税金の精算に関わる手続きを、初心者向けにわかりやすく紹介します。全部で「確定申告(訂正申告を含む)・還付申告・修正申告・更正の請求」の4種類あります。どのような違いがあるのか、表などで図示しながら解説していきます。
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目次
確定申告で税額を確定させる
「確定申告」は、一年間の税額を確定し、精算するための手続きです。所得などをもとに、自ら税額を申告して納付します。なお、すでに余分に納めた税金があれば、確定申告を行うことで、その分を返してもらうこともできます(還付申告)。
一度確定した税額について、もし誤りが発覚した場合は「修正申告」や「更正の請求」の手続きによって、その内容を正しましょう。
申告内容が間違っていた時に行う手続き
確定申告には、申告期限(原則3月15日)があります。その期限を過ぎるまでは、何度でも確定申告をやり直せます。これを俗に「訂正申告」と呼びますが、やっていることは普通の確定申告と何ら変わりません。新しく確定申告書を提出し直すだけでOKです。
一方、申告期限を過ぎると税額が確定し、訂正申告はできなくなります。これ以降に誤りを正したい場合は、一度確定した税額を変更することになるので、特別な手続き(修正申告 or 更正の請求)が必要になります。
「確定申告」と「還付申告」の違い
確定申告の目的には、税金の「納付」と「還付」の2種類があります。いずれも1年間の税金を確定し、精算するという意味では同じ「確定申告」の手続きです。ただ、還付目的の確定申告については、とくに「還付申告」と呼んで、納付目的の確定申告と区別します。
確定申告(納付) | 還付申告 | |
---|---|---|
目的 | 納付 | 還付 |
期限 | 原則、翌年3月15日まで | なし(ただし5年で権利を失う) |
提出書類 | 確定申告書など | |
提出方法 | 所轄の税務署にいずれかの方法で提出 (税務署へ直接提出・郵送・e-Tax) |
会社員などの給与所得者は、還付申告を行うことが多いです。一方、個人事業主は納付目的の確定申告を行うことが多いです。ただ、著しく所得が高かった年の翌年や、源泉徴収を多く受けた年などについては、個人事業主でも還付申告となる可能性があります。
「修正申告」と「更正の請求」の違い
修正申告と更正の請求は、誤って申告した税額を、申告期限後に正すための手続きです。修正申告は、誤って税額を少なく申告していたときに行います。更正の請求はその反対で、税額を多く申告していたときに行う手続きです。
修正申告 | 更正の請求 | |
---|---|---|
目的 | 納付 | 還付 |
期限 | なし(可能な限り速やかに) | なし(ただし5年で権利を失う) |
提出書類 | 修正申告書など | 更正の請求書など |
提出方法 | 所轄の税務署にいずれかの方法で提出 (税務署へ直接提出・郵送・e-Tax) |
修正申告には「いつまで」という明確な期限は設けられていません。だからといって、申告を先延ばしにすると、延滞税や加算税などのペナルティが重くなってしまいます。できるだけ早く修正申告をして、同時に納付も済ませましょう。
まとめ
確定申告・還付申告・修正申告・更正の請求について、簡単に違いを紹介しました。目的に応じて、必要な手続きが以下のように異なります。
確定申告 (納付) |
還付申告 | 修正申告 | 更正の請求 | |
---|---|---|---|---|
大目的 | 税額を確定する | 税額の誤りを正す | ||
目的 | 納付 | 還付 | 納付 | 還付 |
期間※ | 翌年2/16~3/15 | 翌年1/1から 5年間 |
翌年3/16~ | 翌年3/16から 5年間 |
提出書類 | 確定申告書など | 修正申告書など | 更正の請求書など |
※期間は、個別の状況により異なる場合がある
確定申告は、申告期間中であれば何度でもやり直せます(訂正申告)。しかし、期限を過ぎてしまったら、修正申告か更正の請求をする必要があります。
なお、早めに還付申告を済ませた場合、まだ申告期限(原則3月15日)が来ていなくても税額が確定してしまうことがあります。原則として、すでに確定してしまった税額については、申告期限内であっても訂正申告はできません。