個人事業主向けに「事務用品費」の勘定科目について解説します。基本的には「消耗品費」で記帳することが多いので、通常はあまり出番のない科目です。事務用品費の科目を用いるべき場面や、具体的な仕訳方法などをわかりやすく紹介します。
INDEX
目次
事務用品費とは
事務用品の購入費用を経費計上する際は、「事務用品費」という勘定科目を使ってもOKです。決算書に記載のない科目ですが、任意で使用できます。
事務用品費の具体例
- 文房具
- コピー用紙
- 領収書・各種伝票
- インクカートリッジ
- 名刺
- ハンコ・印鑑
- 封筒
- ゴミ袋
- パソコン(10万円以下)
- キーボード
ただ、上記のような出費は「消耗品費」の科目でも処理できます。特に理由がなければ、「消耗品費」の科目で計上するのがおすすめです。
事務用品費の科目を使う必要はある?
結論から言うと、わざわざ「事務用品費」の科目を使う必要性はほとんどありません。あえて「事務用品費」を使うメリットがあるとしたら、下記のような場合だけです。
- 「消耗品費」の合計額が膨らみすぎてしまう
- 事務用品とその他の消耗品にかかるコストを分けて把握しておきたい
「事務用品費」の科目を利用すれば、その分「消耗品費」の合計額をおさえることができます。特定の科目だけ金額が突出していると、税務調査のきっかけになりかねないので、このような工夫で経費の不均衡をならしておくのも一手です。
ただし、一度「事務用品費」の科目で記帳したら、毎年ずっと同じルールで帳簿づけする必要があります。ですから、事務用品の出費がよほど大きくならない限り、「消耗品費」として処理することをおすすめします。
>> 任意で追加する科目の上手な使い方
事務用品費の記帳例
「事務用品費」の科目を使う場合、たとえば1,000円のマーカーセットを現金で購入したら、次のように記帳します。
複式簿記の記帳例
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月30日 | 事務用品費 1,000 | 現金 1,000 | マーカーセット |
同様の取引を、会計ソフトでは以下のように入力します。
会計ソフトの記帳例
画像は「やよいの白色申告 オンライン」のもの
まとめ
- 事務用品の購入費は通常「消耗品費」で計上する
- もし明確な目的があれば「事務用品費」で区別するのもあり
- 「消耗品費」と「事務用品費」の使い分けに規定はない
- ただし、いちど「事務用品費」で処理した出費はその後も同様に処理する
なお、10万円以上のものを購入した際は、原則として「減価償却」という処理が必要です。その場合、「事務用品費」や「消耗品費」として経費計上することはできません。