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主な給付金・貸付金の仕訳例まとめ【新型コロナ関連】

更新日: 2020/10/28 投稿日: 2020/10/19
主な給付金・貸付金の仕訳例まとめ【新型コロナ関連】

新型コロナ関連の給付金や貸付金について、どう仕訳したらよいか迷っている個人事業主も多いのではないでしょうか。本記事では、具体例を用いて、仕訳方法などを税務上のルールに基づいて解説します。

INDEX

目次

    主な給付金や貸付金の一覧 – 新型コロナ関連

    新型コロナ関連の救済措置で受け取れるお金は、大きく2種類に分けて考えるとよいです。返さなくていいお金(給付金など)と、あとで返さなければならないお金(貸付金)です。

    新型コロナ関連の主な給付金・貸付金

    給付金など 貸付金
    【課税】
    持続化給付金
    家賃支援給付金
    ・小学校休業等対応支援金
    ・特別利子補給制度
    【非課税】
    特別定額給付金
    ・子育て特別給付金
    ・新型コロナウイルス感染症特別貸付
    ・新型コロナウイルス対策マル経融資
    ・商工中金による危機対応融資
    ・セーフティネット貸付(新型コロナ特例)
    ・セーフティネット保証4号
    ・セーフティネット保証5号
    ・危機関連保証
    ・小規模企業共済の特例緊急経営安定貸付等
    返さなくていいお金 あとで返さなければならないお金

    持続化給付金」などの給付金は所得とみなされ、原則的には所得税の課税対象です。ただし「特別定額給付金」のように、法令で特別に非課税と定められているものもあります。一方、貸付金は所得ではないので、課税対象になりません。

    なお、返さなくてよいお金については「給付金・助成金・補助金」など、様々な呼び名があり、それぞれ性質が異なります。とはいえ、税務上の扱いは同じです。よって本記事では、これらをまとめて「給付金など」と表記しています。

    仕訳例① 課税される給付金(持続化給付金など)

    課税対象になる給付金などを受け取ったら、「雑収入」の勘定科目で仕訳をします。消費税区分は「不課税」です。以下の仕訳例は、100万円の「持続化給付金」が事業用口座へ入金された場合です。

    持続化給付金100万円を受け取ったときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年12月1日 普通預金 1,000,000 雑収入 1,000,000 持続化給付金

    持続化給付金の仕訳方法

    事業で得た収入は「売上」か「雑収入(=売上以外の収入)」のどちらかに分類するのが、税務上のルールです。持続化給付金は事業に関係する収入ではありますが、明らかに売上ではないので雑収入というわけです。
    >> 給付金・助成金・補助金の違い

    仕訳例② 非課税の給付金(特別定額給付金など)

    非課税の給付金などは、プライベート用の口座で受け取れば記帳する必要はありません。ただし、事業用口座に入金された場合は、以下のように「事業主借」の勘定科目で仕訳しておきましょう。

    住民1人につき10万円が支給された「特別定額給付金」を、事業用口座で受け取ったときの仕訳例は下記のとおりです。

    特別定額給付金を事業用口座で受け取ったときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年8月3日 普通預金 100,000 事業主借 100,000 特別定額給付金

    特別定額給付金の仕訳方法

    このように記帳しておけば、あとで事業用口座の預金通帳と見比べたときに金額のズレが生じることもありません。ちなみに、プライベート用口座に移し替えるときは以下のように処理します。

    事業用口座からプライベート用口座に移すときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年12月1日 事業主貸 100,000 普通預金 100,300 生活費
    事業主貸 300 振込手数料

    これは直接振り込みする場合の例です。一旦現金として引き出す場合は、上記の「普通預金」を「現金」に置き換えてください。なお、今回は見やすくするために2行に分けて表記しましたが、1行にまとめてしまっても支障ありません。

    仕訳例③ 貸付金の受け取り

    貸付金を受け取ったときは「借入金」の勘定科目で帳簿づけします。消費税区分は「不課税」です。ただし、白色申告者は記帳しなくても構いません。

    300万円の貸付を受けたときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年10月1日 普通預金 3,000,000 借入金 3,000,000 金融公庫から借入れ
    新型コロナ特別貸付

    ※無担保の場合

    借りたお金は「所得」ではなく「負債」です。ですから、所得税の課税対象ではありません。しかし、青色申告特別控除の55万円(or 65万円)を狙って複式簿記を選択している事業主は、このように仕訳しておきましょう。

