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所得税法上の「親族」とは?その範囲や「扶養親族」との違い

更新日: 2024/07/11
所得税法上の「親族」とは?その範囲や「扶養親族」との違い

所得税における「親族」は、民法上の親族と同義です。つまり「6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族」です。似た用語に「扶養親族」がありますが、「親族」のほうが広い概念ですから、混同しないようにしましょう。

INDEX

目次

    「親族」とは

    親族と扶養親族の範囲

    所得税法上の「親族」は、民法上の「親族」と同一定義であると考えましょう。本記事の後半で、その根拠を順番に説明しています。

    なお、血の繋がりがある親戚を「血族」、結婚によって親戚になった人を「姻族」といいます。具体的には、次の図をごらんください。

    民法上の親族

    民法上の親族の範囲(6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族)

    引用

    次に掲げる者は、親族とする。
    一 六親等内の血族
    二 配偶者
    三 三親等内の姻族

    民法725条(親族の範囲)

    上記は、民法における「親族」の範囲です。所得税法には、直接このように書かれているわけではありませんし、民法の規定を借用すると明記されているわけでもありません。

    ですから「民法上の定義を、所得税法へ勝手に持ち込んで大丈夫なの?」と疑問に思う人もいるでしょう。本記事では、そんな人も納得できるように、国税庁の説明や裁判例を簡単に紹介しておきます。

    国税庁の説明

    引用

    (前略)……この場合の「親族」とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいいます(民法第725条)。

    医療費控除の対象となる親族について – 国税庁

    このように国税庁も、医療費控除における「親族」について、民法上の定義を借用して説明しています。

    ただ、上記の質疑応答事例だけでは根拠として弱いと考える人も、ひょっとしたらいるかもしれません。そこで、裁判例にも着目してみましょう。

    過去の裁判例

    以下は、最高裁判所の判決文からの引用です。

    引用

    (前略)……所得税法……(中略)……二条一項三四号に規定する親族は、民法上の親族をいうものと解すべき……(後略)」

    最一小判 平成3・10・17(平成2(行ツ)12)

    所得税法の第2条は、各用語を定義するための条文です(2条1項34号は、下記引用の通り「扶養親族」の定義)。ここでいう所得税法上の親族について、最高裁判所が「民法上の親族とイコールだと考えるべき」と明言したわけです。

    引用

    扶養親族 居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)……(中略)……でその居住者と生計を一にするもの……(中略)……のうち、合計所得金額が四十八万円以下である者をいう。

    所得税法 2条1項34号(扶養親族)

    今後、これを覆すような判例が出ない限りは、「所得税法上の親族=民法上の親族」と考えておいて問題ないでしょう。

    まとめ

    所得税法において「親族」は、定義されていません。しかし国税庁や最高裁は、民法上の親族と同義であると解釈しています。つまり「6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族」です。

    一方「扶養親族」については、所得税法において明確に定義されています。両者の範囲は、以下のように異なります。

    親族 扶養親族
    配偶者 含まれる 含まれない
    所得要件 48万円以下
    生計を一にする」の要件 あり
    専従者 含まれる 含まれない
    里子など * 含まれない 含むこともある

    *「里親に委託された児童」や「養護受託者に委託された老人」のこと

    このように、基本的には「親族」のほうが「扶養親族」よりも広い概念です。どちらも、各種控除の要件などで頻出する用語ですから、混同しないよう気をつけましょう。

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