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寡婦控除・寡夫控除の改正【2020年分から適用】

更新日: 2021/09/16 投稿日: 2020/07/27 税理士監修
寡婦控除・寡夫控除の改正【2020年分から適用】

令和2年度の税制改正で、寡婦控除・寡夫控除が見直され、「ひとり親控除」が新設されました。これらは2020年分の確定申告から適用されています。本記事では、これまで寡婦控除・寡夫控除を受けていた個人事業主に向けて、改正で変わるポイントを説明します。

INDEX

目次

    改正のポイント

    2020年分の確定申告(2021年2月16日~4月15日に行う確定申告)から、子供を養う単身者を対象とした「ひとり親控除」という所得控除が新設されました。それに伴い、寡婦控除は対象範囲が縮小され、寡夫控除は廃止されました。

    これまで寡婦控除・寡夫控除を受けていたシングルマザー・ファザーは、今後「ひとり親控除」の対象となります。

    ひとり親控除と寡婦(寡夫)控除に関わる改正

    【女性】これまで寡婦控除を受けていた人

    これまで27万円の寡婦控除を受けていた女性(一般の寡婦)は、今後も基本的に「寡婦控除」の対象になります。控除額も変わりません。ただし、寡婦控除の要件が変更される影響で、控除を受けられなくなってしまう人も若干います。

    一方、35万円の寡婦控除を受けていた女性(特別の寡婦)は、状況に変化が無ければ今後は「ひとり親控除」の対象になります。といっても、控除額は35万円のままです。なお、ひとり親控除と寡婦控除を同時に受けることはできません。

    【男性】これまで寡夫控除を受けていた人

    これまで寡夫控除を受けていた男性は、基本的に「ひとり親控除」の対象となります。寡夫控除の控除額が27万円だったのに対し、ひとり親控除は35万円なので、控除額がアップすることになります。

    【フローチャート】改正後に受けられる控除は?

    以下のフローチャートを参考に、自分が受けられる控除を今いちど確認しておきましょう。

    なお、実際に控除を受けられるかどうかは、その年の12月31日時点の状況をもとに判断します。2021年分の確定申告では、“2021年12月31日時点でどうだったか?”ということがポイントになるわけです。

    ひとり親控除と寡婦控除のフローチャート

    合計所得金額」とは、様々な所得を合わせた金額のことを指します。ちょっとややこしい言い回しですが、事業所得や給与所得しか得ていなければ、単純にそれらの合計金額と考えてOKです(給与所得とは、給与収入から給与所得控除を引いたもの)。

    合計所得金額とは、事業所得・不動産所得・給与所得・退職所得・山林所得に、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得・雑所得を加え、さらに長期譲渡所得と一時所得の合計額の2分の1を合わせた金額(全て損益通算後の金額)。ただし、損失等の繰越控除を受ける場合は、その適用前の金額のことを言う。

    ちなみに、住民票の続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」との記載があると、独身とは認められません。いわゆる“事実婚”の状態でないか、住民票をもとにチェックされるということです。

    ① ひとり親控除

    「ひとり親控除」は、シングルマザーやシングルファザーを幅広く対象とした所得控除です。婚姻歴があっても無くても、子供を養う単身者は一律35万円の控除を受けられます(住民税の控除額は30万円)。ただし、所得が500万円を超える場合は対象外です。

    要件をすべて満たせば、性別を問わずひとり親控除の適用を受けられます。主な要件は以下のとおりです。

    ひとり親控除の主な要件

    • 合計所得金額が500万円以下である
    • 現在、結婚をしていない
    • 生計を一にする子がいる

    ここで言う「生計を一にする子」とは、簡単に言うと“養っている子供”のことです。離れて暮らしていても、生活費を常に送金している場合などは“養っている”と認められます。

    ただし、所得(総所得金額等)が48万円を超える子供については、“養っている”と認められません。子供がアルバイトなどでそれなりに稼いでいる場合は注意しましょう。働いていない子供が一人でもいるなら、このあたりは全く気にしなくてOKです。

    ② 寡婦控除(改正版)

    2020年分の確定申告から、寡婦控除は“養う子供がいない寡婦”を対象とした制度になりました(寡婦とは夫と離婚・死別した独身女性のこと)。ひとり親控除との併用はできません。

    従来の寡婦控除は控除額が2段階に分かれていましたが、改正後は一律27万円です(住民税の控除額は26万円)。

    改正後も寡婦控除の適用を受けるには、これまでと同様に複数の要件をすべて満たす必要があります。主な要件は以下のとおりです。

    寡婦控除の主な要件(2020年分の確定申告から)

    • 合計所得金額が500万円以下である
    • 夫と離婚して、再婚していない
    • 扶養親族がいる

    従来とは少しだけ要件が変わっている点に注意しましょう。これまで「一般の寡婦のうち、扶養親族などがいる人」には所得要件が課されていませんでしたが、改正後は所得が500万円を超えると、どんな場合でも寡婦控除を受けられません。

    なお、夫と死別している場合、扶養親族の有無は要件から除外されます。ひとまず、合計所得金額が500万円以下なら寡婦控除を受けられるということです。

    まとめ – 改正でこう変わる!

    2020年分の確定申告から「ひとり親控除」という所得控除が新設され、寡婦控除は対象範囲を縮小、寡夫控除は廃止されました。この改正に伴って、これまで寡婦控除・寡夫控除を受けていたシングルマザー・ファザーは「ひとり親控除」の対象となっています。

    ひとり親控除と寡婦(寡夫)控除に関わる改正

    これまで「一般の寡婦」として寡婦控除を受けていた女性の多くは、引き続き寡婦控除を受けることになります。ただ、要件の変更により、所得が500万円を超えると、どんな場合でもこれらの控除を受けられなくなったので注意しましょう。

    なお、男性の場合、もともと寡夫控除に同様の所得要件があったため、今回の改正で不利になる人はいません。むしろ、寡夫控除からひとり親控除に切り替わることで、控除額が27万円から35万円にアップします。

    まとめると、今回の改正によって、控除の対象範囲が以下のように変化するということです。

    ひとり親控除と寡婦(寡夫)控除対象者のベン図

    ちなみに、従来の寡婦控除・寡夫控除では、“事実婚”の状態にある人への適用がグレーゾーンでした。しかし、今回の改正では基準が示されており、住民票に「妻(未届)」「夫(未届)」と記載がある人は、ひとり親控除も寡婦控除も受けられません。

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    監修

    税理士法人レガート
    税理士
    土田 拓己
    税理士法人レガートは平成10年に銀座で創業。社員16人(内税理士6人)の事務所です。お客様にご満足いただけるサービスの提供を最優先に、よりよい心のつながりを目指し、税務会計から各種コンサルティングまで、お客さまの立場を考えたコンサルティングを続けてまいります。初回のご面談は無料です。
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