e-Taxとの相性で比較するクラウド会計ソフト – 電子申告への対応状況

更新日: 2020/10/13 投稿日: 2020/05/07
e-Taxとの相性で比較するクラウド会計ソフト – 電子申告への対応状況

クラウド会計ソフトの大手3社が提供する個人事業主向けソフトについて、電子申告をする際に重要な機能を比較します。本記事は、電子申告の仕組みをある程度知っている方を対象としています。

INDEX

目次

    e-Taxとの相性とは?

    先に言ってしまうと、どの会計ソフトを使っても「電子申告がすごくラクになる!」ということはありません。現状、会計ソフトごとの差は“電子申告のしやすさ”よりも、申告データを送信する際の“選択肢の広さ”にあります。

    会計ソフトの電子申告の選択肢【freeeとマネーフォワード】

    申告データの送信方法に関しても、一概に「これがいちばんラク!」とは言えません。基本的には「e-Taxソフト(WEB版)」や会計ソフトの申告ツールが使いやすいですが、あらゆる添付書類を省略できるという面では「e-Taxソフト」が便利だったりもします。

    自分に合った方法がハッキリしない場合は、ひとまず選択肢の広いソフトを選んでおくのがよいでしょう。ただ、電子申告に関わる機能を重視して会計ソフトを選ぶなら、まずは自分に合った電子申告の方法を理解しておくのがおすすめです。
    >> 会計ソフトを使った電子申告の方法

    【一覧】主な会計ソフトの対応状況

    本記事では「弥生」「freee(フリー)」「マネーフォワード」の大手3社が提供する、個人事業主向けクラウド会計ソフトを比較します。それぞれが対応しているデータの送信方法は以下のとおりです。

    やよい freee マネーフォワード
    e-Taxソフト
    (WEB版)

    非推奨
    e-Taxソフト
    非推奨
    その他 確定申告e-Tax
    モジュール
    (Windowsのみ)
    電子申告アプリ なし

    各社の公式情報に準ずる

    今のところ、個人事業主の電子申告に関しては弥生とfreeeがリードしていて、マネーフォワードはちょっと遅れ気味です。

    ちなみに、申告内容と会計ソフトの相性によって、送信方法が限られてしまうケースもあります。特に、第三表以降が必要な場合、上表で○がついていても「e-Taxソフト(WEB版)」や会計ソフト独自の申告ツールは使えないので注意しましょう。(詳細は後述)

    ① やよいのオンラインシリーズ

    弥生が提供するクラウド会計ソフトには、「やよいの白色申告 オンライン」と「やよいの青色申告 オンライン」の2つがあります。どちらも、良心的な価格設定と手厚いサポートが魅力です。電子申告に関わる機能は同じなので、本記事ではまとめて紹介します。

    e-Taxソフト(WEB版) e-Taxソフト その他

    非推奨
    「確定申告e-Taxモジュール」
    (Windowsのみ)

    公式情報に準ずる

    実際の操作画面やサポートページ上では「e-Taxソフト(WEB版)」の利用が推奨されているが、インストール型の「e-Taxソフト」にも問題なくデータの出力が可能。Windowsユーザーは「確定申告e-Taxモジュール」を使ったほうが簡単だが、データの編集ができる「e-Taxソフト」の出番が無いわけではない。

    やよいの白色申告 オンライン」と「やよいの青色申告 オンライン」は、どちらも一通りの送信方法に対応しています。現状、独自の申告ツールはWindowsでしか利用できませんが、Macユーザーは「e-Taxソフト(WEB版)」を使えるので問題ありません。

    独自の電子申告ツール「確定申告e-Taxモジュール」

    弥生は2020年1月から、自社ソフトのユーザーに向けて、独自の電子申告ツール「確定申告e-Taxモジュール」の配信を開始しました。現時点ではWindows版しかありませんが、Mac版も2021年1月から配信予定とのことです。

    マイナンバーカードの読み取り画面 送信前の確認画面
    マイナンバーカード読取画面(弥生) 送信前の確認画面(弥生)

    弥生の公式サイトより

    なお「確定申告e-Taxモジュール」で、申告データの編集・追加はできません。あくまで、出来上がったデータを送信するためのツールだと考えましょう。
    >> やよいの白色申告 オンライン
    >> やよいの青色申告 オンライン

    ② 会計freee

    会計freee(フリー)」は、会計初心者にやさしいクラウド会計ソフトです。会計の知識が無くても扱いやすいよう、全体的にわかりやすい言葉遣いや操作画面で構成されています。

    e-Taxソフト(WEB版) e-Taxソフト その他

    非推奨
    「電子申告アプリ」

    公式情報に準ずる

    freeeは、大手3社の中で最も電子申告への対応が進んでいると言えます。シンプルで使いやすい独自の申告ツール(電子申告アプリ)が、Windows・Macの両方に向けて配信されています。

    ちなみに、e-Taxソフト(WEB版)は以下の理由で推奨されていませんが、使えないわけではありません。

    引用

    “freeeで作成した申告書データをWeb版e-taxから申告する場合、マイナンバーを入力できません。…マイナンバーが無くても申告自体は受理されますが、税務署から確認の連絡が入る場合があります。よって、できる限り、Windows版e-taxかfreeeの電子申告アプリを利用することを推奨します。”

    2. e-taxソフト(Web版)を利用して提出 – freee

    独自の電子申告ツール「電子申告アプリ」

    freeeは、ユーザーに向けて「電子申告アプリ」という無料の電子申告ツールを提供しています。このアプリには、Windows版とMac版があります。申告データの編集機能は備えていませんが、シンプルな操作で電子申告を済ませることができます。

