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月次支援金の計算方法【白色申告・青色申告】個人事業主向け

更新日: 2021/09/06 投稿日: 2021/06/04
月次支援金の計算方法【白色申告・青色申告】個人事業主向け

「月次支援金」の計算方法を個人事業主向けにまとめました。収入要件の考え方は「一時支援金」とほぼ同じです。しかし、こちらは1ヶ月単位で給付の有無を計算します。>> 月次支援金の概要についてはこちら

INDEX

目次

    月次支援金を受け取るには?

    個人事業主の場合、ひと月あたりの給付上限は10万円です。3ヶ月分の合計で、最大30万円を受け取れます。たとえば、4月分を申請する際は、4月の経営状況について下記の両方を満たしている必要があります。

    月次支援金の給付要件

    1. 緊急事態宣言等による、飲食店の休業や外出自粛の影響を受けている
    2. 2021年の月間売上2019年・2020年の月間売上と比べて50%以下である

    「2019年・2020年の月間売上」の考え方は、白色申告と青色申告で異なります。

    白色申告 青色申告
    2019年・2020年の月間売上 「年間の平均月間売上」
    で考える
    「実際の月間売上」
    で考える
    2021年の月間売上 「実際の月間売上」
    で考える

    ここからは白色申告と青色申告の場合に分けて、「収入要件の考え方」と「給付額の計算例」を説明していきます。給付額については、多くの場合で上限の「月10万円」を受け取れると考えて構いません。

    経産省の資料では「売上」や「事業収入」等の表記が混在しているが、どれも同じ意味を指しているため、本記事でも厳密な区別はしない。

    【白色申告】収入要件の考え方

    白色申告では「2019年 or 2020年の平均月間売上」を、「2021年の月間売上」との比較対象にします。

    「2019年 or 2020年の平均月間売上」は、その年分の確定申告書にある「事業収入」の金額を12で割って求めます。過去に提出した申告書の控えを参照しましょう。

    基準年の事業収入はココを参照 - 白色申告者の「一時支援金」申請

    ※開業年の平均月間売上は、事業収入を「開業月~12月の月数」で割る

    以下のような個人事業主を想定して、収入要件をクリアできるか考えてみましょう。

    設定

    • 2019年の年間売上:600万円(平均月間売上:50万円)
    • 2020年の年間売上:480万円(平均月間売上:40万円)
    • 2021年の月別売上は下表のとおり

    2019年と2020年で、平均月間売上が高かった方を計算に用いましょう。上記の場合、2019年の方が高かったので「2019年の平均月間売上」と「2021年の月間売上」を比較します。

    4月 5月 6月
    2019年の平均月間売上 50万円/月
    2021年の月間売上 23万円 17万円 26万円

    この例では、4月と5月において月間売上が50%以下になっています。したがって、4月・5月の2ヶ月分の給付を受けられることになります。

    【白色申告】給付額の計算例

    白色申告では「2021年の月間売上」と「2019年 or 2020年の平均月間売上」の差額が給付されます(ひと月あたり10万円まで)。先ほどの例をもとに差額を計算してみると、以下のようになります。

    4月分:50万円 – 23万円 = 27万円
    5月分:50万円 – 17万円 = 33万円
    6月分:要件を満たしていない

    4月分・5月分のどちらも計算結果が10万円を超えています。個人事業主の場合、ひと月あたりの給付上限が10万円なので、この場合は合計20万円(10万円 × 2ヶ月分)が支給されます。

    【青色申告】収入要件の考え方

    青色申告の場合は平均ではなく「2019年・2020年の月間売上」を、「2021年の月間売上」との比較対象にします。

    「2019年・2020年の月間売上」は、その年分の青色申告決算書に記載した「月別売上」です。過去に提出した青色申告決算書の控えを参照しましょう。

    基準年の事業売上はココを参照 - 青色申告者の「月次支援金」申請

    以下の例で、実際に要件をクリアできるか考えてみましょう。2019年・2020年の月間売上を、2021年の月間売上と比べます。

    4月 5月 6月
    2019年の月間売上 42万円 47万円 35万円
    2020年の月間売上 39万円 30万円 60万円
    2021年の月間売上 23万円 17万円 26万円

    2021年の5月・6月の売上が、2019年5月・2020年6月と比べて50%以下になっています。よって、2ヶ月分の給付を受けられます。青色申告の場合は「2019年と2020年の両方から、基準にする月を選んでよい」ということになるのです。

    決算書控えの紛失などで月間売上を確認できない場合は、青色申告を行っていても、白色申告と同様に「年間の平均月間売上」で考える。

    【青色申告】給付額の計算例

    先ほどの例をもとに計算すると、以下のようになります。

    4月分:要件を満たしていない
    5月分:47万円 – 17万円 = 30万円
    6月分:53万円 – 26万円 = 27万円

    今回は5月と6月が要件を満たしており、さらに計算結果が10万円を超えています。個人事業主への給付上限はひと月あたり10万円なので、給付額は合計で20万円(10万円 × 2ヶ月分)になります。

    まとめ

    「月次支援金」の支給要件は以下の2つです。申請をする月の経営状況について、下記の両方を満たしている必要があります。

    月次支援金の給付要件

    1. 緊急事態宣言等による、飲食店の休業や外出自粛の影響を受けている
    2. 2021年の月間売上が、2019年・2020年の月間売上と比べて50%以下

    要件②の考え方は、白色申告と青色申告で異なります。

    白色申告の場合

    • 2021年の実際の月間売上と、2019年か2020年の平均月間売上を比べる
    • 平均月間売上は、確定申告書の「事業収入」を12で割って算出する
    • 新規開業などで営業月数が12ヶ月未満なら、その月数で割って算出する

    青色申告の場合

    • 2021年の実際の月間売上と、2019年・2020年の実際の月間売上を比べる
    • 2019年・2020年の売上は、青色申告決算書の「月別売上」を参照する
    • 決算書の控えがない場合は、白色申告と同じ方法で考える

    白色申告では、2019年か2020年のどちらか一方だけを選びます。そして選んだ年の「平均月間売上」を、2021年との比較対象にします。

    一方、青色申告では2019年4月~6月と2020年の4月~6月から、対象にする月を自由に選ぶことができます。たとえば「2019年4月と2020年5月・6月」というような組み合わせも可能です。そしてこちらは平均ではなく、実際の金額を比較対象にします。

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