新型コロナの影響で納税が難しい場合は?税金の猶予・減額・免除

更新日: 2020/08/15 投稿日: 2020/08/15
新型コロナの影響で納税が難しい場合は?税金の猶予・減額・免除

新型コロナの影響で収入が減り、税金を納めるのが難しい人も多いのではないでしょうか?このような人のために「納付猶予」や「減免」などの特例措置が用意されています。本記事では、税金・保険料の特例措置について、現況を整理します。

INDEX

目次

    【一覧】納付に関わる主な特例措置

    新型コロナの影響で減収した人には、主に以下のような特例措置が用意されています。

    新型コロナに関わる特例措置の概要

    国税(所得税や消費税など) 納付期限を1年先延ばしにできる
    地方税(住民税や個人事業税など)
    国民年金 納める保険料を減らせる
    (金額はそのままで、納付を先延ばしにできる場合も)
    国民健康保険

    ※国民健康保険の措置は保険者によって異なる場合がある

    税金に関わる措置では、納付期限を1年先延ばしにする「特例猶予」の制度が主です。この制度は、2020年2月1日~2021年2月1日に納めるほとんどの税目で利用できます。

    国民年金と国民健康保険については、保険料の減額 or 免除を受けられます。全額免除の要件は厳しいですが、収入が大きく減少したなら、少なくとも2割程度は減額できるでしょう。

    ちなみに、本記事で紹介するのは、あくまでコロナ禍における特例的な制度です。その他の制度を利用できる場合もあるので、「おしくも要件を満たせない…」というときは税務署や役所などで相談してみましょう。

    国税(所得税や消費税など)

    以下の両方を満たす人は、国税の納付が納期限から1年にわたって猶予されます。この特例は、2020年2月1日~2021年2月1日に納期限が到来するほぼ全ての税目に適用できます。(印紙で納める税金などを除く)

    特例猶予の要件

    1. 収入が前年比で概ね20%以上減っている(1ヶ月以上の任意の期間で比較)
    2. 資金状況などから、一度に納付することが難しい

    新型コロナの影響により納税が困難な方へ – 国税庁

    減収の割合は、2020年2月以降から任意の期間(1ヶ月以上)を選択し、前年同期と比較します。つまり、今年4月の収入が、昨年4月の収入から概ね20%減少していればOKということです。

    利用する際は、猶予を受けたい税目の納期限までに「猶予申請書(特例猶予用)」を税務署へ提出しましょう。なお、やむを得ない事情があるときは、納期限を過ぎてからの申請も可能です。

    申告も柔軟に受け付けてもらえる

    所得税や消費税の申告期限は、いったん4月16日まで延長されていました。が、コロナの影響で申告が遅れた場合は、それ以降でも柔軟に対応してもらえます。いつまでこの対応が続くかは不明ですが、なにか事情がある限り、無理に申告を行う必要はなさそうです。
    >> 確定申告期限の延長について

    地方税(住民税や個人事業税など)

    地方税にも、国税と同様に特例的な猶予制度が設けられています。地方税の扱いは自治体ごとに異なる部分もありますが、これは全国一律の制度です。

    引用

    新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年2月以降の収入に相当の減少があり、納税することが困難である事業者等に対し、無担保かつ延滞金なしで1年間徴収を猶予できる特例を設ける。

    地方税法等の一部を改正する法律の概要 – 総務省

    この制度は、国税の場合と同じく、2020年2月1日~2021年2月1日に納期限が到来するほぼ全ての税目に適用できます(証紙徴収で納める税金を除く)。なお、要件も下記の通り、国税の特例猶予と同様です。

    特例猶予の要件

    1. 収入が前年比で概ね20%以上減っている(1ヶ月以上の任意の期間で比較)
    2. 資金状況などから、一度に納付することが難しい

    徴収猶予の特例制度について – 総務省

    制度を利用する際は、各自治体が指定する申請書類を役所に提出します。書類は地域によって違うこともあるので、必ず申請する自治体のウェブサイト等で確認しましょう。

    ちなみに、地方税の申告についても、総務省から各自治体へ「国税と同じく柔軟に対応してあげなさい」とお達しが出されています。とはいえ、所得税の確定申告を済ませれば住民税や個人事業税の申告は不要なので、ほとんどの人はそもそも気にしなくてOKです。

    【2021年分】固定資産税・都市計画税の軽減措置について

    個人事業主などは、2020年の事業収入が一定以上減少すると、2021年に納める固定資産税と都市計画税の減免を受けられます。ただ、これはあくまで来年分の税金に関する措置であり、今年分には適用できないので注意しましょう。
    >> 固定資産税・都市計画税の減免について – 中小企業庁

    国民年金の保険料

    国民年金には、もともと保険料の免除制度があり、通常時は主に「前年の所得が一定以下の人」がその対象となっています。が、現状では特例的に「当年の所得が一定以下になりそうな人」もすぐに免除を受けられます。

