個人事業主の給与ってどうなるの?個人事業における給料の取り扱い

更新日: 2020/08/28
個人事業主の給与ってどうなるの?個人事業における給料の取り扱い

個人事業主は、事業により得たお金で生活をします。事業用の口座から、定期的に一定金額をおろして、いわゆる「給与」のような感覚で、生活費に充てている人も多いと思います。本記事は、その税務上の取り扱いや、従業員への給与についてざっくり解説します。

INDEX

目次

    個人事業主の給与って?

    そもそも個人事業主の取り分については「給与」という考え方をしません。「個人事業主が自分自身に給与を支給する」という行為そのものが、税法上は存在しないということです。当然、自分の取り分を経費にすることはできません。

    なお、個人事業主の取り分は、大まかには「事業収入 - 必要経費 = 事業所得」として計算します。つまり、諸々の必要経費を差し引いた後に残った金額が、事業主の取り分なのです。家族や従業員へ支給する給与との違いを整理すると、以下のようになります。

    ① 自分への給与 ② 家族への給与 ③ 従業員の給与
    経費にできない 要件を満たせば経費にできる
    (専従者給与)
    経費にできる
    (給料賃金)

    家族に対して支払った給与も、基本的には経費にできない決まりになっています。ただし、家族がその事業に専従しているなどの一定要件を満たせば、経費として扱うことが可能です。これについて、詳しくは後ほど説明します。

    ① 自分への給与 ‐ 経費にできない

    個人事業主の取り分を、帳簿上で必要経費として扱うことはできません。自分の生活費などについては、次のように考えます。

    事業で得た収入を、自分の生活費としてプライベート用の口座に移動させたり、プライベート用に使ったりするときは、「事業主貸」という科目で帳簿づけしましょう。これは経費の科目ではなく、個人的用途の支出であることを示す科目です。

    事業用の口座から生活費として30万円おろしたときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月31日 事業主貸 300,000 普通預金 300,000 生活費

    事業用のお金を私的な用途で使う場合、この「事業主貸」で記帳すれば、それっきりで処理は終了です。「事業主貸」という名称ですが、あとで事業用口座へお金を返したりする必要はありません(帳簿上でそのような返済の処理をする必要もありません)。
    >> 事業主貸・事業主借を分かりやすく!

    ② 家族への給与 ‐ 経費にできる(要件あり)

    同じ家計で生活している家族への給与は、原則としては経費にできません。ただし、その家族が「専従者(せんじゅうしゃ)」に該当する場合のみ、特別な取り扱いが可能です。
    >> 「専従者給与」の要件について詳細

    青色申告者は、専従者に支給した金額を「専従者給与」として、すべて経費にできます。なお、この場合、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」などを税務署に提出しておかなくてはなりません。

    青色申告者が専従者に8万円の給与を支給したときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月25日 専従者給与 80,000 普通預金 80,000 妻 5月分
    専従者給与

    白色申告者は、専従者に給与を支給しても、そのままの金額を経費にはできません。ですが、一定の金額まで「専従者控除」を受けられます。

    なお、白色申告者が帳簿を管理する都合などで、家族への給与額を帳簿につけておきたければ「事業主貸」の科目で記帳しましょう。

    ③ 従業員の給与 ‐ 経費にできる

    個人事業主が従業員を雇った場合は、その給与を「給料賃金」の科目で必要経費に計上できます。

    アルバイト代として5万円を支給したときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月25日 給料賃金 50,000 普通預金 50,000 山田太郎
    4月分 給与

    原則としては、給与や専従者給与を支給する際、源泉徴収を行う必要があります。あらかじめ、従業員の所得税などを預かっておいて、あとで事業主が従業員の代わりに納付するということです。その場合、上記の例よりも複雑な仕訳が必要になります。

    ただ、給与の支給金額が毎月88,000円未満で、かつ「扶養控除等申告書」を提出させる場合には、源泉徴収を行う必要はありません。上記の仕訳例は、この要件を満たしたときの仕訳です。

    まとめ

    個人事業で得た収入を、自分の生活費として取り分ける場合、必要経費にはできません。帳簿をつける際は「事業主貸」の科目で記帳します。

    生計をともにしている家族が事業を手伝ってくれているケースもあるでしょう。このような身内への給与も、個人事業では特別な扱いをします。一定の要件を満たせば経費にすることができますが、一般的な従業員への給与とは異なるものとして考えます。

    ① 自分への給与 ② 家族への給与 ③ 従業員の給与
    経費にできない 要件を満たせば経費にできる
    (専従者給与)
    経費にできる
    (給料賃金)

    家族ではない従業員に支払った給与については、もちろん「給料賃金」として経費にできます。