減価償却費とは?【わかりやすい解説】

更新日: 2020/09/30
減価償却費とは?【わかりやすい解説】

高価で長期間使うもの(固定資産)の購入費用は、何年かに分けて経費に計上しなければなりません。これを「減価償却(げんかしょうきゃく)」といい、この費用の経費処理をするときには「減価償却費」という勘定科目を使います。

INDEX

目次

    「減価償却」とは

    「減価償却」とは、購入した固定資産の資産価値を帳簿のうえで徐々に減らし、徐々に経費計上することです。固定資産に応じた「法定耐用年数」にしたがって、数年〜数十年にわたってこの処理を行います。

    • 固定資産………取得価額(後述)が10万円以上かつ、使用可能な期間が1年以上のもの
    • 法定耐用年数…国税庁が定めた資産ごとの耐用年数(使用可能な年数)のこと

    減価償却が必要な固定資産について

    固定資産のなかでも、高価かつ、時間が経つにつれて価値が減っていく(経年劣化する)ものを「減価償却資産」といいます。

    固定資産の中で減価償却が必要な「減価償却資産」

    上のイメージからも分かるように、事業で使用する固定資産は、だいたい減価償却資産に該当します。したがって、本記事では「減価償却資産」のことを「固定資産」と表記して説明していきます。

    「取得価額」とは

    取得にかかった費用の合計金額のことを「取得価額」といいます。本体価格のほか、送料・購入手数料・関税なども含まれます。

    取得価額の算出方法

    セットで使うものの取得価額

    たとえば応接セットなど、セットで使うことを前提としたものを購入した場合は、それらの購入費用の合計が取得価額となります。たとえそれぞれの単品価格が10万円未満であっても、セットにしたときの総額が10万円以上であれば、原則的に減価償却が必要です。

    セット購入した場合は合計金額が取得価額になり、減価償却が必要

    (例)取得価額をセットで判断する主なケース

    • 応接セット…テーブル、イスなど
    • パソコン……パソコン本体、ディスプレイ、キーボードなど
    • 自動車………カーナビ、カーステレオ、カーエアコンなど

    取得価額の消費税について

    税込経理方式で帳簿づけをしている場合は、消費税を含めた金額を取得価額とします。税抜経理方式の場合は、消費税を含めなくて構いません。個人事業では、税込経理方式が一般的です。

    「法定耐用年数」とは

    「耐用年数」とは、ざっくり言うとその資産が使用に耐えるとされる年数のこと。固定資産の耐用年数には、基準となる年数が種類ごとに決められていて、これを「法定耐用年数」といいます。

    法定耐用年数の具体例

    固定資産 法定耐用年数
    軽自動車 4年
    普通自動車 6年
    事務所の机・椅子・キャビネットなど(金属製) 15年
    事務所の机・椅子・キャビネットなど(その他) 8年
    パソコン 4年
    複合機・コピー機 5年
    時計 10年
    テレビ、ラジオなど 5年

    その他の資産については、国税庁の運営するサイトに詳しく載っています。

    中古で購入した場合は耐用年数が短縮されることも

    「法定耐用年数」は、新品の資産を取得した場合に適用される年数です。中古の資産を取得した場合、経過年数に応じて耐用年数は短縮されます。
    >> 減価償却費 – 中古資産の耐用年数

    取得価額に応じて、大きく3種類の処理方法に分かれる

    資産の取得価額によって、経費処理の方法が異なります。30万円未満の固定資産は、通常の減価償却に加えて、「一括償却資産の特例」や「少額減価償却資産の特例」を適用して処理ができます。

    取得価額に応じて異なる償却方法【減価償却】

    取得価額が10万円未満のもの、あるいは使用できる期間が1年未満のものは、減価償却の対象にはなりません。「消耗品費」などの勘定科目で経費計上してOKです。

    減価償却費の計算方法

    個人事業主の場合、減価償却費の計算は、主に「定額法」という計算方法を使います。「定率法」という方法もありますが、申請が必要な計算方法なので、個人事業主が使うことはあまりありません。

    「定額法」の計算方法

    定額法の計算方法

    2年目以降は、「取得価額 ÷ 法定耐用年数」の金額を減価償却していけばOK。ただし最後の年のみ、「その年の減価償却費 -1円」の金額で減価償却をします。この1円は「備忘価額」と呼ばれていて、処分時まで経費計上せずにそのまま残しておきます。

    定額法の減価償却例

    参考:最初の年に多くの費用を経費化できる「定率法」

    申請などが必要になるため、個人事業主で使用するケースは少ないですが、「定率法」という計算方法もあります。計算方法をざっくり説明すると「まだ減価償却が済んでいない金額(未償却残高)」×「定率法の償却率」。