    この特例の対象は、新型コロナの影響で減収し、2020年の「所得見込額」が下表の基準額以下になる人です。所得見込額が左記の基準以下であれば、右記のとおり免除(猶予)してもらえます。なお、詳しくは提出する「所得見込額の申立書」に従って計算します。

    基準額 免除区分
    158万円 + 扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の1免除
    118万円 + 扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 半額免除
    78万円 + 扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の3免除
    ( 扶養親族等の数* + 1 ) × 35万円 + 22万円 全額免除・納付猶予

    * 扶養親族と同一生計配偶者のこと

    「免除」については、世帯主と配偶者も同様に、この基準以下であることが必須要件です。「納付猶予」については、世帯主も同様であることが必須要件から外れますが、本人が20歳~49歳である必要があります。

    少し分かりづらい基準ですが、免除の割合は、提出書類をもとに審査を受けた上で決定されます。なので、もし基準を満たせそうだったら、ひとまず申請してみるのもアリです。
    >> 新型コロナの影響による保険料免除について – 日本年金機構

    免除された金額は将来の年金額に影響する?

    免除を受けた期間があっても、老齢基礎年金(いわゆる“年金”)の受給期間には影響しません。ただし、免除の割合に応じて受給額は少なくなります。とはいえ、受給額は10年以内に「追納」をすれば増やせるので、単に未納扱いになるよりは断然マシです。

    国民健康保険の保険料

    国民健康保険は、地方自治体が個々に運営している制度です。しかし、新型コロナの対応については、厚労省から保険料の減免に関するお達しが出されており、多くの自治体がこれに従っています。(国保組合は独自の対応をしている場合が多い)

    厚労省のお達しに従えば、世帯の「主たる生計維持者」が以下の要件をすべて満たす場合に、保険料が減免されます。ここで言う「主たる生計維持者」とは、「世帯主」か「世帯の生計を主に支えている国保加入者」のことです。

    減免の要件 -「主たる生計維持者」の収入で考える

    1. 新型コロナの影響で、前年から30%減少する見込みの収入*がある
    2. 2019年の合計所得金額が1,000万円以下である
    3. 1で挙げた収入を除いて計算した2019年の合計所得金額が400万円以下である

    * 給与収入、事業収入、不動産収入、山林収入に限る

    減免額の計算は少し複雑ですが、2019年の合計所得金額に応じて、おおよそ下記の割合が減額されると考えましょう。申請書類を提出すれば、自治体が計算してくれるので、基本的に自分で減免額を算出する必要はありません。

    2019年の合計所得金額 減免の割合
    750万円~1,000万円 20%減額
    550万円~750万円 40%減額
    400万円~550万円 60%減額
    300万円~400万円 80%減額
    ~300万円 全額免除

    ※「~」は「〇〇円超〇〇円以下」を表す

    国税や地方税と同じ「特例猶予」も利用できる?

    国民健康保険料についても、国税・地方税と同様の猶予制度を利用できる場合があります。ただ、特例的な猶予制度の有無は保険の運営元によって異なるので、必ず都道府県や組合のウェブサイトで確認しましょう。

    市区町村が保険料を「国民健康保険“税”」として徴収している場合、その扱いは地方税と同様なので、地方税の猶予制度を国民健康保険にも適用できる。ただ、保険料を「国民健康保険“料”」として徴収している市区町村も多く、その場合、地方税の猶予制度をそのまま国民健康保険に適用できるわけではない。なお、組合の保険料は必ず「国民健康保険“料”」の扱いなので、制度の詳細は組合に委ねられている。

    まとめ

    新型コロナに関わる主な特別措置として、国税・地方税では「特例猶予」があり、国民年金・国民健康保険ではさらに「減額 or 免除」の制度も用意されています。国税・地方税の特例猶予は要件のハードルが低いので、利用できる人も多そうです。

    新型コロナに関わる特例措置の概要

    主な措置 おおよその要件
    国税 特例猶予 ・収入が前年比で概ね20%減っている
    ・一度に納付するのが困難である
    地方税
    国民年金 保険料の減免 ・所得の見込額が「158万円 + 前年の所得控除額」以下
    国民健康保険 ・特定の収入(事業収入など)が前年比で30%以上減りそう
    ・その収入を除いた前年の合計所得が400万円以下

    ※国民健康保険の措置は保険者によって異なる場合がある

    実際に制度を利用する際は、下記の申請先に書類を提出しましょう。なお、申請は基本的に郵送で済ませられます。

    申請先 申請書類
    国税 所轄の税務署 国税庁のHPを参照
    地方税 各自治体の役所 各自治体のHPを参照
    国民年金 各自治体の役所 or 年金事務所 日本年金機構のHPを参照
    国民健康保険 各自治体の役所 or 組合の窓口 各自治体か組合のHPを参照

    ちなみに、本記事で紹介したのは、あくまでコロナ禍における特例的な措置です。もう少し簡単な要件で他の制度を利用できる場合もあるので、資金繰りが厳しい人はひとまず税務署や役所で相談してみるのが良いでしょう。