    送信前の準備画面 送信後の確認画面
    送信前の準備画面(freee) 送信後の確認画面(freee)

    確定申告書類をe-taxソフトで提出する – freee

    ちなみに「電子申告アプリ」では、今までe-Taxソフト等からしかできなかった「電子証明書の登録」の操作も行えます。これによって利便性が大きく変わるわけではありませんが、他社よりもスピーディに電子申告への対応を進めている表れだと言えます。
    >> freee(フリー) – クラウド型会計ソフト

    ③ マネーフォワード クラウド確定申告

    マネーフォワード クラウド確定申告」は、6つのクラウドサービスをセットで提供する「マネーフォワード クラウド」に含まれる会計ソフトです。継続的な事業展開を見据え、バックオフィス業務全体の効率化を図りたい事業主におすすめです。

    e-Taxソフト(WEB版) e-Taxソフト その他
    なし

    公式情報に準ずる

    現状、マネーフォワードで作成した申告データをインポートできるのは、インストール型の「e-Taxソフト」だけです。「e-Taxソフト」はWindowsでしか利用できないため、Macユーザーはマネーフォワードのデータを電子申告に利用できないことになります。

    Macでマネーフォワードを使う場合、電子申告はウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」で行いましょう。なお「e-Taxソフト」の使い勝手の悪さを考えると、Windowsユーザーも、はじめから「確定申告書等作成コーナー」を使ったほうがラクかもしれません。
    >> マネーフォワード クラウド確定申告

    第三表以降が必要な場合は要注意!

    多くの個人事業主にとっては、決算書と申告書第一表・第二表さえ作成できれば問題ありません。もし申告書第三表~第五表のいずれかも提出する必要がある場合は、下表の対応状況を確認しておいてください(第五表の作成については、どのソフトも未対応)。

    やよい freee マネーフォワード
    決算書
    第一表
    第二表
    第三表(分離課税)
    第四表(損失申告)
    第五表(修正申告)

    会計ソフトで作成できない申告データがある場合、「e-Taxソフト(WEB版)」や独自の申告ツールからは電子申告ができません。これらには、データの編集・追加機能が無いからです。

    たとえば、やよいのユーザーが第四表を提出したい場合は、インストール型の「e-Taxソフト」を使うしかありません。もしくは「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法もありますが、その場合、会計ソフトで作ったデータを取り込むことはできません。

    「確定申告書等作成コーナー」とは、国税庁が公開するウェブサイトの名称である。本来は書類作成用のサイトだが、入力したデータを使って、そのまま電子申告を行うことも可能。外部からデータのインポートができないため、申告内容は手入力する必要がある(決算書から申告書への転記は自動)。

    作成できる申告データの範囲もふまえると、現時点では「freee」が一歩リードしていると言えます。特に、第四表を提出する可能性がある場合は、この対応状況の差がfreeeを選ぶ決め手になるかもしれません。

    添付書類の省略に関わる対応状況について

    電子申告では、控除証明書(一部の第三者作成書類)の提出を省略できます。ただ、これが認められるのは、国税庁が認める形式で書類の内容を送信した場合だけ。添付書類の対応は各社まちまちな状況で、提出を省略できる書類はソフトによって異なります。

    現時点で書類の提出省略に完全対応しているソフトはありません。提出を省略できない書類は、郵送などで提出することになります。たとえば、やよいで申告データを作成すると、以下のように別途提出の必要な書類が表示されます。

    郵送で提出する書類(やよいの青色申告オンライン)

    「やよいの青色申告 オンライン」の場合

    ちなみに、freeeが提出省略に対応している書類については、公式サイトの該当ページで一覧になっています。なお、マネーフォワードはそもそも「e-Taxソフト」にしか対応していないためか、書類の提出省略について公式の説明がありません。

    「e-Taxソフト」か「確定申告書等作成コーナー」なら省略OK

    インストール型の「e-Taxソフト」を使えば、証明書の記載情報を申告データに追加できるので、ほとんどの添付書類は提出省略が可能です。この場合、会計ソフトの対応状況は関係しません。また「確定申告書等作成コーナー」から電子申告をする場合も、ほとんどの添付書類を省略できます。
    >> e-Taxで必要な添付書類ってある?

    まとめ – e-Taxとの相性ならfreee

    現状、大手3社が提供するクラウド会計ソフトの中で、最もe-Taxとの相性が良いと言えるのはfreeeです。ただ、Windowsユーザーなら、やよいでも利便性はほとんど変わりません。一方、マネーフォワードは、他と比べて対応が遅れている印象です。

    作成したデータの送信方法

    やよい freee マネーフォワード
    e-Taxソフト
    (WEB版)

    非推奨
    e-Taxソフト
    非推奨
    その他 確定申告e-Tax
    モジュール
    (Windowsのみ)
    電子申告アプリ なし

    なお「第三表以降を提出したいのに会計ソフトで作れない!」という場合、電子申告は「e-Taxソフト」か「確定申告書等作成コーナー」から行うしかありません。おのずと選択肢が限られてしまうので、第三表~第五表が必要な人は下表の対応状況も確認しておきましょう。

    ソフト内で作成できるデータ

    やよい freee マネーフォワード
    決算書
    第一表
    第二表
    第三表
    第四表
    第五表

    第三表:分離課税 第四表:損失申告 第五表:修正申告

    ちなみに「確定申告書等作成コーナー」から電子申告を行う方法も、それほど面倒なわけではありません。使い勝手の悪い「e-Taxソフト」と比べれば、むしろラクだとも言えます。はじめから「確定申告書等作成コーナー」の利用を視野に入れておくのもアリです。