    最初の年に多くの費用を経費化できる「定率法」

    「一括償却資産の特例」 – 20万円未満なら適用可能

    10万円以上20万円未満の固定資産は、「一括償却資産の特例」を適用して減価償却ができます。この特例を適用すると、法定耐用年数に関係なく、3年間にわたって1/3ずつ均等に経費処理ができます。

    計上できる金額に上限はなく、年の途中で取得した場合も月割計算が必要ないのが特徴です。

    一括償却資産の特例は3年間均等に経費処理できる

    「少額減価償却資産の特例」(青色のみ) – 30万円未満なら適用可能

    青色申告者に限りますが、取得価額が30万円未満の資産であれば「少額減価償却資産の特例」を利用できます。この特例を適用すると、令和4年(2022年)3月31日までに取得した資産に限り、取得費用が30万円未満であれば全額その年の経費にできます。

    ただし、限度額は年間で合計300万円(会計期間が1年未満なら月割の金額)まで。限度額を超えた分は通常の減価償却で処理します。

    【複式簿記】基本の仕訳例 – 定額法での減価償却

    たとえば、2020年7月に60万円の業務用コピー機を現金で購入し、すぐに使い始めた場合、以下のように記帳します。

    ① まず全額を「資産」として計上する

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年7月5日 工具器具備品
    600,000
    現金
    600,000
    業務用コピー機

    まずは購入日に「資産」として計上します。「工具器具備品」は、事業で使う備品などを指す固定資産用の勘定科目です。

    ② 各年末に少しずつ「減価償却費」として経費計上していく

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年12月31日 減価償却費
    60,000
    工具器具備品 60,000 業務用コピー機の
    減価償却
    2021年12月31日 減価償却費
    120,000
    工具器具備品 120,000 業務用コピー機の
    減価償却








    2024年12月31日 減価償却費
    120,000
    工具器具備品 120,000 業務用コピー機の
    減価償却

    業務用コピー機の法定耐用年数は5年、最初の年の使用期間は7~12月の6ヶ月間なので、減価償却費の計算は
    以下のようになります。

    • 2020年の減価償却費:60万円 ÷ 5年 = 12万円
      (12万円 ÷ 12ヶ月)× 6ヶ月 = 6 万円
    • 2021~2024年の減価償却費:60万円 ÷ 5年 = 12万円
      (12万円 ÷ 12ヶ月)× 12ヶ月 = 12 万円

    ③ 最後の年は1円残す

    日付 借方 貸方 摘要
    2025年12月31日 減価償却費
    59,999
    工具器具備品
    59,999
    業務用コピー機の
    減価償却

    2019~2024年までに、54万円(6万円 + 12万円 × 4年)分の減価償却が終わっています。したがって、この減価償却は2025年で終了します。最後の年は「1円」を残しておくルールがあるので忘れないようにしましょう。

    2025年の減価償却費:(60万円 - 54万円)- 1円 = 59,999円

    なお確定申告の際に、青色申告65万円・55万円控除で節税を狙うなら、「複式簿記」での仕訳は必須です。

    【単式簿記】基本の記帳例 – 定額法での減価償却

    上の業務用コピー機の例について、経費帳などに「単式簿記」で記帳する場合は以下のようになります。

    単式簿記の記帳例

    日付 減価償却費 摘要
    2020年12月31日 60,000 業務用コピー機
    2021年12月31日 120,000 業務用コピー機






    2024年12月31日 120,000 業務用コピー機
    2025年12月31日 59,999 業務用コピー機

    単式簿記は管理できる情報が限られるので、より詳細な情報は「固定資産台帳」に記入しておきましょう。固定資産台帳は名前の通り、固定資産などをそれぞれの資産ごとに管理する帳簿のことです。

    固定資産台帳の記入例

    クラウド会計ソフトなら、固定資産台帳を簡単に作成することができます。以下は「会計 freee」の固定資産台帳の記入例です。

    固定資産の登録画面 固定資産台帳(固定資産 一覧画面)
    freee 固定資産台帳 登録画面 freee 固定資産台帳 一覧画面

    減価償却の確定申告【収支内訳書・青色申告決算書】

    減価償却を行った個人事業主は、確定申告書類の「減価償却の計算」という項目を記入しましょう。白色申告者は「収支内訳書」2ページ目に、青色申告者は「青色申告決算書」3ページ目 に、該当部分があります。

