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チャージ式決済の仕訳 – Suica・PASMO・PayPayなど

更新日: 2021/08/05
チャージ式決済の仕訳 – Suica・PASMO・PayPayなど

個人事業主向けに、電子マネーやスマホ決済アプリの「チャージ式決済」による支払いの仕訳方法をまとめました。本記事で「チャージ式決済」とは、Suica・PASMO・PayPay・楽天ペイなどのチャージ残高から支払う方法を指しています。
クレジットカード払いの仕訳方法はコチラ

INDEX

目次

    記帳方法は大きく3通り

    チャージ式決済で事業に関わる支払いをした場合、記帳方法は下記の3通りに大別できます。

    方法① 「チャージ時」と「支払い時」の両方で記帳をする方法
    手間は増えるが、丁寧で無難な記帳方法
    方法② 「チャージ時」にだけ記帳をする方法
    チャージした金額の使いみちが定まっているならアリ
    方法③ 「支払い時」にだけ記帳をする方法
    手軽な方法だが、簿記の知識が前提

    原則に則った、教科書的な方法は①です。この方法が最も理解しやすいので、簿記に慣れていない方は、①の方法で帳簿づけするのが無難です。ある程度簿記の知識がある人には、手軽な③がおすすめです。

    どの方法でも、支払い時にもらう領収書などは保管しておきましょう。これについては、現金決済やカード決済と同様です。

    ここからは、上記の記帳方法について、事業用の現金でチャージをする場合を例に説明します。クレカや口座振替でチャージをする際は、仕訳例にある「現金」の科目を「普通預金」や「未払金」に読み替えてください。

    方法① チャージ時・支払い時の両方で記帳する

    SuicaもPASMOもPayPayも、この方法で記帳しておけば間違いはありません。他の方法よりも手間は増えますが、原則に則った記帳方法です。

    記帳の流れ

    • チャージ時……チャージした金額を資産に計上する
    • 支払い時………資産を経費に振り替える記帳をする
    • 決算時…………なにも記帳しない

    たとえば、事業用の現金でSuicaに20,000円チャージしたら、まず以下のように仕訳します。この時点では「経費」に計上されることにはなりません(「前払金」というのは「資産」に含まれる勘定科目)。

    チャージをした時

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月10日 前払金 20,000 現金 20,000 Suicaチャージ
    ここでは、青色申告決算書にデフォルトで記載されている「前払金」の科目を使っています。もし新しく科目を設けるなら「預け金」「貯蔵品」「電子マネー」などの科目を使っても問題ありません。

    続いて、チャージ残高から支払いした日付で、以下のように仕訳をしていきます。これらは、資産から経費へ振り替える仕訳です。

    支払いをした時

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月10日 旅費交通費 440 前払金 440 Aさん打ち合わせ(Suica)


    20XX年5月14日 消耗品費 550 前払金 550 ボールペン
    (Suica)


    20XX年5月18日 接待交際費 1,000 前払金 1,000 B社とミーティング
    (Suica)


    もしチャージ残高を事業主のプライベートな支出に使った場合は、借方を「事業主貸」の勘定科目で記帳しておきましょう。

    その後も「チャージをした時」と「支払いをした時」で、それぞれ同様の仕訳をしていけばOKです。チャージ残高が年をまたいでも、特別な処理をする必要はありません。

    方法② チャージ時だけ記帳する

    この方法では「チャージ時」にまとめて経費計上します。「Suicaは仕事の交通費にしか使わない」など、電子マネーの用途が定まっている場合には、この方法もアリです。

    記帳の流れ

    • チャージ時……チャージしたお金を全額、経費に計上する
    • 支払い時………なにも記帳しない
    • 決算時…………チャージ残高に関する記帳が必要

    たとえば、事業用の現金でSuicaに20,000円をチャージしたら、以下のように仕訳をします。

    チャージをした時

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月10日 旅費交通費 20,000 現金 20,000 Suicaチャージ

    この方法なら、支払い時の仕訳は不要です。ただし、支払い時に記帳をしない分、事業用途で使ったことが示せるよう、領収書やメモは丁寧に残しておきましょう。
    交通費など、領収書が出ない場合はどうする?

