クレジットカード払い(後払い式決済)の記帳方法を、個人事業主向けに説明します。ポストペイ型の電子マネー(iD、QUICPayなど)や、口座振替による支払いも本記事の方法で帳簿づけできます。
チャージ式決済の記帳方法はコチラポイント払いの記帳方法はコチラ
INDEX
目次
カード払いの仕訳方法
クレジットカードや口座振替で支払いをした場合、その記帳方法は以下の2つに大別できます。
原則的な方法 | 簡易的な方法 |
---|---|
「取引時」と「引き落とし時」の 両方で記帳をする |
「引き落とし時」だけで記帳をする |
期中の取引は「簡易的な方法」で記帳し、期末の取引だけ「原則的な方法」で記帳するのがオススメです(期中現金主義)。年をまたぐ取引まで「簡易的な方法」で記帳すると、正しく税額を計算できません。
原則的な仕訳方法
クレジットカードでの支払いを例に、記帳方法を説明します。まず「取引時」に、代金を経費計上します。この時、実際にお金が動いたわけではないので、貸方は「未払金」という負債の勘定科目で記帳します。
取引時の記帳
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月10日 | 広告宣伝費 20,000 | 未払金 20,000 | チラシ代 |
・ ・ ・ |
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20XX年5月14日 | 消耗品費 500 | 未払金 500 | ノート |
・ ・ ・ |
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20XX年5月18日 | 雑費 3,000 | 未払金 3,000 | ごみ処理代 |
・ ・ ・ |
後日、代金が実際に引き落とされたタイミングで、引き落とされた額を「普通預金」から差し引きます。これに伴って「未払金」という負債が解消される、というわけです。
引き落とし時の記帳
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年6月15日 | 未払金 23,500 | 普通預金 23,500 | 〇〇カード 4/21~5/20分 |
引き落とされた金額は、上記のようにまとめて記帳してOKです。それぞれの支払いごとに帳簿づけをする必要はありません。
簡易的な仕訳方法
この方法では、代金の「引き落とし時」だけ下記のように記帳すればOKです。本来は「取引時」に経費計上すべき金額を、まとめて「引き落とし時」に計上するわけです。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年6月15日 | 広告宣伝費 20,000 | 普通預金 23,500 | チラシ代 |
消耗品費 500 | ノート | ||
雑費 3,000 | ごみ処理代 |
経費計上のタイミングがズレますが、期中なら問題ありません。5月に支払ったものを6月や7月に計上しても、同じ年の経費として計上されることに変わりないからです。
ただし、引き落としが年をまたぐ取引までこの方法で記帳すると、年内に発生した経費が「翌年分の経費」にカウントされてしまいます。それでは税額を正しく計算できないので、年末の11月頃からは「原則的な方法」で記帳しておきましょう。
【補足】取引時だけの記帳
簡易な記帳を行う場合、「引き落とし時」ではなく「取引時」にだけ帳簿づけをしても構いません。この場合は、以下のように記帳します。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
20XX年5月10日 | 広告宣伝費 20,000 | 普通預金 20,000 | チラシ代 |
・ ・ ・ |
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20XX年5月14日 | 消耗品費 500 | 普通預金 500 | ノート |
・ ・ ・ |
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20XX年5月18日 | 雑費 3,000 | 普通預金 3,000 | ごみ処理代 |
・ ・ ・ |
こちらも、購入と引き落としが年をまたぐ年末の取引については「原則的な方法」で記帳しておきましょう。
まとめ
クレジットカード払いの仕訳方法について、本記事では下記の2つを紹介しました。期中は簡易的な方法で、期末のみ原則的な方法で記帳するのがオススメです。
原則的な方法 | 簡易的な方法 | |
---|---|---|
取引時 | 支払額を経費計上する & 「未払金」を計上する |
記帳しない |
引き落とし時 | 「未払金」を消し込む & 「普通預金」を減らす |
引き落とし額を経費計上する & 「普通預金」を減らす |
電子マネー・決済アプリと組み合わせた時の記帳
本記事では、クレジットカードで直接取引するケースを説明してきました。ただ、下記のような決済方法も、広い意味では同じ「後払い式決済」に該当します。
- 「iD」や「QUICPay」を介したクレジットカード払い
- 「PayPay」や「楽天ペイ」を介したクレジットカード払い
- 「d払い」や「au PAY」の電話料金合算払い
これらの決済方法も、支払いの仕組みはクレカや口座振替と変わりません。上述の説明と同様に記帳すればOKです。
ちなみに「PayPayや楽天ペイを介したクレジットカード払い」は、チャージ残高を使わず、紐付けたクレカから支払う方法を指しています。「クレカでチャージした電子マネーによる支払い」とは記帳方法が異なるので注意してください。