新型コロナに由来する損害や費用はどうなる?

更新日: 2020/07/27 投稿日: 2020/04/06
新型コロナに由来する損害や費用はどうなる?

新型コロナウイルスの影響で、普段どおりには営業ができなかったり、いつもと違う出費があったりと、ルーティン通りに事務処理ができないケースが増えているのではないでしょうか。本記事では、これらに関連する基本的な事務処理をおさらいします。

INDEX

目次

    顧客の減少や営業自粛による収入減について

    新型コロナウイルスの影響で、様々な業種の事業主が収入減などの被害を受けています。中でも、飲食業やサービス業、学校関係の業務を行う事業主、そして子どもの面倒を見なければならない事業主などは、ダイレクトに影響を受けていることでしょう。

    収入減の責任が自分にはなく、明らかに新型コロナウイルスのせいであっても、会計処理は基本のルール通りに行わなくてはなりません。当然ながら、収入が減った分を損失として必要経費に計上することはできません。

    たとえば、以下のようなケースで収入が減ってしまった場合でも、すべて単なる売上の減少ということになります。

    • 来客が目に見えて減少した
    • 自主的に客数の制限を設けた
    • 営業時間を自ら短縮(または変更)した
    • 営業を一定期間取りやめた
    • 営業ができなくなった

    営業を一時ストップしていても、家賃などはいつも通りに経費計上できる

    営業ができない期間や、営業時間を短縮している期間においても、店舗や事務所を借りていれば家賃がかかります。また、水道光熱費や材料費等がかかることもあるでしょう。これらの必要経費については、いつも通りに経費として処理できます。

    営業を自粛している期間について、税務署に特別な届け出などを行う必要はありません。

    事業に必要な衛生費などを新たに支出した場合

    当然ながら、来客用の消毒液やマスク、ハンドソープなどの費用は、事業を営む上で必要な支出なので経費に計上できます。もちろん、顧客のために自分がマスクをつける必要がある場合も同様です。一般的には「消耗品費」の科目で記帳します。

    顧客のために使用するマスクや消毒液などは経費にできる

    自分の感染予防については経費にできない

    業務が自宅で完結し、仕事上では他人と会う必要がほとんどない事業主であっても、どんな経路で感染してしまうかわからないのが現状です。もし感染してしまったら、しばらくは業務どころではなくなってしまう可能性も十分に考えられます。

    しかし、いくら「体が資本だから」といっても、自分の感染予防のために支出したものは経費に計上できません。仕事のパフォーマンスを上げるために、日頃から良いものを食べたり、ジム通いをしたりしても、それらを経費にできないのと同じことです。

    >> 必要経費とは?確定申告で経費にできるものとできないもの

    従業員を休ませた場合の休業手当について

    従業員を雇っている事業主は、感染症にともなう勤怠管理についても、しっかり確認しておいたほうがよいでしょう。

    まず一般論として、雇い主の都合で従業員に休むよう指示したら、その日数に応じた休業手当を支給する必要があります。休業手当の金額は、平均賃金の6割です。ただし、就業規則等で明記していない場合、残りの4割を請求されることもあります。

    労働基準法26条は、従業員を「使用者の責に帰すべき事由」により休業させる場合、平均賃金の最低60%を休業手当として支給するよう、使用者に義務付けている。しかし、これは民法536条2項の規定を制限するものではない(ノースウエスト航空事件 最二小判昭62.7.17 労判499-6)。民法536条2項は、債務者が「債権者の責に帰すべき事由」によって債務を履行できなかったときは、債務者は反対給付を受ける権利を失わないと定めている。なお民法の規定については、労使間の特約によって事前にこれを排除しておくことが可能である(労働基準法は強行法規なので特約でも排除不可)。

    新型コロナウイルスに感染した“疑い”があり、他の従業員への感染を防ぐために休むよう指示した場合であっても、基本的に「雇い主の都合」ということになります。よって、休業手当を支給する必要があります。支給金額は「給料賃金」として会計処理します。
    >> 感染が疑われる方を休業させる場合 – 厚生労働省

    休業手当を支給しなくてよい主なケース

    • 法律の定めによる休業
    • 天変地異などの不可抗力による休業

    少なくとも上記のいずれかに該当すれば、休業手当を支給する必要はありません。たとえば、新型コロナウイルスに感染したことが検査等によって“確定”した人は、法的に就労が禁じられています。この場合は、当然「雇い主の都合」には含まれないということです。

    なお、2番目に挙げた「不可抗力」として認められるには、「通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故である」などの厳しい要件を満たす必要があります。

    個人事業主への救済制度は?

    個人事業主に対する救済制度は、現時点では十分なものとは言い難いです。主要なものを紹介すると、以下の施策が発表されています(2020年4月6日現在)。

    施策 対象者
    国税の支払いを一年猶予 新型コロナの影響により、国税を一時に納付することができない事業主
    緊急小口資金 休業などにより収入が減少し、生計維持のため緊急で貸付が必要な事業主
    対象のフリーランス保護者に1日4,100円を支給 臨時休校による子どもの世話で仕事ができない個人事業主
    従業員の休業手当などに関する助成金 新型コロナの影響に由来する経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主
    対象の事業者に有利な特別貸付 最近1ヶ月の売上高が、前年か前々年の同期と比較して5%以上減少した場合などに該当する事業主
    生産性革命推進事業の採択審査における加点措置 新型コロナの影響を受けて、テレワークツールの導入など、一定の取り組みを行う事業主

    各施策の具体的な内容については、以下の記事で紹介しています。
    >> 新型コロナで影響を受けた個人事業主への主な救済措置まとめ

    まとめ – 損害や費用の事務処理について

    基本的な事務処理については、平時と同様に行う必要があります。今回のような特殊な状況下では、慣れない事務処理が発生しやすいので、必要に応じて確認しておきましょう。

    • 新型コロナウイルスのせいであっても、収入減は経費にならない
    • 営業停止中または短縮中でも、家賃などは普段どおり経費計上してよい
    • マスクなどの費用が新たにかかった場合、事業に必要なものであれば経費計上する
    • 自宅兼事業所で自分のために使用する消毒液などは経費にならない
    • 従業員を使用者の都合で休ませたら休業手当を支給する
    • 休業手当は「給料賃金」に含める

    個人事業主への救済制度については、日々情報が更新されている状態です。当メディア『自営百科』でも、随時わかりやく情報をまとめてお届けしています。

    また、政府の対応次第では、基本的な事務処理の方法についても、今後例外が生じないとも限りません。その場合も、当メディアで情報を整理し、詳しくお伝えします。