損害保険料とは?対象となる保険の具体例や仕訳方法など

更新日: 2020/08/28
損害保険料とは?対象となる保険の具体例や仕訳方法など

「損害保険料」について個人事業向けにまとめました。事務所や店舗、商品などを対象にした損害保険の費用は「損害保険料」として仕訳をします。自宅で仕事をしている場合などは、保険料の一部を経費として扱えます(家事按分)。

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目次

    「損害保険料」とは

    「損害保険料」とは、事業に関わる損害保険(自動車保険や火災保険など)の費用を指す勘定科目のこと。事務所や商品の保険だけでなく、事業者本人にかける賠償責任保険なども含まれる場合があります。消費税区分は原則「非課税」です(詳しくは後述)。

    損害保険料として計上できる保険の具体例

    • 事業で使用する車両の自動車保険料
    • 店舗や事務所、商品などの火災保険料や地震保険料
    • 商品の盗難保険料
    • 事業者本人の賠償責任保険料

    「事業者本人の賠償責任保険」とは、納品した成果物や業務の結果によって訴えられたときなどの損害をカバーしてくれる保険です。PL保険(生産物賠償責任保険)などがこれに当てはまります。

    ちなみに、自宅で仕事をしている場合や、プライベート用の自動車を事業でも使用している場合などは、ほかの経費と同じように按分することで、保険料の一部を経費として扱えます。

    「損害保険料」として仕訳できない保険料

    一般的に損害保険と呼ばれる保険であっても、保険の対象が事業に関係ないものであれば、当たり前ですが「損害保険料」として経費計上できません。事業を営む上ではなく、「生活をする上で必要な支出」に該当するからです。

    「損害保険料」に該当しない保険の例

    • プライベート専用車両の自動車保険
    • 自宅の火災保険や地震保険(自宅兼事務所ではない場合)
    • 事業者本人の生命保険

    上記のなかでも「事業者本人の生命保険」に関しては、所得控除の対象です。所得控除については、後半で詳しく解説します。

    「損害保険料」の消費税区分

    「損害保険料」として計上する自動車保険や火災保険などの保険料は、基本的に「非課税」の取引です。つまり、消費税がかからないということ。

    しかし自動車保険の場合、支払う保険料に代理店への手数料などが含まれてる場合があります。この手数料には消費税がかかります(課税)。

    ちなみに、なにかしら損害が発生して、加入していた損害保険の保険金を受け取る場合(保険金収入)の消費税は「不課税」として扱います。これは、対価性がない取引とみなされるためです。
    >> 消費税区分の詳細について

    仕訳例① 損害保険料の基本的な記帳例

    以下は「事務所の火災保険料(1年契約)を現金で支払った」ときの記帳例です。

    複式簿記の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年1月25日 損害保険料 20,000 現金 20,000 火災保険料

    確定申告の際に青色申告65万円・55万円控除をねらうなら、上記の方法で仕訳をします。ちなみに「単式簿記」の場合は、下記のとおりです。

    単式簿記の記帳例

    日付 損害保険料 摘要
    20XX年1月25日 20,000 火災保険料

    仕訳例② 自宅兼事務所に対する保険料の記帳例 – 家事按分

    自宅兼事務所(自宅を仕事場としても使っている)の場合は、家賃や水道光熱費と同様に、保険料も按分できます。
    >> 家事按分の詳細

    「自宅兼事務所の火災保険料(1年契約)を事業用の口座から引き落とされた」場合は、以下のように仕訳をします。なお、事業用割合は50%での計算です。

    自宅兼事務所の火災保険料を事業用割合50%で按分したときの記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年1月25日 損害保険料 10,000 普通預金 20,000 火災保険料
    事業主貸 10,000 家事使用分

    ちなみに「事業主貸」とは、事業に無関係な支出であるという意味の勘定科目です。事業用の口座からプライベートな費用を払ったときは、このように帳簿づけを行います。

    仕訳例③ 2年分の保険料を支払った場合 – 前払費用

    数年分の保険料を一括で支払う場合、まずは「前払費用」(または前渡金)という勘定科目で仕訳をします。翌年以降は、そのつど「損害保険料」として計上していきます。

    たとえば「2年分の火災保険料(24,000円)を現金で支払った」とき。一括で支払った保険料24,000円は、ひとまず下記のように「前払費用」として計上します。

    2年分の火災保険料を現金で支払った際の記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年4月3日 前払費用 24,000 現金 24,000 火災保険料(2年分)

