「扶養親族」とは?その要件や扶養控除について

更新日: 2020/09/03
「扶養親族」とは?その要件や扶養控除について

所得税に関わる「扶養親族」の範囲は、所得税法で定められています。社会保険における「被扶養者」などとは異なる部分があるので注意しましょう。扶養親族がいる人は、一定の要件を満たせば「扶養控除」などの所得控除を受けられます。

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目次

    扶養親族とは?

    その年の12月31日時点で、以下の4つ全てに当てはまる人は、あなたの「扶養親族」と認められます。健康保険の「被扶養者」であっても、所得税法の「扶養親族」に該当するとは限らないので注意が必要です。

    扶養親族の要件

    1. 配偶者以外の親族、または「里子」や「養護を委託された老人」
    2. あなたと生計を一にしていること
    3. 給与収入が年間103万円以下(合計所得金額が年間48万円以下)であること
    4. 事業専従者としてあなたの営む事業に従事していないこと

    なお、扶養控除を受けられるのは“16歳以上の扶養親族”がいる場合です。16歳未満の子供でも「扶養親族」には該当しますが、扶養控除の対象には含まれません。

    ちなみに、国税庁の説明において「親族」と「扶養親族」は、異なる範囲を示す言葉として、区別して使われています。混同しないように気をつけましょう。(詳細は後述)

    要件① – 配偶者以外の親族や里子など

    所得税法が定める「扶養親族」には、自分の配偶者(妻や夫)が含まれません。基本的には、配偶者を除いた「6親等内の血族、もしくは3親等内の姻族」が扶養親族の範囲です。親等は以下のように数えます。

    家系図の親等の数え方

    また、上記に加えて「都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)」や「市町村長から養護を委託された老人」も扶養親族の範囲に含まれます。このいずれかに該当する場合は、法的な親族関係でなくても良いということです。

    要件② – あなたと生計を一にしていること

    「生計を一(いつ)にしている」とは、同じ財源で生活している状態を指します。ちょっと分かりづらい表現ですが、同居していれば基本的に「生計を一にしている」と認められます。ただし、明らかにお互いが独立した生活を営んでいる場合は該当しません。

    とはいえ、必ずしも対象の親族と同居している必要はありません。仕事や学校などの都合で別居していても、以下のようなケースは「生計を一にしている」と認められます。

    • 常に十分な額の生活費や学費などを送金している場合
    • 普段は別居していても、休暇などの際には共に暮らしている場合

    また、上記のような状況であれば、国外に住む親族を「扶養親族」として扱うこともできます。

    要件③ – 給与収入が年間103万円以下であること

    収入に関して、正確には「年間の合計所得金額が48万円以下であること」という要件が設けられています。ただし、収入が給与収入だけなら103万円まで稼いでOKです(給与所得にのみ適用される「給与所得控除」という所得控除があるため)。

    収入が給与収入だけなら、「合計所得金額」は毎年12月ごろに勤務先から受け取る「源泉徴収票」で確認できます。「給与所得控除後の金額」が48万円以下なら、この要件はクリアできています。

    源泉徴収票 給与所得控除後の金額

    給与以外の収入がある場合

    対象の親族が事業所得や配当所得などを得ている場合、それらの所得を合計した額が「合計所得金額」になります。つまり、基本的には確定申告書A・Bに記入する以下の部分の金額が「合計所得金額」になるということです。

    確定申告書Aを使用する場合 確定申告書Bを使用する場合
    令和元年分以降用 確定申告書A 所得金額合計 令和元年分以降用 確定申告書B 所得金額合計

    ただし、対象の親族に退職所得などがある場合、この限りではありません。詳しくは、国税庁の説明を参考にしてください。

    要件④ – 事業専従者として事業に従事していないこと

    対象の親族が「白色事業専従者」として働いている場合や、「青色事業専従者」として給与を受け取っている場合、扶養親族とは認められません。確定申告で「専従者控除」や「専従者給与」を申告したら、その親族は「扶養親族」から除外されるということです。

    ただし、過去にその親族を「青色事業専従者」として届け出ている場合でも、給与の支払いがない年は「扶養親族」として認められます。

    • 白色事業者…その親族について、「専従者控除」を申告したら扶養親族から除外
    • 青色事業者…その親族について、「専従者給与」を計上したら扶養親族から除外

    「親族」と「扶養親族」の定義 – 関係する所得控除の例

    民法が定める「親族」は、“配偶者・6親等内の血族・3親等内の姻族”を指します。そこから配偶者や専従者を除いて、里子などを含めた範囲が「扶養親族」に当たるということです。「親族」と「扶養親族」の関係は以下のように表せます。

    親族・扶養親族・里子の範囲

    「親族」や「扶養親族」といった表現は、以下のような所得控除の対象を示す際などに使われています。2つを混同せず、自分が利用できる制度を正しく見極めましょう。

    「親族」が関わる所得控除の例

    適用されるケース
    雑損控除 災害や盗難によって、納税者や生計を一にする「親族」の資産が損害を被った場合など
    医療費控除 納税者自身や生計を一にする「親族」のために、一定額以上の医療費を支払った場合など
    社会保険料控除 納税者自身や生計を一にする「親族」の社会保険料を支払った場合など

    「扶養親族」が関わる所得控除の例

    適用されるケース
    寡婦・寡夫控除 配偶者と離婚した後に、子供などの「扶養親族」と暮らす場合など
    障害者控除 「扶養親族」の中に障害者がいる場合など
    扶養控除 16歳以上の「扶養親族」がいる場合

    >> 個人事業主の所得控除一覧

    扶養控除の要件 – 16歳以上の扶養親族がいる場合

    「16歳以上の扶養親族」がいる場合は、その人数分だけ「扶養控除」を受けられます。控除額は、対象の扶養親族1人につき38万円が基本です(扶養親族の年齢によって異なる)。

    「扶養親族 = 扶養控除の対象」ではないので注意しましょう。「16歳以上の扶養親族 = 扶養控除の対象」です。たとえば、16歳未満の子供は「扶養親族」には該当しますが、扶養控除の対象にはなりません。

    扶養控除の対象になる扶養親族

    まとめ – 扶養親族の要件と注意点

    その年の12月31日時点で、以下の要件をすべて満たす人は、あなたの「扶養親族」として認められます。

    扶養親族の要件

    1. 配偶者以外の親族、または「里子」や「養護を委託された老人」
    2. あなたと生計を一にしていること
    3. 給与収入が年間103万円以下(合計所得金額が年間48万円以下)であること
    4. 事業専従者としてあなたの営む事業に従事していないこと

    ただし、上記の要件だけでは分かりづらい部分もあるため、以下のような点にも注意が必要です。

    扶養親族の要件に関する注意点

    • 健康保険の「被扶養者」でも、「扶養親族」に当てはまるとは限らない
    • 配偶者は扶養親族に含まれない
    • 十分な額の仕送りなどがあれば、別居でも「生計を一にしている」と認められる
    • 年間の合計所得金額は「源泉徴収票」を見て確認する(給与収入のみの場合)
    • 「専従者控除」を適用したら、その親族は扶養親族から除外される(白色申告)
    • 「専従者給与」を計上したら、その親族は扶養親族から除外される(青色申告)
    • 16歳未満の子供も「扶養親族」には該当するが、「扶養控除」の対象にはならない

    扶養親族のいる人は、要件を満たせば「扶養控除」「寡婦・寡夫控除」「障害者控除」などの所得控除が受けられます。