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税金と社会保険料の救済措置まとめ – 納付猶予・減額・免除など

更新日: 2021/07/27 投稿日: 2021/04/28
税金と社会保険料の救済措置まとめ – 納付猶予・減額・免除など

新型コロナの影響を受ける個人事業主向けに、税金や社会保険料を猶予・減額・免除してもらえる制度についてまとめました。コロナ関連の特例は一部終了していますが、ベーシックな救済制度を利用できる場合もあります。

INDEX

目次

    納付が難しい場合はどうする?

    現状、税金・社会保険料の納付が難しいときは、下記のような制度を利用できます。

    納付が難しい場合の措置

    国税
    (所得税や消費税)
    申告や納付をしばらく待ってもらえる
    【要件】税務署が認めるような理由で、申告・納付が困難であることなど
    地方税
    (住民税や個人事業税)
    国民年金 保険料の一部 or 全額を免除してもらえる
    【要件】前年の所得 or 当年の見込み所得が基準額以下であることなど
    国民健康保険 保険料の一部 or 全額を免除してもらえる
    【要件】収入が前年比で30%減少していることなど

    昨年はコロナ関連の特例で、各種の救済制度を利用するハードルが下がっていました。しかし、国税・地方税についてはすでに特例期間が終了しています。したがって、猶予を受けるには、もともと存在する制度を頼ることになります。

    国税・地方税 国民年金・国民健康保険
    コロナ関連の特例措置は終了
    要件は少し厳しいが
    ベーシックな救済制度がある
    コロナ関連の特例措置が継続
    昨年度に引き続き
    要件のハードルは低い

    なお、本記事で説明するのは、あくまで代表的な制度です。これ以外の救済制度を利用できることもあるので、気になる人は税務署で相談してみましょう。

    国税(所得税や消費税など)

    国税の納付に関して、コロナ関連の特例措置はすでに終了しています。しかし、要件を満たせば、下記のようなベーシックな救済制度を利用できます。ざっくり言うと、どちらも「納付を待ってもらえる制度」ですが、要件や期間が異なります。

    1. 申告・納付期限の個別延長
    2. 納税の猶予

    ① 申告・納付期限の個別延長

    概要 申告・納付の期限を個別に延長してもらえる制度
    遅延の事由
    具体例
    ・本人や経理担当者が新型コロナに感染した
    ・本人や経理担当者が感染者と濃厚接触をした
    ・保健所や医療機関から外出自粛の要請を受けた
    措置 申告・納付の期限を「申告・納付が可能になった日」から最大2ヶ月後まで延長できる

    >> 新型コロナによる確定申告期限の個別延長について(2021年)

    期限の個別延長を受けたいときは「申告・納付が可能になった日」から2ヶ月以内に、所定の申請書を税務署へ提出しましょう。申請書の様式はわりとシンプルですが、申告・納付ができなかった理由を具体的に書く必要があります。

    令和元年分の確定申告については、申告書にひとこと添えるだけで、簡単に申告・納付の個別延長を受けられた。しかし、令和2年分の確定申告においてはその方法が通用せず、別途申請書の提出が必要となる。

    ② 納税の猶予

    概要 特定の事情がある場合に限り、1年にわたって納税を猶予してもらえる制度
    遅延の事由
    具体例
    ・新型コロナの消毒作業で備品や棚卸資産を廃棄した

    ・本人か生計を一にする親族が病気にかかった
    ・事業を廃止 or 休止した
    ・利益の減少などにより事業が著しい損失を受けた
    措置 ・原則として1年にわたって納税が猶予される
    ・その間、延滞税は大幅に軽減 or 免除される

    >> 猶予制度とは(納税の猶予)- 国税庁

    納税の猶予を申し込む際は、税務署に「猶予申請書」を提出します。個別延長の申請書と比べると難しい様式で、納付計画なども記入しなくてはなりません。なお、本来は「財産収支状況書」等の提出も必要ですが、こちらは口頭での説明だけでも問題ないようです。

    地方税(住民税や個人事業税など)

