キャッシュレスで経費を支払ったときの記帳方法を、個人事業主向けにわかりやすく解説します。SuicaやPayPay、クレジットカードなどの様々な支払い方法について、基本的な考え方や仕訳例をまとめています。
INDEX
目次
キャッシュレス決済の3パターン
本記事では、キャッシュレス決済を下記の3種類に分けて、それぞれの原則的な記帳方法を説明していきます。
チャージ式 |
まずお金をチャージし、その残高から支払っていく方法 例:Suica、楽天Edy、PayPayの「残高払い」 |
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後払い式 |
商品やサービスを購入した後に代金が引き落とされる方法 例:クレジットカード、口座振替、PayPayの「クレジットカード払い」 |
即時払い式 |
支払いと同時に口座から代金が引き落とされる方法 例:デビットカード、預金口座からの振込 |
同じキャッシュレス決済でも、使い方によって決済方法が異なるので注意しましょう。たとえば「PayPay」では、チャージ式の「残高払い」と、後払い式の「クレジットカード払い」を選択でき、これらは記帳方法が異なります。
① チャージ式の記帳例
代表例 |
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まず電子マネーやアプリにチャージし、その残高から支払っていく決済方法では、以下のように記帳するのが基本です。
取引時
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月10日 | 前払金 20,000 | 現金 20,000 | Suica チャージ |
支払い時
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月11日 | 旅費交通費 550 | 前払金 550 | A社打ち合わせ |
・ ・ ・ |
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20XX年5月12日 | 消耗品費 1,000 | 前払金 1,000 | コピー用紙 |
・ ・ ・ |
- 原則としては「チャージ時」と「支払い時」の両方で記帳する
- チャージ時には、チャージした金額を「前払金」の科目で資産に計上する
- 支払い時には、前払金を経費へ振り替える
なお、簿記を理解している人向けの、簡略化した記帳方法もあります。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
② 後払い式の記帳例
代表例 |
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「後払い式」の場合、商品を購入した時点ではお金が動きません。代金は後日、銀行口座から引き落とされます。
取引時
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
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20XX年5月13日 | 広告宣伝費 10,000 | 未払金 10,000 | チラシ代 |
・ ・ ・ |
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20XX年5月14日 | 接待交際費 3,300 | 未払金 3,300 | Bさんと打ち合わせ |
・ ・ ・ |
引き落とし時
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年6月27日 | 未払金 13,300 | 普通預金 13,300 | △△カード払い分 4/21~5/20分 |
- 原則として「取引時」と「引き落とし時」の両方で記帳する
- 取引時には、商品やサービスの金額を「未払金」の科目で負債に計上する
- 引き落とし時には、未払金の消し込みをする
ただ、「取引時」に何も記帳しなかったとしても、税務上は問題ありません。期中であれば、代金の「引き落とし時」にまとめて経費計上すればOKです。以下の記事では、その簡易的な方法を紹介しています。
③ 即時払い式の記帳例
代表例 |
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これらの決済方法では、支払い時に以下のように記帳するだけでOKです。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月10日 | 消耗品費 1,000 | 普通預金 1,000 | コピー用紙 |
即時払い式の決済方法では、支払いと同時に、利用額が口座から引き落とされます。ですから、面倒な記帳は必要ありません。現金決済と同じ要領で帳簿づけしてOKです。
まとめ
キャッシュレス決済(電子マネー・QR決済アプリ・クレジットカードなど)は、以下の3パターンに分類できます。本記事では、それぞれの原則的な記帳方法を紹介してきました。
記帳のタイミング | 主な例 | |
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チャージ式 | チャージ時 & 支払い時 (片方だけの簡易的な方法もある) |
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後払い式 | 取引時 & 引き落とし時 (期中なら引き落とし時だけでもOK) |
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即時払い式 | 支払い時のみ |
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チャージ式・後払い式の帳簿づけについて、2回記帳するのが面倒な方は、下記の記事で簡易的な記帳方法をご参照ください。