    チャージ残高の仕訳(年末)

    上記のままでは、使わずに残った金額まで、その年の経費に計上されてしまいます。年末時点のチャージ残高までその年の経費にカウントしないよう、期末・期首で以下のように仕訳をしましょう(下記は12,000円の残高が年をまたぐ場合)。

    日付 借方 貸方 摘要
    2021年12月31日 前払金 12,000 旅費交通費 12,000 Suicaチャージ残高
    2022年1月1日 旅費交通費 12,000 前払金 12,000 Suicaチャージ残高

    年末の仕訳によって、使い切らなかった分が2021年の経費として計上されないことになります(経費から資産への振り替え)。年始の仕訳は、帳簿の上で、チャージした状態に戻す内容です。

    方法③ 支払い時だけ記帳する

    この方法では、通常の現金決済と同じように仕訳します。最も手軽な方法です。ここでは事業用の現金でチャージした場合で、仕訳例をみていきましょう。

    記帳の流れ

    • チャージ時……なにも記帳しない
    • 支払い時………事業用の支出をする際に、経費計上する
    • 決算時…………資産の仕訳をする(しなくても税額に影響なし)

    この方法では、チャージ時には記帳しません。実際に支払いをしたタイミングで、下記のように記帳していきましょう。(プライベートのお金からチャージをしている場合は、貸方を「事業主借」にすればOK。この場合は年末の仕訳も不要)

    支払いをした時

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年5月10日 旅費交通費 440 現金 440 Aさん打ち合わせ
    (Suica)


    20XX年5月14日 消耗品費 330 現金 330 ボールペン
    (Suica)


    20XX年5月18日 接待交際費 2,200 現金 2,200 B社とミーティング
    (Suica)


    この電子マネーを事業主の私用で使った場合には、借方を「事業主貸」の勘定科目にして帳簿づけしておきましょう。

    チャージ残高の仕訳(年末)

    年をまたぐチャージ残高については、期末・期首で次のように仕訳しておきましょう。こうしておけば、期末時点での「帳簿上の現金残高」を、決算書へ正確に反映できます。

    日付 借方 貸方 摘要
    20XX年12月31日 前払金 12,000 現金 12,000 Suicaチャージ残高
    2022年1月1日 現金 12,000 前払金 12,000 Suicaチャージ残高

    「前払金」も「現金」も、資産に含まれる勘定科目です。この仕訳をうっかり忘れたとしても資産の合計額は変わりませんし、税額にも影響しません。

    まとめ

    チャージ式決済の仕訳方法を、大きく3つに分けて説明してきました。先述のとおり、どの方法でも支払い時の証憑(領収書など)は残しておきましょう。電子マネーの用途は広がっていますから、チャージ時の証憑だけでは不十分です。

    各方法の帳簿づけ手順

    方法① 方法② 方法③
    チャージ時 チャージ額を
    資産計上
    チャージ額を
    経費計上
    仕訳不要
    支払い時 資産から
    経費へ振り替え
    仕訳不要 支払額を
    経費計上
    決算時 仕訳不要 使わなかった残高を
    資産へ振り替え
    資産の仕訳

    この中でも最も理解しやすいのは①で、これが原則的な記帳方法でもあります。会計初心者には、ひとまず①がおすすめです。帳簿づけに慣れてから、いつかどこかのタイミングで記帳方法を変えても構いません。

    ②は支払時に帳簿づけしない分、領収書などに丁寧なメモを残しておきましょう。チャージした金額をまるっと経費につける方法ですから、すべて事業用途で使ったことを明らかにする必要があります。

    ある程度簿記の知識がある人には、手軽な③の方法がおすすめです。まずは「事業主貸・事業主借」や「発生主義・現金主義」に関する理解を深めた上で、この方法を採用するのもよいでしょう。

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