    というのも、この控除を受けるには「資産」や「負債」の金額などを整理して記載した「貸借対照表(青色申告決算書の4ページ目)」を作成し、確定申告で提出する必要があるからです。上記の仕訳をしていないと、この貸借対照表が正確に作成できないのです。

    なお、これは“事業目的で”貸し付けを受けたときの話です。生活を維持するための「緊急小口資金」などを借りた場合は、そもそも事業の負債ではないので帳簿づけは不要です。ただし、事業用口座で緊急小口資金を受け取ったら「事業主借」で記帳しておきましょう。
    >> もっと詳しい貸付金の解説はこちら

    仕訳例④ 貸付金の返済

    貸付金の返済時は、以下のように「元金」と「利子」をハッキリ区別する必要があります。税務上の扱いが異なるので、必ず別の行に分けて記帳しましょう。「元金」の返済額は経費にできませんが、「利子」の支払額は「利子割引料」の勘定科目で経費計上できます。

    日付 借方 貸方 摘要
    2021年12月2日 借入金 120,000 普通預金 120,400 金融公庫へ返済
    新型コロナ特別貸付
    利子割引料 400 利息の支払い

    ※金利は一例で、実際の利率とは異なる

    簿記に慣れていない方は「借金を返済したんだから、科目は『借入金』ではなく『返済金』が正しいんじゃないの?」などと疑問に思われるかもしれません。しかし、この仕訳は「借入金が120,000円減りました」という意味であり、これで正しいのです。

    「元金」と「利子」の税務上の違いを整理

    元金(借入金)の返済 利子の支払い
    科目 借入金 利子割引料
    所得税 必要経費にならない 必要経費になる
    消費税 不課税 非課税

    特別利子補給制度

    貸付金の種類によっては「特別利子補給制度」により給付を受けることで、実質的に無利子となる場合があります。しかしこの制度を利用しても、結局は形式的に利子を支払うことになるので、やはり支払時は上記のように処理しておく必要があります。

    「特別利子補給制度」で給付を受けたときの仕訳例

    日付 借方 貸方 摘要
    2020年12月1日 普通預金 12,000 雑収入 12,000 特別利子補給制度

    「特別利子補給制度」による給付は、最長3年分の利子相当額が一括で入金されます。給付額は「雑収入」として、入金された日付で処理しましょう。つまり、本記事の「仕訳例①」と同じ要領で帳簿づけすればよいということです。

    帳簿づけに関するまとめ

    新型コロナ関連の救済措置を受けたら、「返さなくていいお金(給付金など)」と「あとで返さなければならないお金(貸付金)」の2種類をきちんと区別して考えましょう。

    返さなくてよい「給付金など」

    課税される給付金など 非課税の給付金など
    科目 雑収入
    所得税 課税 非課税
    消費税 不課税 不課税
    代表例 ・持続化給付金
    ・家賃支援給付金
    ・特別定額給付金(一律10万円)
    ・子育て特別給付金

    新型コロナ関連で受け取った「持続化給付金」や「家賃支援給付金」は、「雑収入」として記帳するのが原則です。ただし、非課税の「特別定額給付金」などは記帳しなくても構いません。もし非課税のものを事業用口座で受け取ったら「事業主借」の科目で仕訳しておけばOKです。

    あとで返さなければならない「貸付金」

    貸付金の受け取り 元金の返済 利子の支払い
    科目 借入金
    (増える)
    借入金
    (減る)
    利子割引料
    所得税 非課税 必要経費にならない 必要経費になる
    消費税 不課税 不課税 非課税

    貸付金として受け取ったお金(= 借入金)は、青色申告決算書4ページ目の貸借対照表で「負債」にカウントする必要があります。よって、青色申告特別控除55万円 or 65万円を狙って複式簿記を選択している場合には、仕訳が必要です。
    >> 青色申告特別控除の改正について

    白色申告者や、青色申告でも10万円控除でよい方は、貸付金の記帳はしてもしなくも構いません。これは、各人が任意で作成している帳簿によって異なります。たとえば「預金出納帳」を作成しているのなら、預金口座のお金の増減をすべて記録しないと成り立たないので、記帳しておきましょう。

    貸付金を返済するときは「元金」と「利子」で税務上の扱いが異なります。必ず区別して仕訳しましょう。元金の返済は経費にできませんが、利子の支払いは「利子割引料」の勘定科目で経費にできます。