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青色申告特別控除の改正 – いつまでに何をすればよい?

更新日: 2021/12/13 投稿日: 2020/10/09
青色申告特別控除の改正 – いつまでに何をすればよい?

2020年分の確定申告から、65万円の青色申告特別控除に新たな要件が追加されました。本記事では、すでに「従来の要件はバッチリだよ!」という個人事業主に向けて、これからやるべきことを説明します。

INDEX

目次

    65万円控除の新要件

    2020年分の確定申告から、65万円の青色申告特別控除を受けるには「電子申告」か「電子帳簿保存」の実施が必須になりました。従来の要件を満たすだけでは、55万円の控除しか受けられません。

    2020年分からの青色申告特別控除の要件

    青色申告特別控除の改正について詳しく

    その年分の確定申告において「電子帳簿保存」で65万円控除を受けるには、その年の9月30日までに申請を行う必要があります(新規開業の場合を除く)。

    そもそも「電子申告」と「電子帳簿保存」を比べると、個人事業主にとっては電子申告のほうが断然ラク。なので、電子帳簿保存の申請期限が過ぎたからといって特に問題はなく、いずれにしても電子申告を選択するのがベター。

    >> どっちがいい?電子申告と電子帳簿保存

    従来の要件を満たせるなら、あとは「電子申告」の準備を済ませればOKというわけです。以降では、必要な準備について説明します。

    【確認】電子申告の方法

    電子申告の方法は、下記の2パターンに大別できます。ちなみに「確定申告書等作成コーナー」とは、国税庁が運営するウェブサイトの名称です。

    1. ウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」でデータを手入力して送信する
    2. 会計ソフトから出力したデータを「e-Taxソフト」等に取り込んで送信する

    どちらのパターンでも、基本的にはマイナンバーカードの読み取りによる個人認証が必要です(マイナンバーカード方式)。しかし、現状「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法なら、マイナンバーカードなしでも電子申告ができます(ID・パスワード方式)。

    e-Taxで電子申告する方法 - 確定申告書等作成コーナーと会計ソフト

    電子申告の方法について詳しく

    電子申告を行うまでに必要な準備は、この方式の違いによって大きく異なります。

    マイナンバーカード方式 ID・パスワード方式
    認証方法 カードに内蔵された「電子証明書」を読み取る 事前に発行したIDとパスワードを入力する
    必要な準備 ・マイナンバーカードの取得
    ・ICカードリーダーの用意
    ・税務署での簡単な事前手続き
    備考 カードの申請〜発行に
    基本1~2ヶ月かかる
    (3ヶ月程度かかる自治体も)
    税務署での手続きは
    その日に完了する
    (早ければ10分程で済む)

    方式の違いについて詳しく

    電子証明書が内蔵されたマイナンバーカードを持っている人は、「マイナンバーカード方式」で電子申告ができます。電子証明書は、マイナンバーカードを作るときに拒否をしない限り、デフォルトで内蔵されることになっています。

    カードを持っていない人は、いそいで発行の申請をするか、「ID・パスワード方式」の準備をしましょう。カードは通常1~2ヶ月で発行できますが、3ヶ月程かかる場合もあるので、確定申告期限に遅れないよう注意が必要です。

    必要な準備 – マイナンバーカードを持っている場合

    すでにマイナンバーカードを持っている人は、カードを読み取るための「ICカードリーダー」を用意しましょう。ICカードリーダーは、Amazonや家電量販店で2,000円前後で購入できます。

    ICカードリーダーの例【マイナンバーカード方式】

    ただ、ひとくちに「ICカードリーダー」と言っても、マイナンバーカードの読み取りに対応していない機種もあるので注意しましょう。
    >> ICカードリーダライタのご用意 – 公的個人認証サービス ポータルサイト

    WindowsパソコンとAndroidスマホの組み合わせなら、スマホをカードリーダーの代わりとして使えるケースが増えている。(現状、MacやiPhoneは未対応)
    >> スマホをICカードリーダーの代わりに使う方法

    マイナンバーカードとICカードリーダーをそろえたら、電子申告の準備はあらかた完了です。あとは「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト(WEB版)」にアクセスして、指示のとおりにセットアップを済ませれば、電子申告ができます。

    あえて「ID・パスワード方式」を選択してもOK

    マイナンバーカードを持っていても、税務署で手続きを行えば「ID・パスワード方式」で電子申告ができるようになります。「カードリーダーを買うお金がもったいない」「セットアップが面倒」などという人は、以降の説明を参考にしてください。

