【個人事業主向け】取材費とは?消費税区分や源泉徴収の必要性を解説

更新日: 2025/09/25
【個人事業主向け】取材費とは?消費税区分や源泉徴収の必要性を解説

個人事業主・フリーランス向けに、「取材費」の勘定科目についてまとめました。他の勘定科目との使い分けや、具体的な仕訳方法などを解説します。

目次

    個人事業主の取材費とは?

    任意で追加する勘定科目の例 - 収支内訳書・青色申告決算書にない科目

    >> 決算書に載っていない勘定科目の使い方

    「取材費」という勘定科目を使えば、取材に関わる費用をまとめて管理できます。決算書には載っていない科目ですが、取材の機会が多いライターやメディア関係者は追加しておくと便利です。

    取材費の具体例

    • 取材で訪れた施設の入場料
    • 取材対象のサービスに支払う利用料
    • インタビューをする際の飲食費
    • インタビューの相手に支払う謝礼金
    • 取材先までの交通費
    • 参考資料の購入代金

    取材費の消費税区分は、基本的に「課税」です(海外で取材する場合などを除く)。なお、消費税の納付義務がない免税事業者なら、課税区分を気にする必要はありません。

    わざわざ「取材費」を使わなくてもOK

    あまり取材をしない業種なら、わざわざ「取材費」の科目を設ける必要はありません。勘定科目を増やしすぎると、かえって管理が大変になってしまいます。

    頻繁に取材する人 あまり取材をしない人
    「取材費」を設けておくと便利 他の科目で代用する方がよい

    取材に関わる費用は、下記のような科目で処理しても問題ありません。

    取材に関わる費用 該当する勘定科目の例
    • インタビューをする際の飲食費
    接待交際費
    • 参考資料の購入代金
    消耗品費
    • 取材先までの交通費
    旅費交通費
    • 取材で訪れた施設の入場料
    • 取材対象のサービスに支払う利用料
    • 取材相手に渡す謝礼金
    支払手数料

    「支払手数料」は「取材費」と同じく、任意で追加する勘定科目です。主には、振込手数料や仲介手数料を処理する科目ですが、用途がキッチリ決まっているわけではありません。「取材費」よりも汎用性が高いので、追加しておくと便利でしょう。

    取材費の仕訳方法

    勘定科目に「取材費」を追加した場合の記帳例を紹介します。たとえば、インタビューの謝礼として1万円を現金で支払った場合は、次のように記帳します。

    複式簿記の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年6月10日 取材費 10,000 現金 10,000 謝礼金 Aさん

    >> 複式簿記の記帳方法をおさらい

    同様の取引を、会計ソフトでは以下のように入力します。ただ、デフォルトのままでは「取材費」が科目の選択肢にないことが多く、設定から新たに追加する必要があります。

    会計ソフトの記帳例

    会計ソフトの記帳例 - 取材費

    画像は「やよいの白色申告 オンライン」のもの

    取材の謝礼は源泉徴収が必要?

    あなたが従業員を雇っていないなら、外部に支払う報酬等について源泉徴収をする必要はありません。しかし、従業員を雇っている場合は、一部の報酬等は源泉徴収が必要になります。

    あなた
    従業員なし 従業員あり
    相手 個人事業主 源泉徴収は不要 特定の報酬は
    源泉徴収が必要
    法人 源泉徴収は不要 源泉徴収は不要

    従業員を雇っている場合は、個人事業主に支払う特定の報酬等について源泉徴収をする必要があります。この場合は、取材の謝礼金についても源泉徴収が必要です(国税局に確認済み)。
    外部に支払う報酬で源泉徴収が必要なもの

    決算書には「取材費」がない?

    収支内訳書と青色申告決算書には、もともと「取材費」の欄がありません。取材費は任意で追記する科目なので、下記の空欄部分に書き込みましょう。

    収支内訳書 青色申告決算書
    令和2年分以降用 収支内訳書 必要経費 追加欄 令和2年分以降用 青色申告決算書 必要経費 追加欄

    もし自分で追加した科目が多く、欄が足りない場合は、一番下の欄に書ききれなかった科目の合計額を記入します。その科目欄には「◯◯費ほか」と書いておけばOKです。

    取材費に関する疑問【Q&A】

    「取材費」の勘定科目を追加するメリットは?
    取材に関わる費用はまとめて「取材費」に放り込めるので、取材業務の多い個人事業主は少しラクになります。ただ、勘定科目が増えすぎると管理が面倒になるので、取材業務が少ないうちは、既存の勘定科目で代用しておくのがよいでしょう。
    取材費と「接待交際費」の違いは?
    取材に必要な飲食代や謝礼は「取材費」、取引先との会食や贈答は「接待交際費」です。インタビューをする際のカフェ代などは、どちらの勘定科目を使ってもOKです。
    個人事業主の接待交際費とは?上限額の目安や仕訳方法など
    取材費と「旅費交通費」の違いは?
    一般的に、事業に関わる移動費用は「旅費交通費」の勘定科目で仕訳します。取材時の交通費などは、取材費と旅費交通費のどちらを使っても問題ありません。
    個人事業主の旅費交通費とは?領収書なしでOK?消費税区分や仕訳例も
    取材の謝礼を支払うときに源泉徴収は必要?
    あなたが従業員を雇っていないなら、外部に支払う報酬等について源泉徴収をする必要はありません。あなたが従業員を雇っている場合は、取材の謝礼等についても源泉徴収が必要になります。
    【個人事業主向け】外部に支払う報酬で源泉徴収が必要なもの
    会計ソフトに「取材費」の勘定科目がないんだけど?
    「取材費」はそもそも個人事業主の決算書に載っていない勘定科目なので、会計ソフトにもデフォルトでは入っていない場合が多いです。大抵の会計ソフトでは任意の勘定科目を追加できるので、使いたい場合は追加しておきましょう。

    まとめ

    • 取材にかかる費用が多い人は「取材費」の科目を追加しよう
    • 逆に取材費用が少ない人は、決算書の既存科目で処理するほうがよい
    • 「取材費」の代わりに、もっと汎用性の高い科目(支払手数料など)を設けるのもアリ
    • 同様の取引について、使う科目をコロコロ変えるのはNG(継続性の原則)

    電車賃や謝礼金のように、領収書が発行されない出費を必要経費に計上する際は「出金伝票」を作成します。あわせて、取材ノートや日程表など「実際に取材したという証拠」を保管しておけば、もし税務調査が入ったとしても安心です。

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