    収支内訳書(白色申告) 青色申告決算書(青色申告)
    令和元年分以降用 収支内訳書 減価償却費の計算欄 令和元年分以降用 収支内訳書「減価償却費の計算」 令和元年分以降用 青色申告決算書「減価償却費の計算」 令和元年分以降用 青色申告決算書 減価償却費の計算欄

    なお「収支内訳書」「青色申告決算書」どちらの書類も記入する内容は同じです。

    ①償却資産の名称等 資産の名称
    (例)パソコン、自動車 など
    ②面積 又は 数量 資産の台数(個数)や面積など
    (例)パソコンが2台→「2台」
    ③取得年月 購入日
    ④取得価額 購入にかかった費用の合計
    ⑤償却の基礎になる金額 ④と同じ金額を記入
    (平成19年4月1日以降に購入した資産の場合)
    ⑥償却方法 定額法の場合:「定額」と記入(通常はこちら)
    定率法の場合:「定率」と記入
    ※「一括償却資産の特例」や「少額減価償却資産の特例」を適用した場合は空欄
    ⑦耐用年数 国税庁「耐用年数表」を参照して年数を記入
    ※「一括償却資産の特例」や「少額減価償却資産の特例」を適用した場合は空欄
    ⑧償却率 国税庁「減価償却資産の償却率等表」を参照して記入
    ※「一括償却資産の特例」や「少額減価償却資産の特例」を適用した場合は空欄
    ⑨本年中の償却期間 その年の償却期間
    (例)
    ・2020年8月に購入して利用開始した
    →「5」(その年の償却期間は8月~12月の5ヶ月間)
    ・前年以前から減価償却をしている
    →「12」(1年間)
    ⑩本年分の普通償却費 取得価額(④)×償却率(⑧)×本年中の償却期間(⑨)÷ 12の計算結果
    ⑪特別償却費 対象となる設備を購入した場合は、「特別償却費」として割増しする部分の償却費を記入(青色申告者のみ)
    (例)1台160万円以上の機械装置など
    ⑫本年分の償却費合計 ⑩と⑪の合計金額
    (基本的に⑩と同じ金額を記入)
    ⑬事業専有割合 家事按分の比率
    (プライベートでは使用しない資産なら「100」と記入)
    ⑭本年分の必要経費
    算入額
    ⑫×⑬の金額を記入
    (100%事業利用の資産であれば、⑫と同じ金額を記入)
    ⑮未償却残高 来年以降に償却することになる償却費の残高
    (④から償却済みの金額を差し引いた金額)
    ⑯摘要 備考などがあれば記入
    (例)
    ・「少額減価償却資産の特例」を適用した場合
    →「措法28の2」と記入

    まとめ – 減価償却費の重要ポイント

    「減価償却」は、固定資産の取得にかかった費用を、法定耐用年数に応じて分割して経費計上していくこと。このとき帳簿には「減価償却費」という勘定科目で記帳します。ほとんどの固定資産は、取得にかかった費用について減価償却が必要です。

    固定資産のなかで減価償却が必要な「減価償却資産」

    減価償却費の重要ポイント

    • 「法定耐用年数」は、その資産が使用に耐えるとされる年数のこと
    • 「取得価額」は、本体価格や送料、手数料などの合計金額
    • 個人事業の減価償却の計算は、原則的に「定額法」で行う
    • 30万円未満の資産であれば、大きく分けて3つの処理方法がある
    • 確定申告では「減価償却の計算」の記入欄に必要事項を記入する

    取得価額に応じた3種類の処理方法

    取得価額に応じて異なる償却方法【減価償却】

    固定資産の減価償却には、通常の減価償却に加えて、「一括償却資産の特例」(20万円未満の場合)や、「少額減価償却資産の特例」(30万円未満の場合)を利用する処理方法もあります。

    「一括償却資産の特例」と「少額減価償却資産の特例」の特徴

    一括償却資産の特例 少額減価償却資産の特例
    • 取得価額20万円未満の資産に適用できる
    • 白色申告者、青色申告者どちらも利用できる
    • 限度額は設けられていない
    • 費用を1/3ずつ3年間で経費にできる
    • 取得価額30万円未満の資産に適用できる
    • 青色申告者のみ利用できる
    • 限度額は年間で合計300万円まで
    • 購入した年に全額経費にできる

    減価償却費の計算方法

    個人事業主は、原則的に以下のような「定額法」で減価償却の計算を行います。

    定額法の計算方法

    たとえば取得価額が50万円で、法定耐用年数5年の固定資産なら、10万円ずつを5年間で減価償却をします。ただし、年の途中で購入したなど、使用期間が1年に満たない場合は、月数の月割で計算しましょう。