青色申告特別控除の変更点(2021年に行う確定申告から)

更新日: 2020/10/16 投稿日: 2020/01/21
青色申告特別控除の変更点(2021年に行う確定申告から)

次回、2020年分の確定申告から青色申告特別控除が改定され、65万円控除に「電子申告」など新たな要件が追加されることになりました。この新要件を満たさずに確定申告をした人は、控除額の上限が55万円になってしまいます。

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目次

    青色申告特別控除の変更点

    2020年分の確定申告(2021年2月16日~3月15日に行う確定申告)から、青色申告特別控除が改正されます。

    2019年分までは、控除額は10万円か65万円の2パターンでした。次回の2020年分の確定申告からは、65万円控除に新たな要件が追加され、控除額が10万円・55万円・65万円の3パターンになります。なお10万円控除についての変更はありません。

    2020年分から青色申告特別控除の改正が適用される

    65万円控除の新たな要件とは、e-Taxを用いた「電子申告」もしくは「電子帳簿保存」のいずれか1つを行うこと(詳しくは後述)。今まで65万円控除を受けていて、なおかつ確定申告書類を紙で提出していた人は、次の確定申告から注意が必要です。

    青色申告特別控除が10万円・55万円・65万円の3パターンに(2020年分~)

    青色申告特別控除についておさらい

    「青色申告特別控除」は青色申告を行う個人事業主だけが受けられる控除です。控除額は10万円・55万円・65万円での3パターンあり、クリアする要件によって金額が異なります。

    青色申告65万円特別控除の要件(2020年分〜)

    • 事業所得または不動産所得を得ていること
    • 正規の簿記の原則に従って、複式簿記による帳簿づけをしていること
    • 確定申告書類を申告期限内に提出すること
    • 電子申告もしくは電子帳簿保存をすること(←新要件)

    なお、青色申告をするためにはあらかじめ税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。申請書を期限内に提出しなかった人は、そもそも青色申告をすることができず、白色申告となります。

    ここからは、青色申告で10万円控除を受ける場合と、65万円控除を受ける場合について、変更点をケース別にそれぞれ説明していきます。

    ケース① 10万円控除を受けていた【変更なし】

    今まで10万円控除を受けていた人は、今回の青色申告特別控除の改正による変更はありません。また、同時に「基礎控除」の改正も実施され、こちらは控除額が38万円から原則48万円に引き上げとなります(合計所得金額が2,400万円以下の場合)。
    >> 基礎控除の変更点

    2020年分からの控除額 - 青色申告特別控除(10万円)の場合

    このように、青色申告10万円控除を受けている人は、2020年分の確定申告から、基本的にトータルの控除額が10万円アップします(基礎控除の増額分)。

    ケース② 65万円控除を受けていた【要件が変更!】

    今まで65万円控除を受けていた人は、2020年分からは新要件を満たさない限り、控除額が55万円に引き下がってしまうので注意が必要です。

    55万円控除になっても損するワケではない

    とはいえ、同時に基礎控除の引き上げも実施されるので、55万円控除になっても現状と比べてトータルで損をすることはありません。青色申告特別控除の減額分10万円は、基礎控除の増額分10万円で補填されるというわけです。

    基礎控除が増えても青色控除の新要件を満たさない場合

    新要件をクリアすれば控除額アップ!

    新要件をクリアすれば、2020年分からも引き続き65万円控除を受けられます。また、基礎控除は10万円引き上がるので、トータルの控除額は10万円アップします。

    青色申告特別控除の改正とトータルの控除額(2020年分から)

    【検証】10万円の控除差による節税額(年収別)

    新要件をクリアして2020年分以降も青色申告65万円控除を受ける場合、55万円控除と比べてどのくらい節税になるのか、おおまかな年収別で比較してみました。今回は、年間の合計所得が300万円・500万円・800万円の場合で、納付税額(所得税+住民税)を比較します。なお、今回の計算における基本設定は後述しています。

    55万円控除と65万円控除の税額を比較

    55万円控除での税額 65万円控除での税額
    所得300万円 23万8,300円 22万4,500円
    -1万3,800円
    所得500万円 58万6,400円 56万4,100円
    -2万2,300円
    所得800万円 141万2,300円 138万4,900円
    -2万7,400円

    ※税額は所得税+住民税の金額
    ※国民健康保険料は2019年度の金額で計算

    上記の節税額を高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれでしょう。「2万円前後しか変わらないなら今まで通りでいいや」と思うなら、新要件のことは気にせず55万円控除で申告するのもアリです。

    計算の基本設定

    税額は、所得金額だけではなく、事業形態や年齢など所得以外の要素によっても変動します。今回は以下のような基本設定のもと算出しました。

    今回は2020年分(令和2年分)の設定で試算

    金額と税率 設定
    基礎控除 48万円(43万円※)
    社会保険料控除 国民年金 19万8,090円
    国民健康保険
    所得に応じて算出
    東京都新宿区
    40歳未満
    前年分の所得も同額
    住民税 所得割の税率 10%
    均等割額 5,000円
    東京都新宿区
    前年分の所得も同額

    ※カッコ内は、住民税・社会保険料の計算における控除額

    どっちがいい? – 電子申告と電子帳簿保存

    65万円控除の新要件である「電子申告」と「電子帳簿保存」。個人事業主であれば、電子申告のほうが簡単にできるのでオススメです。
    >> どっちがいい?電子申告と電子帳簿保存【青色申告特別控除の改正】

    電子申告は労力面・金銭面ともに少ない負担で始められます。マイナンバーカードが不要の「ID・パスワード方式」が導入され、電子申告がより手軽になりました。
    >> ID・パスワード方式とマイナンバーカード方式について詳しく

    電子申告を始めるまでの流れ【ID・パスワード方式】

    なお、税務署に設置されているパソコンからも電子申告は可能です。職員に質問しながら、税務署で申告を済ませてしまうのもひとつの手です。

    一方で、電子帳簿保存の開始準備には、時間もお金もかかります。開始するにはかなりハードルの高い要件を満たす必要があるので、65万円控除のためだけに電子帳簿保存を導入するのは非現実的と言えます。

    電子帳簿保存を始めるまでの流れ

    まとめ

    2020年分の確定申告(2021年2月16日~3月15日に行う確定申告)から、青色申告特別控除の65万円控除に、新たな要件が追加されます。これに伴って、65万の新要件を満たせなかった場合に適用される「55万円控除」も新たに登場します。

    青色申告特別控除が10万円・55万円・65万円の3パターンに(2020年分~)

    また、同時に基礎控除の改正も行われ、控除額が38万円から48万円に変更されます(合計所得金額が2,400万円以下の場合)。

    新要件がクリアできず55万円控除になったとしても、基礎控除の引き上げ分の10万円でプラスマイナスゼロになるので、トータルの控除額は2019年分までと変わりません。ただ、せっかく節税につながるチャンスなので、これを機に電子申告などにチャレンジしてみることをオススメします。