「売掛帳」と「買掛帳」について、個人事業主向けにわかりやすく解説します。売上代金の後受けや、仕入れを後払いしている場合に用いる帳簿です。作成義務の有無や、一般的な記帳方法、保存期間などをまとめています。
INDEX
目次
売掛帳・買掛帳とは
代金を後受け、あるいは後払いで精算する取引を「掛取引(かけとりひき)」と呼びます。この掛取引について記録するのが「売掛帳」と「買掛帳」です。
売掛帳 (うりかけちょう) |
買掛帳 (かいかけちょう) |
---|---|
「売掛金」の増減を記録する | 「買掛金」の増減を記録する |
- 売掛金……いずれ受け取ることが決定している売上のこと
- 買掛金……いずれ支払うことが決定している仕入れ代金のこと
たとえば売掛金は「商品を売ったが、まだお金はもらっていない」という売り掛けのタイミングで、そのことをまず記帳します。そしてその後、実際に代金を受けとった時点で、その売掛金を回収したことを記帳します。
売掛帳と買掛帳は必ず作る?
売掛帳 | 買掛帳 | |
---|---|---|
白色申告 | 作成の義務はない 必要に応じて任意で作成する |
|
青色申告 | 基本的に作成する 売掛取引がなければ不要 |
基本的に作成する 買掛取引がなければ不要 |
※ いずれも、作成した場合は5年 or 7年保存する必要がある
白色申告では「収入」と「必要経費」を記録しておくことが重要で、売掛金・買掛金の記帳は任意です。掛取引が少なく、専用の帳簿がなくても「売掛金・買掛金を管理できそうだな」という場合、売掛帳・買掛帳を作る必要はありません。
白色申告で作成する帳簿をおさらい
一方、青色申告では基本的に売掛帳・買掛帳を作成します。ただし、売掛金や買掛金が発生しないような事業者は、作成しなくても問題ありません。
青色申告で作成する帳簿をおさらい
【記帳例】売掛帳
- 帳簿の様式に決まりはない
- 「売掛金が生じた時」と「実際に代金が入金された時」に記帳する
- 記載項目は「日付、掛売上の金額、受け取った金額、売掛金の残高」など
- 取引先ごとにページを分けて記帳するのが一般的
① 売掛金が発生したとき |
|
---|---|
② 実際に入金されたとき |
|
【記帳例】買掛帳
- 帳簿の様式に決まりはない
- 「買掛金が生じた時」と「実際に代金を支払った時」に記帳する
- 記載項目は「日付、掛仕入の金額、支払った金額、買掛金の残高」など
- 取引先ごとにページを分けて記帳するのが一般的
① 買掛金が発生したとき |
|
---|---|
② 実際に支払ったとき |
|
会計ソフトを使う場合
会計ソフトでは、取引入力画面で売掛金や買掛金を登録すれば、それが自動的に売掛帳・買掛帳に反映されます。たとえば「やよいの青色申告 オンライン」では、以下のような流れで売掛帳が作成されます。
① 取引を入力する |
---|
② 取引内容が売掛帳に反映される |
【補足】会計ソフトによっては「売掛帳」がない?
ソフトによっては「売掛帳」や「買掛帳」という帳簿メニューが存在しません。が、ソフト内の検索機能を使えば、売掛金・買掛金に関わる取引を一覧表示できるはずです。そうして一覧表示させた画面が「売掛帳」や「買掛帳」の役割を果たします。
帳簿の保存期間について
作成した売掛帳・買掛帳は、確定申告が終わった後も、一定期間保存しておく必要があります。保存期間は、白色申告と青色申告で以下のように異なります。
売掛帳・買掛帳の保存期間
- 白色申告……確定申告期限日の翌日から、5年間 or 7年間保存する
- 青色申告……確定申告期限日の翌日から、7年間保存する
白色・青色のどちらでも、ひとまず7年間保存しておけば間違いありません。クラウド会計ソフトで記帳していれば、基本的に紙に印刷する必要はありません。