言うと、確定申告期限が過ぎてから「申告ミスで損をしちゃってた!」と気付いた人が行う手続きです。

    更正の請求に関する重要ポイント

    • 更正の請求は、確定申告期限が過ぎてから申告ミスを正すための手続き
    • 請求が認められると、納めすぎていた税金を還付してもらえる
    • 還付金の振り込みは、請求が認められてから1~2ヶ月後
    • 更正の請求ができる期限は、確定申告期限日から5年間
    • 青色申告特別控除や住宅ローン控除の新規適用はできない
    • 税務調査のきっかけになる可能性もあるので要注意

    青色申告特別控除や住宅ローン控除は、「期限内に申告しないと適用できませんよ」という条件があるため、更正の請求で新たに適用することはできません。また、更正の請求に関わる証明書類などが不足している場合は、還付を受けられない可能性があります。

    なお、過去の確定申告で納税額を少なく申告していた(還付金を多く申告していた)と気付いたときは「修正申告」が必要です。修正申告は、更正の請求とは反対に、差額を追加で納めるための手続きです。

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