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目次
家賃支援給付金の会計処理
家賃支援給付金は、所得税の課税対象です。事業の収入としてカウントすることになりますから、受け取ったら「雑収入」の勘定科目で帳簿づけしましょう。ちなみに、法人の場合も同様で「雑収入」で計上します。
所得区分 | 勘定科目 | 課税区分 (所得税) | 課税区分 (消費税) |
---|---|---|---|
事業所得 | 雑収入 | 課税 | 不課税 |
政府から給付されるものですから、消費税は「不課税」です(免税事業者であれば、消費税の課税区分は気にしなくて構いません)。
仕訳のタイミングは入金日でOK
2020年中に通知&入金されたのであれば、帳簿づけは入金日の1回だけでOKです。大抵の場合はこれに当てはまります。もし、2020年中に給付通知が来たのに、実際に入金された日が2021年となった場合は、2回に分けてそれぞれのタイミングで記帳しておきましょう(詳細は後述)。
仕訳例① 事業用口座に振り込まれた
家賃支援給付金の記帳方法は、申請時に指定した振込先が事業用口座か個人用口座かによって異なります。まずは、事業用口座の場合の仕訳例を紹介します。
たとえば、個人事業主が家賃支援給付金「300万円(50万円 × 6ヶ月分)」を事業用口座で受け取った場合、以下のように仕訳を行います。
家賃支援給付金を事業用口座で受け取った場合
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2020年12月7日 | 普通預金 3,000,000 | 雑収入 3,000,000 | 家賃支援給付金 入金 |
家賃支援給付金は6ヶ月分がまとめて振り込まれます。ですから、仕訳の際はまとめて全額を「雑収入」で記帳します。
仕訳例② 個人用口座に振り込まれた
つぎに、振込先に個人用口座を指定した場合の仕訳例を紹介します。たとえば、個人事業主が家賃支援給付金「300万円」を個人用口座で受け取った場合、以下のように仕訳を行います。
家賃支援給付金を個人用口座で受け取った場合
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2020年12月7日 | 事業主貸 3,000,000 | 雑収入 3,000,000 | 家賃支援給付金 入金 |
「事業主貸」は、個人事業に特有の勘定科目です。事業用の資金を、生活費などプライベートな支出にあてた際などに使用します。
もし、個人用口座に振り込まれた給付金を事業用口座に移す場合は、以下のように仕訳しましょう。たとえば、個人用口座に振り込まれた「300万円」のうちの「200万円」を事業用口座に送金する場合、次のように仕訳を行います。
個人用口座から事業用口座に送金する場合
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2020年12月7日 | 普通預金 2,000,000 | 事業主借 2,000,000 | 家賃支援給付金 の送金 |
あるいは、個人事業用口座に家賃支援給付金が振り込まれた後、そこから事業用の現金として「50万円」を引き出す場合は、以下のように仕訳を行いましょう。
個人用口座から事業用として現金を引き出す場合
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2020年12月28日 | 現金 500,000 | 事業主借 500,000 | 事業用資金として |
(参考)通知日と入金日が年をまたぐ場合
2020年中に給付通知書を受け取った場合は、実際の入金が2021年であったとしても、2020年分の収入としてカウントします(青色申告で現金主義の特例を受ける場合を除く)。年末に家賃支援給付金の通知書を受け取り、翌年1月に事業用口座に入金された場合には、以下のように仕訳しましょう。まず、通知日には次のように仕訳を行います。
通知日の記帳例
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2020年12月29日 | 未収入金 3,000,000 | 雑収入 3,000,000 | 家賃支援給付金 通知書の受け取り |
この時点では、まだ給付金は振り込まれていないので「未収入金」で仕訳を行います。そして、給付金を受け取ったら、次のように通知日の「未収入金」を消し込んでおきましょう。
入金日の記帳例
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
2021年1月4日 | 普通預金 3,000,000 | 未収入金 3,000,000 | 家賃支援給付金 入金 |
決算書の記入方法
家賃支援給付金は、事業所得の「雑収入」として申告します。雑収入の記入欄は、白色申告では収支内訳書の1ページ目に、青色申告では青色申告決算書の2ページ目に用意されています。ここに、1年間の雑収入の合計金額を記入しましょう。
白色申告の場合(収支内訳書) | 青色申告の場合(青色申告決算書) |
---|---|
雑収入は、主に売上以外の収入が該当します。事業に対する給付金・助成金・補助金は、雑収入で計上しましょう。他に、本業以外のちょっとした収入も雑収入として計上します。
引用
空箱・作業くずなどの売却代金、仕入割引、リベート、取引先や使用人に対して事業上貸し付けた貸付金の利子、使用人の寄宿舎の使用料、買掛金の免除益など事業に伴って生ずる収入をいいます。
家賃支援給付金に限らず、新型コロナに関連する助成金・給付金の多くは「雑収入」で仕訳を行います。ただし、2020年にすべての住民が支給の対象になった特別定額給付金(1人10万円)は、雑収入ではなく「事業主借」で仕訳します。
>> 特別定額給付金の仕訳方法
まとめ – 家賃以外に使ってもいいの?
家賃支援給付金は、所得税の課税対象です。受け取ったら必ず帳簿づけしておきましょう。記帳するタイミングは、基本的には口座に入金があった日でOKです。
家賃支援給付金を会計処理する際のポイント
所得区分 | 勘定科目 | 課税区分 (所得税) | 課税区分 (消費税) |
---|---|---|---|
事業所得 | 雑収入 | 課税 | 不課税 |
家賃支援給付金は、事業者の家賃負担を軽減する目的で支給されます。家賃支援給付金が振り込まれる際は、申請者と物件のオーナーにそれぞれ通知が届きます。
引用
Q. 給付金が振込まれたら連絡がきますか
A. 申請内容の確認を完了し、家賃支援給付金の振込を決定した後に、登録いただいた住所宛てに、家賃支援給付金の振込のお知らせを送付するとともに、振込をおこないます。
さらに、登録いただいた賃貸人(かしぬし)または管理業者の方宛てに、申請者に対して給付金を振り込む旨、お知らせを送付します。よくある質問 – 家賃支援給付金申請サイト(閉鎖)
振り込まれた給付金について、使い道が調査されるわけではなく、やむを得ず事業の運転資金に充てたとしてもペナルティはないようです。とはいえ「事業の運転資金に使ってしまって肝心の家賃が払えなくなった」というようなことがないよう、計画的に利用しましょう。