    そして期末(個人事業の決算日は12月31日)に、当期分の火災保険料を「損害保険料」で仕訳をします。4月3日に2年分の保険料を支払った場合、当期分は4月~12月なので9ヵ月分の費用を算出します。

    2年分の火災保険料を支払い、期末に算出する計算例

    算出した9,000円を12月31日に「損害保険料」で仕訳をし、残りの15,000円は翌年以降に対象期間分を計上していきます。

    期末に当期分を損害保険料に仕訳するときの記帳例

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年12月31日 損害保険料 9,000 前払費用 9,000 火災保険料 当期分

    事業者本人にかかる保険は「所得控除」の対象

    事業者の自宅や事業者自身が対象のプライベートな保険の費用は、「損害保険料」として経費には計上できません。しかし、一部のものは「所得控除」の対象です。

    「所得控除」を簡単に説明すると、個人的な事情を考慮して所得から一定の金額を差し引き、所得税の負担を軽くするというものです。事業者や自宅を対象とした保険料などのプライベートな支出は、「所得控除」の対象である場合があります。

    所得控除の対象となる主な保険料

    所得控除①「社会保険料控除」と「生命保険料控除」

    国民年金の保険料や、事業者自身が加入している生命保険料などは、「損害保険料」として仕訳できません。業務には関係のない「生活をする上で必要な支出」と捉えられるからです。そのかわり、所得控除の「社会保険料控除」や「生命保険料控除」を受けられます。

    社会保険料控除と生命保険料控除の対象

    社会保険料控除 生命保険料控除
    国民年金や国民健康保険で納付した金額 生命保険料や介護医療保険料

    「社会保険料控除」はその年に支払ったすべての金額が控除の対象です。「生命保険料控除」に関しては、年間いくら支払ったかによって上限が変わってきます(最高12万円まで)。

    所得控除② 地震保険料は「地震保険料控除」

    事業所や店舗の火災保険や地震保険などの保険料は、基本的に「損害保険料」の対象です。また、地震保険については、対象が事業所や店舗ではなく自宅の場合であっても「地震保険料控除」という所得控除が受けられます。

    地震保険 火災保険
    事務所や店舗 経費(損害保険料) 経費(損害保険料)
    自宅 所得控除(地震保険料控除) 該当なし

    「地震保険料控除」とは、自宅に地震保険をかけている場合に受けられる所得控除です。その年に支払った地震保険料に応じて、控除額が決定します(最高5万円)。

    事務所や店舗の地震保険料は、「地震保険料控除」の対象ではなく「損害保険料」として処理します。自宅兼事務所(自宅を仕事場としても使っている)の場合には、一部は「損害保険料」(経費)一部は「事業主貸」で仕訳をします(家事按分)。この場合、事業主貸に計上した部分を、地震保険料控除の対象にできます。

    地震保険料の対象によって処理方法が異なる

    損害保険料の重要ポイントまとめ

    事業に必要な損害保険の費用は「損害保険料」として経費に計上できます。ただし、生命保険などの個人的な保険や、自宅専用の自動車にかかる損害保険の費用などは、経費として認められません。

    損害保険料のポイント

    • 基本的に消費税区分は「非課税」
    • 店舗や事務所、商品などの保険料は「損害保険料」として経費に計上できる
    • 自宅と事務所が同一の場合など、家事按分できるケースもある
    • 数年分の保険料を払う場合は、まず「前払費用」で仕訳をする
    • プライベートな保険料は「損害保険料」として計上できない

    「損害保険料」として経費計上できない保険料でも、「所得控除」の対象に含まれているものがあります。「所得控除」が受けられれば、納付する所得税の負担を軽くできます。

    損害保険料の具体例 所得控除の具体例
    • 事業で使用する車両の自動車保険料
    • 店舗や事務所、商品などの火災保険料
    • 商品の盗難保険料
    • 事業者本人の社会保険料(国民年金など)
    • 事業者本人の生命保険料や医療保険
    • 自宅の地震保険料

    国民年金などの社会保険料は「社会保険料控除」、生命保険や医療保険などは「生命保険料控除」、そして自宅の地震保険料は「地震保険料控除」の対象です。

    所得控除は、事業者や自宅を対象とした損害保険の費用など、プライベートな支出のみが対象です。自宅兼事務所のようにプライベートな部分も含まれている場合は、ほかの経費と同じように按分することで、その割合に応じた控除を受けられます。