個人事業の「資産」とは? – 流動資産・固定資産・繰延資産

更新日: 2020/09/30
個人事業の「資産」とは? – 流動資産・固定資産・繰延資産

一般的に「資産」というと、自分が住むために買った家や土地、老後に向けた積立金や株式などを連想する人も多いでしょう。もちろん、広い意味ではこれらも資産に含まれます。ですが、個人事業に関する資産は、それとは区別して考える必要があります。

INDEX

目次

    事業における資産とは?

    事業に関わるあらゆるお金やモノの出入りは、会計上では以下の5グループに大別できます。資産・負債・資本・収益・費用の5つです。

    事業の取引を区分する5つの勘定について - 資産とは

    資産とは、金銭的に価値を表せるもので、事業において使用・換金するために保有するもの全般を指します。この資産は、さらに「流動資産・固定資産・繰延資産」の3つに分けられます。

    資産の分類 - 流動資産・固定資産・繰延資産

    たとえば「流動資産」の欄をみると、流動資産はさらに「当座資産・棚卸資産・その他流動資産」の3つに分かれています。これは単に分類をするための名称で、実際に帳簿づけする際には「現金」「商品」「前払金」などの科目を用います。

    本記事では、上図の区分を前提として、各資産について簡単に説明していきます。

    流動資産

    主に「1年以内に現金化・費用化される資産」を「流動資産」といいます。現金や銀行預金も、これに含まれます。流動資産はさらに「当座資産・棚卸資産・その他流動資産」の3つに区分できます。

    流動資産の分類 - 当座資産・棚卸資産・その他流動資産

    当座資産

    現金・預金・売掛金などが「当座資産」に該当します。売掛金とは、商品やサービスを売り上げたものの、まだそれが現金化されていない状態を示す科目です。現金を受け取ったり、お金を振り込まれたりすることで、売掛金が「現金」や「預金」になります。

    棚卸資産

    棚卸資産はいわゆる「在庫」のことで、商品や貯蔵品などが該当します。これらは年末時点での価値を、所定の方法で計算することになっています。売れればすぐ現金や預金になるので、これらも流動資産の一員です。

    その他流動資産

    これは主に「前払金」のことです。前払金とは、商品やサービスの購入で、先払いをするときに用いる科目です。その他流動資産には、他に「未収入金」や「貸付金」もありますが、個人事業ではあまり用いる機会がないでしょう。

    なお、「その他流動資産」に区分されるこれらの科目は、現金化・費用化に1年を超える時間がかかる場合、固定資産として扱われます。
    >> 流動資産をもっとくわしく!

    固定資産

    固定資産は、平たく言えば「1年を超えて事業に使用する資産」のうち、流動資産でないものをいいます。必ずしも「固定資産=減価償却資産」というわけではなく、減価償却の対象にならない固定資産もあるので注意しましょう。

    固定資産の分類 - 減価償却資産との関係

    上図のように、「減価償却資産・非減価償却資産」の分類と、「有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産」の分類は、別軸として考える必要があります。個人事業においては、とくに前者の分類が重要です。

    「減価償却資産」と「非減価償却資産」

    簡単に言うと、経年劣化するものを「減価償却資産」といいます。劣化した価値は、所定の方法でお金に換算し、帳簿に反映させます(減価償却)。一方「非減価償却資産」については、このような会計処理をしません。

    「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」

    事業に直接利用する固定資産は、物理的な形の有無で「有形」と「無形」とに分類されます。一方、直接には事業利用されない固定資産は「投資その他」に分類されます。とはいえ「無形」や「投資その他」は、個人事業の税務ではあまり扱う機会がないでしょう。
    >> 固定資産を2つの軸で整理!「減価・非減価」と「有形・無形・その他」

    繰延資産

    繰延資産は、本来なら「費用」として経費計上すべき支出です。しかし、その効果が1年以上に及ぶために、特別に「資産」として扱います。個人事業なら「繰延資産 ≒ 開業費」という認識で問題ありません。

    個人事業の繰延資産は、開業費・開発費・その他の費用の3種類

    ※上図の3区分は、税務上のものです。

    税務上、「開業費」と「開発費」は任意のタイミングで償却して経費にできます。即座に全額を償却して経費計上しても構いませんし、何十年間にわたってずっと償却しないままでも問題はありません。

    しかし、上図の「その他の費用」に限り、償却方法が異なります。これは任意のタイミングでは償却できず、国税庁が定める細かなルールに従って償却する必要があります。事務所や店舗を借りるために20万円以上の礼金を支払った場合などが、これに該当します。
    >> 繰延資産に分類される費用とは?

    まとめ

    お金やモノの出入りは、以下の5グループに大別できます。本記事のメインテーマである「資産」は、このうちの1つです。資産という名称から明らかですが、これは事業にとってプラスに働くものですから、多いほどよいです。

    事業の取引を区分する5つの勘定について - 資産とは

    さらに資産は、以下の3グループに区分されます。ざっくり言うと、資産のなかでもスムーズに現金化・費用化できるものを「流動資産」、そうでないものを「固定資産」といいます。ここでいう「費用」は、個人事業における「経費」とほぼ同じ意味です。

    資産の分類 - 流動資産・固定資産・繰延資産

    「繰延資産」も資産のひとつとして扱われるのですが、これは本来なら「費用」に区分されるはずの支出です。個人事業では、主に「開業費」がこれに該当します。繰延資産を扱う機会は、あまりないといってよいでしょう。