    地方税にも、国税と同様の猶予制度がもともと設けられています。なお、国税と同じく2021年2月1日まではコロナ関連の特例制度が適用できましたが、現在は終了しています。

    納付の猶予

    概要 特定の事情がある場合に限り、1年にわたって納税を猶予してもらえる制度
    遅延の事由
    具体例
    ・新型コロナの消毒作業で備品や棚卸資産を廃棄した

    ・本人か生計を一にする親族が病気にかかった
    ・事業を廃止 or 休止した
    ・利益の減少などにより事業が著しい損失を受けた
    措置 ・原則として1年にわたって納税が猶予される
    ・その間、延滞税は大幅に軽減 or 免除される

    >> 新型コロナウイルスの影響により納税が困難な方へ – 総務省

    地方税による規定は自治体ごとに異なる部分もありますが、これについては法律で定められた全国一律のルールです(地方税法15条)。ただ、申請時の提出書類は自治体によって異なります。詳しくは、各自治体のウェブサイト等でご確認ください。

    国民年金の保険料

    国民年金の納付が難しい場合には、下記のような免除制度が用意されています。本来は「前年の所得」が基準額を下回った際に利用できる制度ですが、現在は特例的に「当年の見込み所得」が基準額を下回る場合でも利用できます。

    国民年金保険料の免除制度

    概要 保険料の一部 or 全額を免除してもらえる制度
    要件 世帯主・本人・配偶者それぞれの所得が、後述する「基準額」以下であること
    措置 ・所得に応じて、保険料の4分の1~全額を免除してもらえる
    ・将来的に、免除されていた期間の分も一定の割合で年金を受け取れる

    要件にある「基準額」は下記のとおりです。あなた以外に世帯主や配偶者がいる場合は、その人たちの所得も基準額以下でないと免除を受けられません。

    基準額 免除区分
    158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の1免除
    118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 半額免除
    78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 4分の3免除
    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 全額免除
    本人と配偶者“だけ”が全額免除の基準額を下回るときは、免除制度とは別の「納付猶予制度」を利用できる。納付猶予制度を利用している間、将来的な年金の受給額が増えることはないが、受給資格期間は伸びるため、単に「未納」扱いになるよりは断然よい。

    なお、免除制度(もしくは納付猶予制度)を利用する場合も、あとから保険料を「追納」すれば、将来的な年金の受給額を満額に持ち直すことができます。少し要件がややこしいですが、ひとまず申請して審査を受けてみるのもアリです。
    >> 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度 – 日本年金機構

    国民健康保険の保険料

    令和3年度分の国民健康保険料(2021年7月から納める保険料)については、まだ「特別な減免措置は未定」としている自治体が多いです。ただ、すでに厚労省から下記のような基準が示されており、基本的には全ての自治体がこれに従うものと思われます。

    国民健康保険料の減額制度(厚労省が示す基準)

    概要 保険料を減額してもらえる制度
    要件 世帯の「主たる生計維持者」が以下の要件をすべて満たすこと
    ① コロナの影響で、前年から30%減少する見込みの収入*がある
    ② 前年の合計所得金額が1,000万円以下である
    ③ ①の収入を除くと、前年の合計所得金額が400万円以下である
    措置 「主たる生計維持者」の前年所得に応じて、保険料が減額される

    * 給与収入・事業収入・不動産収入・山林収入のどれか

    要件にある「主たる生計維持者」とは、要するに「世帯主」のことです。その人の前年所得に応じて、保険料が下記の割合で減額されます(具体的な減免額は自治体が計算してくれます)。

    前年の合計所得金額 減免の割合
    750万円~1,000万円 20%減額
    550万円~750万円 40%減額
    400万円~550万円 60%減額
    300万円~400万円 80%減額
    ~300万円 全額免除

    ※「~」は「〇〇円超〇〇円以下」を表す

    詳しい制度内容については、愛媛県豊田市の説明が分かりやすいので、ひとまずそちらを参考にしておきましょう。最終的には、どの自治体も同様の措置を講じるものと思われます。
    >> 令和3年度における新型コロナに伴う国民健康保険税の減免 – 豊田市