【個人事業主向け】車両費とは?仕訳方法や旅費交通費との違いなど

更新日: 2025/09/25
【個人事業主向け】車両費とは?仕訳方法や旅費交通費との違いなど

個人事業主・フリーランス向けに、「車両費」の勘定科目についてまとめました。仕訳方法や、旅費交通費・修繕費との違いなどを解説します。

目次

    個人事業主の車両費とは?

    自分で作成する勘定科目の一般例 - 決算書に記載のない科目

    「車両費(車両関連費)」は、決算書には載っていませんが、一般的によく使われる勘定科目です。自動車やバイクの使用・維持などにかかる支出を、より明確にしておきたい場合に活用するとよいでしょう。

    「車両費」の具体例

    • ガソリン代や軽油代
    • 高速道路や有料道路の利用料
    • コインパーキング代や月極駐車場の利用料
    • ガソリンスタンドや洗車場で支払う洗車代
    • ウォッシャー液の購入費用
    • 車検代
    • オイル代やオイル交換代
    • タイヤ交換代やパンク修理代
    • 自動車保険料(自賠責保険・任意保険)
    • 自動車税、軽自動車税

    車両費の消費税区分は基本的に「課税」です。ただ、保険料は「非課税」、自動車税は「不課税」です。

    「旅費交通費」や「修繕費」との使い分け

    車関連の支出がそこまで多くなければ、わざわざ「車両費」の勘定科目を作る必要はありません。その場合は、下記のような勘定科目で帳簿づけをしましょう。いずれも、個人事業主が提出する決算書にデフォルトで記載されている科目です。

    ここからは、自動車を事業のためだけに使っているケースを想定して、具体的な記帳方法を説明します。プライベートでも同じ車を使っている場合は「家事按分」をする必要があり、支出の全額を経費にすることはできないので注意しましょう。

    車両費の仕訳方法

    仕訳例① ガソリン代

    下記は、事業用車のガソリン代8,000円を現金で支払った際の記帳例です。

    複式簿記の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月17日 車両費 8,000 現金 8,000 ガソリン代

    「複式簿記」で記帳するのは、青色申告特別控除の55万円・65万円をねらう事業者です。それ以外の青色申告者や白色申告者は「単式簿記」で構いません。

    会計ソフトの記帳例

    事業用車のガソリン代の記帳例(やよいの白色申告 オンライン)

    やよいの白色申告 オンライン

    仕訳例② 自動車保険料

    自動車保険の保険料は、契約期間が1年以内なら、下記のように経費計上するだけでOKです(短期前払費用の特例)。もちろん、1年ぴったりの契約もこれに該当します。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月1日 車両費 65,000 現金 65,000 自動車保険料1年分

    ただし、この特例は基本的に、毎年同じように契約更新していくことが前提です。そうでない場合は、上記に加えて「前払費用」の科目を使った仕訳も必要となるので注意しましょう。

    【前払費用】契約期間が1年を超える場合は要注意!

    2~3年分の保険料をいちどに支払う場合などでは、上記の仕訳に加え、決算時に月割り計算が必要です。会計のルール上、経費にできるのは原則「契約月~当年12月」の部分だけですから、当年の経費にできない部分は「前払費用」へ振り替える必要があります。

    仕訳例③ 車両の修理代

    車両の修理代は高額になることも多いですが、このとき「10万円を超えたら減価償却する!」というルールはひとまず気にしなくてよいです。基本的に、固定資産(車両や建物など)の維持管理にかかる費用は、金額に関わらず経費に計上できます。

    たとえば、摩耗したタイヤの交換費用として16万円を支払ったら、下記のように経費計上してしまってOKです。(「車両費」ではなく「修繕費」の科目を使う場合も多い)

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月20日 車両費 160,000 現金 160,000 タイヤ交換

    ただし、従来よりも高価なタイヤに変えたりすると、その費用は単なる修理代でなく「資本的支出」とみなされます。資本的支出とは、簡単に言うと「固定資産の価値を高めるための支出」のことで、すぐに経費計上せず、減価償却をする必要があります。

    車両費に関する疑問【Q&A】

    車両費と「旅費交通費」の違いは?
    車両費は自家用車にかかる費用ですが、旅費交通費には「事業目的の移動全般にかかる費用」が該当します。ガソリン代や高速道路料金などは、旅費交通費として処理しても構いません。
    個人事業主の旅費交通費とは?領収書なしでOK?消費税区分や仕訳例も
    自動車税は車両費になる?
    車両費には含めてもよいですが、「租税公課」の勘定科目を使うケースもあります。特に一律のルールがあるわけではないので、自分なりのルールを決めて使い分けましょう。
    個人事業主の租税公課とは【経費にできる税金一覧】
    プライベートでも使っている車のガソリン代は?
    車を事業とプライベートの両方で使っている場合、ガソリン代は「家事按分」をして、事業利用分のみを必要経費に計上します。事業利用分の割合は、走行距離や使用日数などをもとに按分するのが一般的です。
    カーシェアやレンタカー代も車両費?
    事業で利用したカーシェアやレンタカーの費用は「車両費」として経費計上できます。車両費の代わりに「旅費交通費」などの勘定科目を使ってもOKです。

    まとめ

    「車両費」の勘定科目を作成する際は「○○は車両費、△△は消耗品費」と、自分なりのルールをきちんと設けましょう。そして、毎年そのルールに則って記帳していく必要があります(継続性の原則)。

    「車両費」のポイント

    • 「車両費」は自分で作成する科目(決算書にはもともと記載がない)
    • 車に関する支出が少なければ「車両費」の科目を作成しなくてOK
    • 車を事業とプライベートで兼用している場合は「家事按分」が必要
    • 消費税区分は基本的に「課税」
    • ただし、保険料は「非課税」、自動車税は「不課税」
    • 1年契約の保険料は支払時に全額を経費計上できる(短期前払費用の特例
    • 車両の修理にかかる費用は、10万円超でも基本的に減価償却しなくてよい
    • ただし「資本的支出」に該当する場合は減価償却が必要

    ちなみに、自動車を購入した際は「車両費」ではなく「車両運搬具」という固定資産の勘定科目で記帳します。自動車の取得にかかった費用は、耐用年数に応じて減価償却をしていきます。

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