    必要な準備 – マイナンバーカードを持っていない場合

    マイナンバーカードを持っていない人は、まず「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」のどちらで電子申告をするか決めましょう。それ次第で、これからやるべきことが大きく変わってきます。

    • マイナンバーカード方式を選ぶ場合……早めにカードの発行申請を!
    • ID・パスワード方式を選ぶ場合 …………直前に準備を始めても大丈夫

    ※ ID・パスワード方式を選べるのは「確定申告書等作成コーナー」を使う場合のみ

    マイナンバーカード方式を選ぶ場合

    マイナンバーカード方式を選ぶなら、確定申告期限までに受け取れるよう、時間に余裕をもってカードの発行申請をしておきましょう。通常は1~2ヶ月で発行されますが、近頃はもっと時間がかかるケースも少なくありません。(詳しくは後述)

    カードの発行が間に合ったら、前述の「必要な準備 – マイナンバーカードを持っている場合」で説明したように、ICカードリーダーなどの準備を進めます。もし間に合わなかったら、ID・パスワード方式を選択するしかありません。

    ID・パスワード方式を選ぶ場合

    ID・パスワード方式を選ぶなら、税務署で簡単な手続きをするだけでOKです。手続きが済むと、すぐにIDとパスワードが発行され、ウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」から電子申告ができるようになります。

    なお、この手続きは、税務署の開庁時間内なら基本的にいつでもできます。極端な話、申告期限ギリギリになってから手続きに行っても間に合いますが、混雑状況を考えると、確定申告期間が始まる前に済ませておくのがよいでしょう。
    >> 最短で電子申告を行う方法 – ID・パスワード方式

    注意!マイナンバーカードの発行にかかる日数

    マイナンバーカードは、公式サイトなどから申請をすると、通常であれば1~2ヶ月で発行されます。発行されたら通知ハガキが届くので、指定された交付場所まで取りに行きましょう。

    発行申請から受け取りの流れ【マイナンバーカード】

    最近は「マイナポイント事業」やコロナ禍の影響で、発行に2ヶ月以上かかるケースも多いようです。実際、下記のようにアナウンスしている自治体もあります。

    引用

    マイナンバーカードは令和2年5月以降、マイナンバーカードの交付申請数が急増しております。申請から交付通知書(受け取り案内通知)発送まで2か月から3か月かかっています。

    マイナンバーカード(個人番号カード)の受け取りについて – 東京都中野区

    ちなみに、ネット上では「4ヶ月以上かかった!」などという声も散見されます。電子申告を見据えてカードを発行するなら、確定申告期限に間に合うよう、余裕をもって申請を行いましょう。

    まとめ

    税制改正により、65万円の青色申告特別控除を受けるには「電子申告」か「電子帳簿保存」の実施が必須となりました。従来の要件をクリアするだけだと、55万円の控除しか受けられません。

    65万円控除の主な要件(2020年分の確定申告から)

    • 事業所得か不動産所得を得ている
    • 複式簿記で記帳をしている
    • 「電子申告」か「電子帳簿保存」を実施している←NEW!
    • 確定申告の期限内に申告する

    「従来の要件はもうバッチリ!」という人は、あと電子申告の準備をするだけで、2020年分以降の確定申告でも65万円控除を狙えるわけです。

    電子申告に必要な準備

    マイナンバーカード方式の場合 ID・パスワード方式の場合
    ・マイナンバーカードの取得
    ・ICカードリーダーの用意
    ・税務署での手続き

    マイナンバーカードの発行には時間がかかるので(通常1~2ヶ月ほど)、なるべく早めに申請を済ませておきましょう。確定申告期限までにカードを受け取れない場合は、ID・パスワード方式を選択するしかありません。

    ID・パスワード方式なら、税務署での手続きを済ませて「確定申告書等作成コーナー」にアクセスするだけでOKです。この方法なら、準備~申告までを即日で済ませられます。ちなみに、ID・パスワード方式はマイナンバーカードを持っていても選択できます。

    準備が間に合わないときは?

    「どうしても確定申告期限までに電子申告の準備ができない!」という場合は、電子申告をあきらめて、従来どおり紙で提出しましょう。そもそも確定期限日までに申告しないと、55万円控除すら受けられず、控除額は一気に10万円までダウンしてしまいます。

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